土木の工程と人材成長

土木建設の工程管理や組織運営、そして人材成長の話題や雑学を紹介します

知性の荒廃―反知性主義者の跋扈を憂う―

2023-07-02 10:46:43 | 思考
トランプ前米国大統領は、持ち出しが禁止されている機密文章を持ち帰って杜撰な保管をしていたらしい。さらに起訴されると「バイデン政権の陰謀だ」と言い、それを信じる支持者の数も相当いるらしい。これまでもトランプは、自分はいつも正しくて、異議を唱える者は悪だと発言し続けてきた。

ロシアのプーチンは、国の法律で禁止されている民間軍事会社であるワグネルに対して、政府の資金を支出してきたと明言した。この所業はまったく理解不能である。この発言にもかかわらず、異論を唱えるロシア国民がいないのも不思議なことである。もっとも、異議を唱えれば投獄されたり命をおとすことにもなりかねないので、簡単なことではないことは理解できる。

日本でも犯罪者が逮捕され、ほぼ犯人であることが明白に近いであろうと思われる者が、「自分は関係ない」と嘯くことも多い。

数々の証拠があげられているにも関わらず、自分は関与していないと嘘をつく人間は数多くいるのが現状である。中には証拠とされているものが、そうではなかったり、犯人は別にいたということもあるので、否定している人のすべてが真犯人とは限らないことはいうまでもない

真実は明らかにされるべきだが、悪あがきが社会に与える影響には多大なものがある。ことに子供たちの教育に与える影響が懸念される。

佐藤優は「知性とは何か」祥伝社新書、2015.6.10で、「反知性とは、実証性と客観性を軽視もしくは無視して、自分が欲するように世界を理解する態度を指す。反知性主義には、知識をエリートが独占していることに対する異議申し立てという民主主義的側面もある」とする。前半はよしとしても、後半はもう少し長い説明が必要だろうが、ここでは深入りしない。

同書で佐藤は、「反知性主義者は、暴力の行使にためらいがない」という。また「反知性主義者に対しては、暴言、暴力、威圧に対抗する強靭な心の力を培う必要がある。さらに力によって反知性主義者を公共圏から排除する必要が生じる場合もある。歴史の中で生きているわれわれが、各々が置かれた場所で、言葉、心、力のすべてを使い、反知性主義者を封じ込めていくという行為が求められる」と言う。

まさに、情報が瞬時に世界を駆け巡る今の時代には、知性を高度に磨いていくことが求められている。