土木の工程と人材成長

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目的と目標―日本人は目的より目標に集中する方がよい―

2022-12-01 10:41:49 | 人生経営
林成之は、「勝負脳の鍛え方」講談社現代新書、2006.10.20,PP132-133で、日本人は「目的より目標」を意識する方がいいという。

『長年にわたって受け継がれてきた習性を個人の努力で変える方法には限界がある。そこで次善の方法として、日本人の習性に即した方法がある。

それは、「勝つ」という目的ではなく、「勝ち方、あるいは勝つために求められる技や作戦」という目標に向かって全力を傾けること。

この方法こそ、勝負を意識すると体が硬くなる習性を持つ日本人にとって理にかなった対策である。

国際大会で優勝した日本人選手がよく「気がついたら一位になっていた」「結果は気にせずよいプレーを心がけた」なとどコメントしているのは、決して謙虚さだけではなく、日本人にとって、そう考えることこそが勝利への最短条件なのである。

勝つという結果ばかりに意識が向かうと、具体的な達成方法に集中できなくなる。だから、「勝つ」ことではなく、「勝ち方(方法)」に目を向け、その達成に何が必要かに集中すること。

結果に執着することは、脳科学的にいえば、成功しない方向へ環境を整える悪魔のささやきのようなものである』

ところで、大相撲解説者の元横綱北の富士は、2022年九州場所で、「こんどこそ、高安に優勝してもらいたいなあ」と、発言していた。ところが、本割りの花道で高安は緊張しきっていた。本割りで阿炎に負け、3人が3敗で並び、三つどもえの優勝戦となった。優勝戦での高安は緊張からは逃れていたように見えたが、逆に闘志が消え失せているようにも見えた。優勝戦でも再び阿炎と対戦し、おまけに阿炎の胸に頭をぶつけて首が大きく右に曲って土俵に落ち、しばらく立ち上がることができず、悲願の初優勝を逃してしまった。

高安の緊張はよくわかる。私自身このような緊張により、度々大事な場面で不首尾に終わってしまったことがあったからだ。振り返ればその時、栄光を手に入れる結果だけを夢見て、栄光にたどり着く方法に集中できていなかったのだった。今になって知っても遅すぎる。後悔先に立たずだ。高安にはまだチャンスがある。是非、林成之の論を知って、挑戦して欲しい。

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