ある人から中野の本を勧められた。アマゾンの書評が200件も寄せられているのをみると、相当評判の高い本だと言える。半分まで読んだところで、本当に目からウロコが落ちるような思いがした。しかし、読み終えると、中野はモノの表面しか見ておらず、側面や裏側は勿論、中味も見ずに論じる人なのだなと思った。皮相的(表面的)なのである。
中野は、デフレ脱却には札を刷り消費税率を下げればいいという。簡単なことだとも。だが、まず資本主義はインフレを前提として成立するものであり、資本主義がこれまで世界を広げて拡大してきたが、水野和夫が今や辺境がなくなったので、資本の行き場がなくなったという論をどう解釈するのだろうか。第一、中国でも日本でも札を刷りすぎて信用がなくなり、政権が崩壊した例はいくつもある。
次に現代の人々は豊になり(貧しくてモノが買えない地域もあるが、これらの地域は経済活動の埒外なので、この論からは取り敢えず外しておく)物あまりと共に、環境意識の高まりで、然程物に執着しなくなっていること。
また、100年前の日本では、9割が一次産業に携わり、人件費が8割を超えていたのだが、現在、農業従事者は5%を切り、人件費は、ロボットとコンピュータ、AIが取り替わって、人件費の割合が逆転していること。ことに日本のITへの対応の遅れが致命的であったこと。また、携帯電話やゲームソフトをはじめとする創造などの無形資産の割合が高くなっている現状をどう捉えるのかが欠落している。
ジャック・アタリが「21世紀の歴史」の中で、世界都市の変遷を述べ、東京も8、9番目あたりの世界都市になるチャンスがあったが、思考の欠落でそうはならなかったことなどの歴史分析から、自然と中野の反論になる内容が書かれている。
佐伯啓思が日経新聞に書いているように、ドルが基軸通貨で、世界がドルを使うので、刷ったドル札の6割が米国に帰ってこないこと(つまり、米国は札を刷るだけでモノが買えることになり、経済強者として君臨し続けることが可能であること。だらか、中国は一帯一路で、元を基軸通貨にしたいと狙っているのだろうが、そうやすやすとはいかないであろう)。ドルを刷ってもかまわないのは、各国が基軸通貨として使ってくれているからである。それでも節度(限界)はあるのだろうが。円決済はどのくらいなのか知らず、確たる証拠もなしではあるが、恐らくドルとは比べものにならないのではないか。
中野への反論は、例えば前記アタリの「21世紀の・・・」に、世界の経済の変遷が詳しく書かれており、それらから中野論を崩す内容を多々読み取ることができる。
中野が言うような、そんなに単純なものではない。自然はE=mC2のようにシンプルに表わされるが、その自然の中で進化してきた人間は心を持ち、複雑かどうかわからないが、少なくとも単純ではないと言えるだろう。
ただし、単純にすがりたいが故に、政治・軍事・経済など、ほとんどまったく理解していないトランプが大統領になったりすることはある。現代の風潮なのかも知れないが、中野もこんな病に罹患しているのではないだろうか。
中野は、デフレ脱却には札を刷り消費税率を下げればいいという。簡単なことだとも。だが、まず資本主義はインフレを前提として成立するものであり、資本主義がこれまで世界を広げて拡大してきたが、水野和夫が今や辺境がなくなったので、資本の行き場がなくなったという論をどう解釈するのだろうか。第一、中国でも日本でも札を刷りすぎて信用がなくなり、政権が崩壊した例はいくつもある。
次に現代の人々は豊になり(貧しくてモノが買えない地域もあるが、これらの地域は経済活動の埒外なので、この論からは取り敢えず外しておく)物あまりと共に、環境意識の高まりで、然程物に執着しなくなっていること。
また、100年前の日本では、9割が一次産業に携わり、人件費が8割を超えていたのだが、現在、農業従事者は5%を切り、人件費は、ロボットとコンピュータ、AIが取り替わって、人件費の割合が逆転していること。ことに日本のITへの対応の遅れが致命的であったこと。また、携帯電話やゲームソフトをはじめとする創造などの無形資産の割合が高くなっている現状をどう捉えるのかが欠落している。
ジャック・アタリが「21世紀の歴史」の中で、世界都市の変遷を述べ、東京も8、9番目あたりの世界都市になるチャンスがあったが、思考の欠落でそうはならなかったことなどの歴史分析から、自然と中野の反論になる内容が書かれている。
佐伯啓思が日経新聞に書いているように、ドルが基軸通貨で、世界がドルを使うので、刷ったドル札の6割が米国に帰ってこないこと(つまり、米国は札を刷るだけでモノが買えることになり、経済強者として君臨し続けることが可能であること。だらか、中国は一帯一路で、元を基軸通貨にしたいと狙っているのだろうが、そうやすやすとはいかないであろう)。ドルを刷ってもかまわないのは、各国が基軸通貨として使ってくれているからである。それでも節度(限界)はあるのだろうが。円決済はどのくらいなのか知らず、確たる証拠もなしではあるが、恐らくドルとは比べものにならないのではないか。
中野への反論は、例えば前記アタリの「21世紀の・・・」に、世界の経済の変遷が詳しく書かれており、それらから中野論を崩す内容を多々読み取ることができる。
中野が言うような、そんなに単純なものではない。自然はE=mC2のようにシンプルに表わされるが、その自然の中で進化してきた人間は心を持ち、複雑かどうかわからないが、少なくとも単純ではないと言えるだろう。
ただし、単純にすがりたいが故に、政治・軍事・経済など、ほとんどまったく理解していないトランプが大統領になったりすることはある。現代の風潮なのかも知れないが、中野もこんな病に罹患しているのではないだろうか。