日経コンストラクションでは「成績80点の取り方」という記事が時々掲載される。これを題材にして人前で話すことがあるのだが、今年は81点82点と85点86点の80点前半と後半点獲得工事について夫々2件ずつを、全国30箇所ほどで紹介してきた。最初のころは4件の工事内容と特徴だけを話していたのだが、30回に近づいた終わりの方になって気がついたことがあった。それは、80点前半の2件の工事は技術に関して優れていたが、80点後半点を獲得した2件の工事には感情が絡んでいると言うことであった。
例えば85点工事は、発注者が工事現場内部で協議している内容を詳細に把握しており、また通常は受注者サイドで決めていく段取り等の内容についても発注者が感心しながら把握しているのである。この現場代理人の発注者を巻き込む力量には並々ならにものがあると思った次第。
方や86点工事は現場内部の感情マネジメントが優れていた。作業員さんの家族をも巻き込み、現場に家族の書いた幟旗を立てていた。例えば「汚れた作業服を見れば大変さがよく伝わります。怪我には十分気をつけてね」とか「お父さんの頑張る姿は家族の誇りです」、「今日も無事故で帰ってきてね」など、読んでいるとウルウルとしてくるものが10本近く現場に掲げられているのである。記事では、「お互いを気遣い、現場の連帯性を高め、〇〇家の人々の空気づくりをしている」と書かれている。
ところで、成人発達理論を研究している加藤洋平は、「感情と認知は切り離すことができない。私たちの感情は、何かしらの行動を常に伴う(発達理論の学び舎、Vol2,P19)」と述べているが、80後半点獲得工事の2件は、まさに最先端の研究と符号していると言えよう。
ホック・シールド「管理される心―感情が商品になるとき」、世界思想社、2000.4は、「感情を、売り買いする時代。乗客に微笑むスチュワーデス。債務者の恐怖を煽る集金人。彼らは肉体労働者や頭脳労働者であるまえに感情労働者である。丹念なインタビューをもとに、商品化される「心」を探究する」書と紹介されているが、これらの極端な職業だけでなく、普通の仕事でも感情が大切な要素であることは間違いない。AI(人工知能)は、肉体を持たないが故に感情が無いと言われるが、感情は人間にしか取り扱うことができない。これからの時代の仕事には、感情がより先鋭的なものとなるのだろう。
例えば85点工事は、発注者が工事現場内部で協議している内容を詳細に把握しており、また通常は受注者サイドで決めていく段取り等の内容についても発注者が感心しながら把握しているのである。この現場代理人の発注者を巻き込む力量には並々ならにものがあると思った次第。
方や86点工事は現場内部の感情マネジメントが優れていた。作業員さんの家族をも巻き込み、現場に家族の書いた幟旗を立てていた。例えば「汚れた作業服を見れば大変さがよく伝わります。怪我には十分気をつけてね」とか「お父さんの頑張る姿は家族の誇りです」、「今日も無事故で帰ってきてね」など、読んでいるとウルウルとしてくるものが10本近く現場に掲げられているのである。記事では、「お互いを気遣い、現場の連帯性を高め、〇〇家の人々の空気づくりをしている」と書かれている。
ところで、成人発達理論を研究している加藤洋平は、「感情と認知は切り離すことができない。私たちの感情は、何かしらの行動を常に伴う(発達理論の学び舎、Vol2,P19)」と述べているが、80後半点獲得工事の2件は、まさに最先端の研究と符号していると言えよう。
ホック・シールド「管理される心―感情が商品になるとき」、世界思想社、2000.4は、「感情を、売り買いする時代。乗客に微笑むスチュワーデス。債務者の恐怖を煽る集金人。彼らは肉体労働者や頭脳労働者であるまえに感情労働者である。丹念なインタビューをもとに、商品化される「心」を探究する」書と紹介されているが、これらの極端な職業だけでなく、普通の仕事でも感情が大切な要素であることは間違いない。AI(人工知能)は、肉体を持たないが故に感情が無いと言われるが、感情は人間にしか取り扱うことができない。これからの時代の仕事には、感情がより先鋭的なものとなるのだろう。