土木の工程と人材成長

土木建設の工程管理や組織運営、そして人材成長の話題や雑学を紹介します

問い続ける力と知の逆転

2019-12-29 22:16:57 | 人生経営
 ナドラー・日比野の「ブレイクスルー思考」では、人こそ最高の情報源だという。

 標題の「問い続ける力」は、石川善樹のちくま新書、2019.4.10だ。「知の逆転」は、吉成真由美のNHK出版新書、2012.12.10だ。

 前者は日本人ばかり9人との対談で、後者は世界の6人へのインタビューである。「知の逆転」の帯には「現代最高の知性6人が熱く語る一これが未来の設計図だ一」としている。

 両者ともブレイクスルーの言う、最高の情報源である人から情報を引き出しており、内容は濃いと思う。

 「問い続ける力」は、286頁のうち、前半69頁までが前書きであるが、一部はあとがきに書いた方がいいと思うものがある。また、9人の順番も入れ換えた方がいいと思うものもある。しかし、先日アクションラーニングの中核であるとされる、清宮普美代「質問会議」PHP, 2008.9.19を読んでいたので、「問い続ける力」のまえがきは、他人ではなく自問し自らが答えを導いていくという点で、私の性格と合っており、それなりに面白い。

 「知の逆転」は、最高の知性と銘打っているだけあって、ピューリッツァー賞を受けた「銃・病原菌・鉄」などを書いているジャレド・ダイアモンドや、「心の社会」などを書いているマービン・ミンスキーらへのインタビューである。

 「心の社会」は、1990年に書かれており、神保町の古本屋さんで、古本ながら3千円を超えていた。だが、30数年前に買った本なのだが、未だに終わりの方三分の一が読みきれていない。ダイアモンド博士は、Eテレのシリーズで何度か見て、著作も何冊か読んだ。どれも面白く一挙に読める内容だった。

 対談やインタビュー本は深くは無理だが、対談相手の思考が濃縮されており、自分の興味を引く内容を探す時の案内として、手がかりを得るには最高であると思う。特に「知の逆転」の人達は、私自身がお会いすることが不可能に近い人ばかりであるので本当にありがたい。また、吉成の質問が簡潔で、かつ的を射ており心地よい。

 「問い続ける力」の方は、対談であるため問うというよりも、石川自身の意見を披瀝する場面が多々あり、対談相手の本筋から話しが逸れてしまったり、誘導しているのではなかろうかと疑いたくなる傾向が見受けられるように思えてならない。質問者の力量が試される場面である。石川も優れた人ではあるが、インタビューとして質問に徹した方がすっきりしたのではないかと思う。他人から聞く、問うというのにも、それなりのテクニックがいるのだろう。「問い方」を自分に問い続けて、磨きをかけなければと思った。

若い人を伸ばし育てる

2019-12-26 14:05:28 | 人生経営
 今日(2019年12月26日)、降籏達生氏が「若い人を伸ばすのには、お膳立てをしてやることと、意見や指摘が的外れであっても、それを否定しないで一旦は受け入れることだ」とメルマガで配信してきた。

 石川善樹「問い続ける力」ちくま新書 2019年4月10日 PP73~74頁に、物理学者の長沼伸一郎氏が、「ドイツ空軍の撃墜王だったメルダースという人の言葉で、若いパイロットが育つためにどうすればいいのかというのがある。彼は怖い目に遭うよりも先に、とにかく一機を落とすことだという。それができたパイロットは、そのあと、どんどん伸びていくんだそうです。逆に、最初の一機を落とす前に余りにも怖い思いをしてしまったパイロットは、飛行機に乗ることが怖くなって、ついに降りるしかなくなる」が紹介している。

 冒頭の降籏氏とメルダースの言葉は一致する。

 子供のころ遊びやなにかで、成功体験をした、あるいは充実し達成感を味わった経験のある人は、新しいことにも尻込みすることなく、果敢に挑戦しているように思う。反対に、子供時代の早い時期に、恐らくなにかで失敗したり、冒険せずに生きてきた人は、なんとなく覇気がないように思う。持って生まれた気質もあるのだろうが、成長過程での成功体験が重要なことなのだと思う。

病気考

2019-12-25 17:32:28 | 人生経営
 以下は素人の思いである。土橋重隆「病気になる人、ならない人」ソフトバンク新書、2007.8.23を読んで共感したので、日ごろ健康と病気について思っていることを述べてみたい。

 東洋医学では病気を部分ではなく、体質がどうかという身体全体で考えるように思う。身体のみならず、生活環境までを含むのではないだろうか。これに対して西洋医学は科学的で部分に着目する。西洋医学は、病変した部分に着目する。治療方法がヒットした場合には即効果が出る。ときに激変と言っていいほどの治療効果が出ることもある。だから間違える人がでてくる。薬だけで病気を治そうとするのだ。例えば風邪をひいても抗生物質を飲んで治そうとする。私は病気を治すのは自分の身体だと思っているので、めったなことでないと病院に行かないし、薬もできるだけ飲まないようにしている。

 なにも東洋医学がよく、西洋医学がダメだと言っているわけではない。病気に合わせて選択したらいいのだが、その見分けが素人には難しいので困る。東洋、西洋のほかに、知人に宗教で病気を治そうとした者もいる。結果はかんばしくなかった。白隠禅師が「夜船閑話」に書いている「軟酥の法」で病気を治した人もいるようだから、宗教でも精神が安らぎ、ストレスが取れて免疫力が増加するならば治る病気もあるのだろうと思う。宗教にしても「軟酥の法」でも、免疫力が高まるようなやり方をした場合には治癒することがあるのではないだろうか。私も時に自律訓練法や西野流呼吸法、瞑想などをすることもある。これらは、元気で調子のいいときからやっておく必要があるように思う。体調が低下してから急にやっても、効き目が少ないように思うのだ。というよりも、体調が悪い時には、なかなか思うようにいかないからだ。常日ごろの元気な時から訓練しておくことが大切なのである。

 ところで癌を忌嫌う人が多いが、年齢を重ねると免疫力が落ちてくるだろうし、マクロファージが不活発にもなってくるので、癌に侵される割合が高くなるのだろうと思う。比較的寒暖差の少ないある地域では、癌による死亡率が高かった。どうしてかと調べていると、死亡年齢が高かったのだ。他の地域の癌による死亡が少ないところでは、死亡年齢が若かった。つまり、癌で死亡する地域は、高年齢であり、死亡原因のうちで癌の割合が低い地域では、免疫力が低下する高齢になる前に死亡していたのである。若年性の癌もあるので、これは別途考える必要があるかと思う。

 遺伝や食べ物、良いストレスなのか悪いストレスの中で生活しているかという精神生活などの生活環境も健康を左右すると思うのだが、私自身、悪いストレスにより病気(状態)になったことが何度かある。特に71歳になったのだが、若いときと比べ齢をとるとストレスにも弱くなっているようだ。精神を鍛えることを忘れていたからなのだろう。

 最後に、健康そうでいるときと、病気療養しているときとは、紙一重のようにも思う。

上達するための「学習領域」の動画と人の利用

2019-12-24 12:49:18 | 人生経営
 2019年12月19日「よりよい成果を生み出すためにはどうすればいいのか」を書いた。エドアル・ブリセーニョのTED「自分にとって大切なことが、もっと上達する方法」の紹介だった。 http://digitalcast.jp/v/25682/

 これは、木こりの斧(あるいは鋸)を「研ぐ」と内容的には同じだ。また、ナドラー・日比野の「ブレイクスルー思考」の7つの原則では、最後の「継続変革の原則」だし、ゴールド・ラットのTOC(制約理論)では、5つのステップの4つ目の「制約条件の能力を向上させる」と、最後の「惰性に注意しながら繰り返す」に、スティーブン・コヴィーの「7つの習慣」では、7つ目の「刃を研ぐ」に、ナポレオン・ヒルの「思考は現実化する」の17の原則では、14.クリエイティブ・ヴィジョン(創造力と想像力が一体となったものが独創的ヴィジョン。既存のアイデアや概念をいかに新しく組み合わせ、まったく新しいものをつくリ出すか、そのノウハウを説く)と、17.習慣形成とその活用(万物はすべて一定不変の習慣法則の下に動かされている。しかし人間は、自分の意思で習慣が形成できる。この素晴らしい賜物を活かすノウハウを開示する)に当たるだろう。

 学習領域で言えば、私は夜間の土木工学と通信の法学、社会人の理学修士(地質)、社会人の工学博士(地すべり)課程を履修した。これらは業務に対して直接的に役にたつというものはほとんどない。その点でいえば、すぐ役立つものとしては動画がある。便利な世の中になったものである。

 今年の初冬、70平方メートルの陸屋根のウレタン防水を自分で施工した。専門業者に頼めば65万円ほどかかるということであったが、自分でやると道具類も含め15万円程度で済んだ。しかし、早い時期に剤を買っていたので夏用を購入してしまっていた。気温が22、3度以下の日が続いたため、なかなか硬化しなかったし、一部分2液の混合不足で固まりにくい箇所ができたりした。このように、動画だけ見たのでは素人には難しいところもあるが、曲がりなりにも防水としての機能は果たしているみたいである。

 また、昨夜水貼りの襖を貼ったが、襖紙を載せる方法でやったので失敗したようだ。あとで動画を見ると襖紙の上に襖を載せて張り付けるのが良いようだ。たかが紙を貼るだけではないかと思っていたのだが、やはりコツがあったのだ。

 先日テレビを見ていると、ログハウスを動画を見て建てたという人がいた。ともあれ、各種の動画があり、大変助かっている。学習領域の道具として、今後もおおいに利用したいと思っている。

 また、ブレイクスルー思考の「目的的情報収集の原則」では、人からの情報収集が最も早いという。防水工事も襖貼りも、動画とともに経験者にも聞くことができれば、よりよくできたはずである。

働き方改革意識は誰が持つべきなのか

2019-12-23 08:37:38 | 人生経営
 働き方改革が叫ばれている。改革に異議はない。しかし、働き方をと政府が言うというのが不思議でならない。そもそも、どう働くかについては、働く個人や企業が考えることであって、自由主義、資本主義の日本国政府が云々するのは筋違いなのではないのか。前々から私は、日本は世界最強の社会主義国なのではないかと思っていたが、この解釈・理解は、どうやら間違っていないのかも知れない。

 働き方とは関係ないが、かつて高知県の橋本大二郎知事が、県道に植えてある街路樹の落ち葉に世話がかかりすぎるなどという地元民からの意見があり、知事が「街路樹の落ち葉が汚いというのはおかしいと思う」という趣旨の発言をしたことがある。私は「それは為政者たる知事が言うべきことではないだろう」と、県幹部に申し上げたことがある。美の意識は個々人が判断することであって、公に押し付けるものではないからだ。

 また、日本各地の自治体で、一時「地産地消」運動がはやりとなった。高知県議会でも地産地消が決議されたが、これも社会主義的思考だと思う。議会の委員会で、とある団体の顧問をしている委員長が、その団体の要請があったのだと思うのだが、当時、県の課長をしていた私に委員会で、「地産地消はどう思うかと聞いてきた」。それは、以前にその団体の私への要望に対して、私が「民民問題は行政に持ち込まずに、そちらでやって欲しい」と答えていたという経緯があったからだ。私は委員長に向かって、「地産地消は議会が決議されているので尊重するが、しかし、他県に打って出るくらいの気概や経営意識がないと心配だ」と答えると、件の委員長曰く、「足腰立たずベッドに寝ている者(経営不振の経営者のこと)に、なんということを言うのかっ!」と、お叱りを受けた。しかも、他の委員の一人からも、委員長に同調して叱られてしまったのだった。しかも、お二人とも保守系議員なのだから、なにをか況やであるのだが、この発言を聞いた時には、自身の耳を疑ったほどである。私はどこの国の国民なのだろうかと?しかし、半年後、尾崎高知県知事が「地産外商」を打ち上げた時、議会も諸手をあげて賛同したのだから、あきれかえってしまった。同じことを言っても、地位や立場、言う人によって、まったく異なる取り扱いを受けるという典型を目の当たりにしたのだった。

 元に戻すと、「働き方改革」と政府が言わなければならないほどであるから、日本の企業経営者の程度がどのくらいかがわかる。内部留保がここ20年近くにわたり15%程度の右肩上がりなのに対し、労働分配率が10年前よりも10ポイントも下がりお寒いかぎりなのをはじめ、非正規社員雇用で安易極まりない経営をし、セクハラ、パワハラ、不正行為と情けないを通りこして度が過ぎていると言わざるを得ない。かつて世界競争力1位だったのが、今や数十位と信じられないところまで落ち込んでいる。変化する世界の考え方、やり方に対応できていないからだ。