1986年7月1日、第三次中曾根内閣で、初代内閣官房安全保障室長に就任した佐々淳行氏は「非常時には非常時の行動を!」と話されていたことを強烈に今でも覚えている。阪神大震災後の講演会での話であった。ここで言うところの「非常時の行動」とは、常時においては法に抵触する行動も含まれる。ゆえに判断が難しく、目的や優先順位を日ごろから深く思考しておく必要がある。
さて、今回の新型コロナウイルス感染症対策として、大阪府の吉村知事は、保健所の連絡網を、大阪市の松井市長をはじめ、府下の市町村の情報を府に一元化することを取り付けて、PCR検査を受けた人数に占める陽性者の割合である「陽性率」までをも、毎日情報発信していた。これは常時ではないとの判断から、非常時の連絡体制に切り替えていたから出来たことである。このことをはじめ、大阪府の対応は優れていた。吉村知事の非常時の手腕は見事である。
一方、東京都は常時のままの連絡体制であったので、東京都が「陽性率」を初めて公表したは5月8日になってからのことであった。都はこれまで、医療機関などで実施されるPCR検査の件数の集計に時間がかかるとして、陽性率は公表していなかったのである。この「陽性率」は、大阪府が、休業要請などを解除する基準の一つに使うとしており、ゆえに、大阪府は独自に全国に先駆けて自粛解除の基準となる出口戦略を定めることができている。常時から非常時への切り替えが、いかに大切なことかがこれでもわかる。ただ、これらの判断と行動を取るためには、もし、間違いが生じたり失敗した時には、責任は自分一人が取るという勇気と覚悟が必要である。
他に、初期の情報開示について、西日本新聞「新型肺炎感染者の足取り公表に差、自治体手探り、風評被害にも配慮」によれば、(先に述べた)大阪府は1月末、府内で発生が確認されれば、滞在した市町村まで公表する独自基準をつくった。仮に感染者が百貨店や大型ショッピングモールなどで不特定多数と濃厚接触をした可能性がある場合は施設側と調整した上で店名も発表するという。担当者は「市民が疑心暗鬼にならないよう出せる情報は出す」としており、これが大阪のライブハウスで発生したクラスター感染からの拡大を抑え込むのに威力を発揮したと言っていい。一方、全国知事会は国に公表基準を示すよう要望しているが、厚労省は「地域や感染者の状況が多彩なため一律の基準はそぐわない」(幹部)としているらしい。
ところで、あるメディアでは、新型コロナ発生により安倍首相でなく、小池、吉村、鈴木などの首相候補名が挙がっていたが、私は小池氏は安倍氏よりもましかも知れないが、非常時のリーダーシップを取る者としては失格だと思っている。もし、東京都が大阪府や北海道と同時期に足並みを揃えて行動自粛を呼び掛けていたならば、東京都の感染者数は半数以下に抑えられていただろうと思っている。
非常時の思考と対応については、佐々氏は6歳のおりに2.26事件を経験しており、今回の新型コロナウイルス感染対策では、韓国や台湾は、SARSやMARSを経験していたからよく対処できたと言われている。今後日本において、今回の経験を基にして、非常時の対応が適切に取られることを切に願いたい。
このことは、なにも国や自治体ばかりのことではない。家庭においても話しておくことが重要である。震災離婚やコロナ離婚が喧伝されているが、これを機会に、非常時の行動でである「津波てんでんこ」などについて、話し合いをしておくことが求められよう。
さて、今回の新型コロナウイルス感染症対策として、大阪府の吉村知事は、保健所の連絡網を、大阪市の松井市長をはじめ、府下の市町村の情報を府に一元化することを取り付けて、PCR検査を受けた人数に占める陽性者の割合である「陽性率」までをも、毎日情報発信していた。これは常時ではないとの判断から、非常時の連絡体制に切り替えていたから出来たことである。このことをはじめ、大阪府の対応は優れていた。吉村知事の非常時の手腕は見事である。
一方、東京都は常時のままの連絡体制であったので、東京都が「陽性率」を初めて公表したは5月8日になってからのことであった。都はこれまで、医療機関などで実施されるPCR検査の件数の集計に時間がかかるとして、陽性率は公表していなかったのである。この「陽性率」は、大阪府が、休業要請などを解除する基準の一つに使うとしており、ゆえに、大阪府は独自に全国に先駆けて自粛解除の基準となる出口戦略を定めることができている。常時から非常時への切り替えが、いかに大切なことかがこれでもわかる。ただ、これらの判断と行動を取るためには、もし、間違いが生じたり失敗した時には、責任は自分一人が取るという勇気と覚悟が必要である。
他に、初期の情報開示について、西日本新聞「新型肺炎感染者の足取り公表に差、自治体手探り、風評被害にも配慮」によれば、(先に述べた)大阪府は1月末、府内で発生が確認されれば、滞在した市町村まで公表する独自基準をつくった。仮に感染者が百貨店や大型ショッピングモールなどで不特定多数と濃厚接触をした可能性がある場合は施設側と調整した上で店名も発表するという。担当者は「市民が疑心暗鬼にならないよう出せる情報は出す」としており、これが大阪のライブハウスで発生したクラスター感染からの拡大を抑え込むのに威力を発揮したと言っていい。一方、全国知事会は国に公表基準を示すよう要望しているが、厚労省は「地域や感染者の状況が多彩なため一律の基準はそぐわない」(幹部)としているらしい。
ところで、あるメディアでは、新型コロナ発生により安倍首相でなく、小池、吉村、鈴木などの首相候補名が挙がっていたが、私は小池氏は安倍氏よりもましかも知れないが、非常時のリーダーシップを取る者としては失格だと思っている。もし、東京都が大阪府や北海道と同時期に足並みを揃えて行動自粛を呼び掛けていたならば、東京都の感染者数は半数以下に抑えられていただろうと思っている。
非常時の思考と対応については、佐々氏は6歳のおりに2.26事件を経験しており、今回の新型コロナウイルス感染対策では、韓国や台湾は、SARSやMARSを経験していたからよく対処できたと言われている。今後日本において、今回の経験を基にして、非常時の対応が適切に取られることを切に願いたい。
このことは、なにも国や自治体ばかりのことではない。家庭においても話しておくことが重要である。震災離婚やコロナ離婚が喧伝されているが、これを機会に、非常時の行動でである「津波てんでんこ」などについて、話し合いをしておくことが求められよう。