まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

米びつ王子の悲劇

2016-10-26 | 韓国映画
 お松の第6回独り韓国映画祭②
 「王の運命 歴史を変えた八日間」
 18世紀の朝鮮王朝。王の英祖は、後継者である息子の世子に期待をかけるが、政治や権力よりも芸術や武芸を愛でる世子は、父王を怒らせ失望させる。しだいに父子間の亀裂は深まり、それは恐ろしい破滅へと世子を追いつめることに…
 TVドラマ「秘密の扉」でも描かれた、英祖王と思悼王子の悲劇。あまりにも悲惨な父と子の断絶と愛憎には、見てるほうも疲れます。とにかく激しいのなんのって。王室だろうが庶民だろうが、感情ムキ出しで平和でいられない気質は、いかにも韓国って感じです。私なんか、家族と争っても得るものなんか何もないから、いたって平和で淡泊なもんですよ。波風立てるのもめんどくさいですし。

 王さまも世子も、どっちもどっちなんですよね~。どっちかが平凡で気性の穏やかな人だったら、あそこまでこじれなかったでしょう。プレッシャーやストレス、疑心暗鬼でブッコワレちゃう世子が、もうちょっと我慢強くてズルい王子だったら、きっと次の王として君臨できたでしょうに。魑魅魍魎な王宮でサバイバルするには、あまりにも繊細で弱かったのが残念。王子に生まれなかったら、立派な人物として一生をまっとうできただろうに。生まれた場所が悪かった、間違ってた。

 王さまもな~。あんなお父ちゃん、絶対イヤだわ~。不寛容で無慈悲すぎるよ。いくら息子が期待はずれで、ちょっとばかし反抗的になったからといって、あんなに非情に追いつめなくても。大人げない態度とかも、料簡が狭すぎる。精神的虐待が、見ていて怖く不快だった。暴力的な支配欲、恣意的な振る舞いは、韓流ドラマとかでもおなじみの父親像です。

 王さまがガッカリするほど、世子はダメ息子じゃなかったけどな~。むしろ、英邁な資質がある王子さまだったのに。ひょっとしたら、それが気に食わなかったから、あんなに冷たく当たったのでしょうか。自分の思い通りにならない、自分にはもうないキラキラした若さと才能を妬み、排除することで権力にしがみつく老害…自分を脅かす存在と見なし、王は王子をツブしたのでしょうか。今の社会でも見受けられる関係ですね。王さまがあまりにも冷酷で強権的だったので、仕方なくやったんだよ~と言わんばかりの慟哭も、そらぞらしく寒々しかったです。父子ケンカに巻き込まれる世子の生母と妃、そして誰よりも世子の幼い息子イ・サンが哀れだった。英祖も世子にとっては非道い父親でしたが、世子もイ・サンにとってはろくでもない父親だったな~。それでも父を愛し、助けようとするけなげなイ・サンに涙。
 それにしても。有名な米びつの刑…ひえーです。何かにつけて野蛮な韓国ですが、これはいくらなんでも。いっそ斬首、絞首のほうが、はるかに人道的です。あんな死に方だけはしたくない!と、怖気をふるいました。「秘密の扉」と違い、米びつの中での世子の酸鼻を極めた生き地獄が描かれているので、閉所恐怖症の人は絶対観ないでください。
 世子役は、TVドラマ「トキメキ☆成均館スキャンダル」などで日本でも人気のユ・アイン。

 アインくん、やっぱ可愛いですね~。今でも高校生役やれそうなほどの童顔、若々しさ。可愛いけど、日本の某事務所のタレントとは違い、スラっとした超スタイルのいい長身、男らしい雰囲気。あまり高貴な役や狂気的な役は似合わないとは思うけど、従順で純真な息子が追いつめられて積み木崩し、イカレてコワレていく過程を激情的かつナイーブに熱演してました。あまりにも少年っぽいので、息子のイ・サンが年の離れた弟にしか見えなかった。同じ世子役でも、高潔な優等生だった「秘密の扉」のイ・ジェフンと比較するのも一興かもしれません。

 英祖王役は、韓国きっての名優ソン・ガンホ。鬼父をこれまた熱演してましたが、ガンホおじさんもどちらかと言えば、ひどい目に遭う役のほうが似合う俳優。人がよさそうな情味ある魅力が強いので、冷酷な役はちょっと違和感が。「秘密の扉」のハン・ソッキュの、人が悪そうで歪んでそうなところは鬼王役にはドンピシャでしたが。
 世子妃役のムン・グニョンも、アインくんに負けず劣らずな童顔。ラストの老けメイクになった彼女、こんなおばあちゃんいるいる!な、可愛らしい婆っぷりでした。婆メイクが似合うという稀有な若手女優かも。英祖王の母后役を、「冬のソナタ」など韓流母ちゃん女優の大御所、キム・ヘスクが好演してます。
 そしてそして。英祖亡き後、王座に就く世子の息子、TVドラマや映画でもおなじみ(「王の涙」ではヒョンビンが演じてましたね~)の賢王イ・サンとして、ソ・ジソブが登場!

 成均館のコロ先輩(ヒゲ生やしたアインくん)、初めて見た時ちょっとジソブに似てる?と思ったので(実際には全然似てませんが)、父子役(年上のジソブのほうが息子!)は驚喜なキャスティングでした。久々に見たジソブ、いや~やっぱいい男ですね~。冷たい能面顔が、時代劇に合ってる。静かに威風堂々な雰囲気、ぬお~とデカい筋骨たくましい体躯も、王者の貫禄と威厳に満ちていて、カッコよかった!カメオ出演のチョイ役なのかなと思ってたら、意外と出演シーンは長かった。宴で舞うシーン、優雅で勇壮で、悲しそうな瞳が美しくて、うっとり見とれちゃいました。ジソブ主演でぜひイ・サンの半生を映画化してほしいかも!

 アインくんといえば、やっぱ成均館のコロ先輩!コロ先輩には萌えたわ~。アインくん、早くコロ先輩超えを!とは思うものの、しばらくは無茶な背伸びはせず、カッコカワいいイケメンのままでいてもいいよ
コメント (2)
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