土木の工程と人材成長

土木建設の工程管理や組織運営、そして人材成長の話題や雑学を紹介します

ウイルスをはじめ病気から命を守るためには

2020-06-20 08:05:43 | 工程表
 新型コロナウイルス感染をはじめ生活習慣病などから自らの命を守るためには、まずは当たり前だが個々人の心構えが大切である。新型コロナでは三密を避け、手洗いを徹底する、生活習慣病は日ごろの生活を見直して改善するなど、自身がどれだけ気配りと行動ができるかにかかっている。

 このことを、日経2020.6.8の12面に大屋雄裕慶応大学教授が「ウイルス問題は、われわれ自身が自らの行動を十分にコントロールできるかが生死を分けるという意味では、自分との闘いだと言っていい。セルフコントロールなのである」と書いている。この伝で言うと、緊急事態宣言解除直後、接客業従業員が集団感染発生していたというのは、どういうことを意味するのであろうか。

 次に、国家が国民の命を守るという政府の最大の責務が挙げられる。新型コロナウイルス感染症から、日本国政府は国民の命を本当に守ったと言えるのだろうか。ホッブスは、殺戮・闘争・戦争の現実の中から、「万人の万人に対する戦争を洞察し、闘争をなくすものとして国家の存在理由について、はじめての哲学原理を『リバイアサン』で提示した(竹田青嗣「人間の未来」ちくま新書、2009.2.10)」。民主主義国同士の戦争が回避されている現在、体制の異なる国への警戒は勿論あるが、これを除けば国家は感染症をはじめ自然災害から国民の命を守ることが最大の使命となっている。日本国政府は、本来の役割を真に果たしていると言えるのであろうか。

 前掲竹田のP43では、「さまざまな問題について、その原因と本来的な構造を知らない者は、慣習と先例を自己の行為の法則にしがちである」と書かれている。アインシュタインの「問題を解くには、思考を変えなければならない」は、このことへの警告である。

 また、ジャック・アタリは、「歴史には法則がある」と言う。しかし、日経2020.6.9,1面は「11年前の教訓放置」と題して、「新型コロナウイルスの猛威に対して、日本の対応はもたつき、ぎこちない。バブル崩壊、リーマン危機、東日本大震災。いくつもの危機を経ても変わらなかった縦割りの論理、既得権にしがみつく姿が今回もあらわになった。このひずみをただなければ、日本は新たな危機に立ち向かえない。・・・自らのルールにこだわり現実を見ない。そんな感染症対策での失敗は今回がはじめてではない。・・・世界から一目置かれた日本の官僚機構は右肩上がりの成長が終わり、新たな危機に見舞われるたびにその機能不全をさらけ出してきた。・・・前例や既存のルールにしがみつき、目の前の現実に対処しない・・・。」と、アタリの逆バージョンを日本の官僚機構が行っていることを炙り出している。官僚は通常時では優秀に機能することのほうが多いが、例外もあるものの危機時にはまったく役に立たなくなるのが常である。

 歴史から学んでいない日本国政府と官僚組織。日本国の官僚は守られ過ぎていると言える。定年延長で騒がれた黒川弘務・東京高検検事長は、掛け麻雀をして辞任に追い込まれたが、日ごろから高給の上に退職金が5千万円を越えると言う。どこかの国のように、在職中に汚職で金を稼がないと退職後が心配だという制度も問題だが、黒川氏をはじめ、日本の国家公務員は庶民から見ると濡れ手で泡に思えてくる。

 最後に宗教について。祈りは、自らの心を鎮めることはできても、新型コロナウイルスなどの病原菌から、神は守ってくれない。韓国のキリスト教系の協会で集団感染が発生したし、新型コロナウイルス蔓延中は、イスラム教のモスクでの集団礼拝も中止になっている。神に祈りを捧げたとしてもウイルスや自然災害から逃れなれない。神(信仰・祈り)の役割は、別にある。

 言わずもがなであるが、何事も「法則を知る」こと。つまり「本質(本当のこと)を知る」ことが肝要であり、病気から身を守ることなど、物事に適切に対処できるのは、これ以外にない。

日本の新型コロナ病床の確保はどうなっているのかっ!

2020-06-16 14:24:33 | 人生経営
 6月12日に、田中直毅氏が日経新聞に「コロナ禍対応では、日本政府の無能化が露わになった」と書いていることを紹介した。

 6月14日の地方新聞には、「コロナ病床確保進まず」の見出しが出た。1万数千床からほとんど増えていないというのである。

 ドイツは8302万人で、日本の66%の人口しかないが、それでも2万8千床を4万床まで増やしている。1床空けると65,000円の補助が、集中治療ベッドを増設すると一床580万円が給付されるという。

 新型コロナ医療従事者にはフランスでは1回あたり18万円が、韓国では一人5万円が支払われるということを5月20日に書いた。日本は4千円で、自衛隊病院は260円という。だから、日本の病院では新型コロナ感染者を受け入れると赤字になり、病院の倒産が危ぶまれている。

 こんな状態で、日本に新型コロナの第二波が襲ってくると対応できないのは明らかではないか。なにをしているのだろう。日本政府の対応は、不思議を通り越して無力感を覚えるし、無能化政府と揶揄する気にもなれない。開いた口が塞がらないでいる。冗談ではない。いい加減にしろっ!!!!!

歴史から深く学ぶ

2020-06-13 10:35:50 | 人生経営
 歴史は人類の経験知である。たいがいは確固とした証拠(エビデンス)が揃っている。過去のとおりに必ずしもならないことがあるが、多くは因果もあり過去から学べることは多い。

 6月9日、日経ビジネスオンラインで「新型コロナもう一つの命の危機、自殺者数4月の謎から」が配信されてきた。記事によると「新型コロナで失業率が増え、自殺者も多くなる」というのが世間での言われ方であるが、今年の4月の自殺者は、例年の2割ほど減っているのは不思議だ」という論旨だ。

 記事には、1990年からの失業率と自殺率がグラフで示されており、失業率と自殺率が同じようなカーブを描いており、確かに失業率が増えると自殺率も増えている。また、逆もしかり。これには当時の社会とおかれた個々人の、それぞれの理由があるだろう。

 ところが、今年の4月の現象は、上記のとおり2割ほど自殺率が減っており、過去とは異なる様相を呈しているのではないかという。今後どのように推移するかはまだわからないが、一つの推定は成りたつのかも知れない。それは、戦後食うものが少ない時代には、日々の命をつないでいくのに必死であり、自殺率は低かったというものだ。この伝でいくと、新型コロナウイルス感染で命の危険に晒される現今、必死に生きようとするので自殺率も下がるということが言えないだろうか。コロナ禍で失業したからといって自殺することだけは回避して欲しいものだ。

 つまり、安直な歴史現象からは学ことを拒否し、厳しい歴史からは真摯に学んでいくことだろう。前にも書いたが、『APU出口治明学長が語る問題の骨格「パンデミックが人類史を前に進める」』https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/01296/060100030/を読んで欲しい。寡聞で誠に申し訳ないが、これまでコロナ禍について日本の識者と言われる人たちが「喧喧諤諤」色んなことを発言している。が、歴史を深く勉強されている出口氏の論より前に出たものは、未だ聞いたことがない。歴史に裏打ちされた強さと言っていいし、勇気づけられ、楽観的になれるのがなによりもよい。

コロナ禍後の生活行動

2020-06-12 08:57:40 | 工程表
 しばらく昼食はテイクアウトのお弁当にしていた。お店は複数店を利用してきた。その中にはファミリーレストランのテイクアウトもあった。このファミレスは、以前は昼時には60席ほどの7、8割が埋まっていたが、新型コロナ非常事態宣言中の着席客は2,3人だった。そろそろ席で昼食を、と思ったのが間違いだった。

 席はテーブルの間隔を以前より少し広くとっているが、隣の席では老婆が2人、耳が遠いのか声高に話している。後ろの席では若い女性のグループが高笑いをしている。そうそうに昼食を切り上げて出てきたのだが、客である私は以前のとおりテイクアウトか自制弁当にすればいい。ところがお店の従業員はかわいそうである。いわば命がけで仕事をしているわけだが、思慮の足りないお客の行動が、従業員を危険にさらしているとも言える。ここで、自粛警察の行動を取る選択肢もあったかも知れないが、もう少し、じっくりと考えてみることにして店を出てきた。

 ところで、6月2日の日本経済新聞では、田中直毅氏がコロナ禍対応で日本の「無能化政府」ぶりが露呈と酷評していた。結果としては、欧米との比較から言えば新型コロナウイルスを抑え込んだ格好ではあるが、アジア各国と比較すると、胸を張れない実態がある。

この田中論では「コロナ禍後の諸課題と日本の立ち位置」として4つの円からなる図が示されている。円の一つが「行動変容後の課題」である。田中の「行動変容」は、出口治明氏は「成熟化」と言う。さらに、田中円図では「法の支配と言論の自由と自己統治」の反対側に「専制国家による監視社会」がある。前記の声高客のことを思いだし、「専制国家」思考が頭をもたげてきてギョッとした。自戒して成熟化を進めていく方法を考え続けなければいけない。

安倍首相の危機管理能力

2020-06-04 14:00:54 | 人生経営
 新型コロナウイルス感染予防で、首相は「日本型モデルが成功した。世界からうらやましがられている」などと、胸をはったが、私はそうではないと思っている。恐らく日本をはじめ、BCG接種国は、感染を抑えることができているからだ。ヨーロッパ諸国や米国は、BCG接種をしていなので、感染者と死者数が多くなっている。

 安倍氏の記憶力(IQ)は高いと思う。答弁を見ていても、経済関係等についてはそれなりに理解し、自分の言葉で話していることがあることからも窺える。ただ、その論理については、識者から度々突っ込まれることが多々あるのだが、国会議員連中は論破できるのであろう。

 いまさらながらではあるが、安倍首相の危機意識および危機管理能力は皆無であった。それは、モリカケ問題や桜を見る会、河井案里参院議員への選挙資金問題、検察官定年延長問題などなど、先をイメージする能力(=危機意識)が無いことの証明であるが、新型コロナウイルス感染症でも、これまでの危機管理の無さが露呈されたと言っていい。残念ながら新型コロナの問題でも、これら過去の数々の不祥事の延長戦上にある。

 ところで、韓国の第2波は、店への入店の際に偽登録をして、クラスター追跡ができず、第4次感染まで招いてしまったと言う。このような体たらくにはならないようにしなければならない。

 タイでは、店に入る時にはスマホで登録し、エレベーターも足で開け、足で行先の階を踏んでいた。日本では、まだそのような徹底した感染予防策を聞いたことがない。経済競争力30位や論文発表数など、いろんな面で日本国は後進国になってしまっている。安倍首相を選んだのは、議員内閣制であるので国会(=自民議員党)ではあるが、もとは国民である私たちが選んだのだから、次のパンデミックで悲惨なことにならないように、国民一人ひとりが奮起する必要がある。出口治明氏の言い方では、私たちの「成熟が問われている」と。