槍ヶ岳に行ってきました。
いつか登ってみたいと思ってたけど、日数が必要なのと、小屋泊りの混雑がおっくうなのとで、具体的な計画をやったことはない。
退職し、時間が自由に使えるようになったことが一番大きい要因だろう。先々週早川尾根に行った際、「ウィークデイに2泊か3泊で行こうよ」となって、即実行したわけです。先々週のY夫人の不完全燃焼を解消するためにも「これは行かなきゃ」だったんです。
27(月)~30(木)の3泊4日、小屋3泊という贅沢な(中年向き)計画。
同行はM夫人、Y夫人、うちの奥さんと私の4人。
27日 晴れのち曇り
5時 白州を出発。
Y夫人宅のエスティマで行く。これで行くために2週間前、ご主人には
パジェロミニで東京に帰っていただいたんです。運転は僕の担当。
7時 沢渡駐車場着。朝食後タクシーで上高地へ。
沢渡にはいくつも駐車場がある。僕はいつも最初にある大きい駐車場を利用
してる。
ここは村営駐車場と私営駐車場が隣接してる。僕は上の村営に入れたが、
入ったとたん左に曲がって下の私営に移動するよう指示するおじさんが手を
振ってる。後でタクシーの運転手から聞いたが、私営のあくどい営業らしい。
そのせいなんだろう、村営は係員すら置いてないようだ。
タクシー代は協定で4000円と決まってた。メータは4900円くらいになるのだが、
一律。バスは1人1000円。4人で乗ればいっしょということですね。
タクシーの運転手いわく、お盆の最盛期は1日に12回往復したそうです。今日は
7回が目標だとか。
8時 河童橋を出発。3時間チョットで横尾着。昼食。地図時間通り。
河童橋(1500m)から横尾(1615m)までの3時間コースは3,4回往復してます。
1時間歩くと明神館、さらに1時間歩くと徳沢園、最後の1時間で横尾山荘に着き
ます。梓川沿いに10kmを3時間かけて歩くのですが、標高差は100mしかありませ
ん。でもこれから挑む高山に向って気持ちがいやでも高揚させられていく好き
なアプローチです。
14時半 槍沢ロッジ着。ここで1泊。
これまでは横尾から涸沢にしか行ったことがなく、槍沢に入るのは初体験でし
た。一ノ俣(1705m)までの1時間はそれまでの3時間と同じで緩やかな登り。ただ
谷が狭くなってきて、山に入ってきたぞを感じさせます。一ノ俣を過ぎると
勾配も出てきて、登山らしい歩きになってきます。でもでもまだまだ息切れす
るような勾配じゃありません。
このあたりで「僕の花」センジュガンビと再会。うれしいもんです。
河童橋から実働5時間で槍沢ロッジ(1820m)に着きます。
ここまでだったら、ちょっとしたハイキング気分でも行けると思います。
ただしロッジまできても槍を見ることはできませんよ。
槍沢ロッジで特筆しておきたいのはお風呂があることです。
但し「奇数日のみ」の掲示がありました。これを見た時「今日は何日」とあわ
てて考えました。「ラッキー!!」でしたね。夕食前に女性1時間、男性1時間の
入浴です。石鹸・シャンプーは禁止です。畳2枚分位の浴槽が2つあって、両方と
も満々とお湯を貯めてます。加熱・停止のスイッチが浴槽横にあるりっぱなもので
す。僕は加熱湯が出てくる口のところに入ったもんだから、熱いのと、湯かき
回し係りになり、おかげで長時間入ってることができましたよ。
気持ちよかったな~。
狙い通り、泊まり客がすくなく、相部屋でもゆとりのスペースでした。
こうでなくっちゃね。夕食も朝食もうまかったですよ。
施設面ではさすが北アルプスですね。南とは「月とスッポン」です。
南もがんばらなくっちゃ。
登山道も常にメンテナンスしてるようです。実に歩きやすかったですよ。
28日 雨
4時 起床。 5時 朝食。
夜半からドシャ降り。雨の音で目が覚める位。いやーな1日の始まり。
6時 出発。最初から雨具を着ての登り。
出発の頃にはちょっと小降りになった。僕は下半身だけの雨具でスタート。
30分ほど歩くとキャンプ指定地ババ平(2000m)に出た。石積みの非難小屋があ
り、ヨーロッパアルプスを思わせる風景。一目でこの地が好きになった僕です。
正面の壁は西岳から槍に至る東鎌尾根です。だからこの先で左側の横尾尾根を
巻きこまないと槍は見えないし、槍沢の深部はまだまだこの先なんです。
7時半 大曲り通過。
ババ平を過ぎると勾配も出てきます。でも道はきれいで歩きやすいのは先に書
いた通りです。
大曲り(2100m)を過ぎて、深部に入ると、これから登る斜面が見通せます。
高度差がまだ900mあります。白馬の雪渓を下から見上げた時と同じ驚きでした
ね。こりゃたいへんだ。
ここまで来ても槍は見えないんです。東鎌尾根が邪魔してるんですよ。
僕達の場合は上空に雲がかかっていて、見えるのやら、見えないのやら すら
確認できませんでした。
8時半 天狗原分岐(2350m)通過。
ここまで来ると槍沢の内院奥深くまで来た感じです。すっぽり北アルプスに包ま
れて、山人になれますね。雨に打たれても、足元だけを見て登るだけです。
このあたりでもまだ槍の本体は見えないんですよ。
僕はこのあたりまで上半身の雨具を着ないで歩いてましたが、さすがに危険を
感じ、上を着ました。でも遅かったかな。体の冷えを感じだしました。
天狗原分岐から30分ほど登ると槍が見え始めるんです。僕達も雲の切れ間から
待望の穂先を何度か見上げました。「大きい」という感想、「意外に小さいね」
という感想 こういうもんなんでしょうね。
後ろの女3人のペースも落ち始めてます。殺生ヒュッテまで1時間弱という所で
寒さに耐えながら後ろを待ちました。3人が来たところで、「寒い。先に行く。
殺生ヒュッテに入る。」と告げて、1人先に行くことに。
指先の感覚がなくなってきたころ、ヒュッテに逃げ込むことができました。
10時半 殺生ヒュッテ到着。昼食。 12時半 出発。
先客は御夫婦の2人だけ。土間とテーブルを借りること、火を使うこと、食事
することの許可をもらって気が楽になった。着替えをし、お湯を沸かして、3
人を待つ。20分遅れてずぶ濡れの3人も到着。早速暖かいお茶をいれ、飲む。
ここからは小屋まで小1時間。ゆっくりして、気力を回復すれば小屋まで登り
きるのは問題ないだろう。ヒュッテにうどんを作ってもらい、ロッジで貰った
昼食を食べる。だんだん指先の感覚も戻ってくる。
笑いも戻り、冗談が出るようになって「これなら行ける」を確信して出発。
13時半 槍ヶ岳山荘着。ここで2泊目。
また雨に打たれ、風に吹かれての40分。一気に登りきりました。ガスの中に
ボヤーっと小屋を見つけたときはもう30mほど先でした。
この天気では穂先に登るのは危険。明朝と決めて、ここからは山荘ライフを楽
しむモードに切替わる。このへんの切替はうまい仲間なんです。
まず寝室。とりあえぜ相部屋に入った。混んでない。ゆとりをもって寝れそう。
Y夫人が「個室はないのかしら」と言い出し、受付に交渉しに行く。「ありそ
うよ」となって「物件を見てくる」と3人で出かける。戻って来た時は「決め
てきた」で移動開始。8畳の個室だった。次は各自世帯を広げて今日の始末。
次は一晩の山荘ライフをどうエンジョイするかの算段。
落ち着いたところでワインを買ってきて、談話室へ。寝てる人、談笑してる
グループ、日本百名山のビデオを見てるグループとさまざま。韓国語も飛び交って。
20人くらいのツアー客らしい。わざわざ韓国から。世の中変わったもんだ。
これだけ人がいるから室より暖かい。我々はワインを飲みながら山談義。心地
よく酔いもでてくる。至福の時って感じ。4時頃雨もやみ、視界が開けたよう
で、表に出る。「4時のバカっ晴れ」って言葉があるんですって。
小屋のすぐ前に高さ100mの穂先がドーンとあった。登ってる人もいる。
「とうとうここに来ちゃった。明日この上に登れますように。晴れますように」
と考える。登ってきた槍沢、その向こうに大天井岳から常念、蝶ヶ岳に至る稜
線が見える。雲間から北穂の頂も見える。すばらしいの一言。これだから辞め
られんと月並みなことをまた考える。
そして晩飯。一度に200人ほどが入れる食堂。最盛期は4交代で食事だそうです。
今晩は皆既月食なんだけど、それは見れそうにない。あきらめる。
29日 曇り、16時以降雨
4時 起床。 5時 朝食。
昨日の雨がうそのよう。快晴とは言えないけど、御来光も見れる程度に晴れて
いる。食事前に表に出て山小屋の朝を恒例通り楽しむ。もう登ってる人がいる。
黒い穂先の中ほどに光が見える。頂上にも人の影。5時過ぎ太陽が上がってきた。
今日に大いなる期待をもって朝食。
6時半 出発。槍の頂へ。 7時登頂。
もうほとんどの人は出発した。我々のいつものパターンですが、遅く出て、遅く
着くをここでも実行。
「私行くの辞めようかな」というM夫人を「後悔するよ」と叱咤激励。そして
4人そろって空身でいざ穂先へ。遅く出たせいで、穂に取り付いてる人はいな
い。マイペースで登れる。さすがに急だ。下には小屋の屋根が見える。安全第一。
30分ほどで頂上に。「頂上は30人ほどが立てる広さ」と聞いていたが、ほんと
に狭い。思い描いてた頂上の形も違ってた。でもここが槍のてっぺん。
20分ほどいて、下山。くだりは20分ほどだったかな。4人大満足。後は延々と
降るだけ。
8時半 槍ヶ岳山荘発。来た道を戻る。
山荘で下山準備。いざ下界へ。
昨日は雨で周辺を見ることはできなかったけど、こんなにお花があったんだと
驚くほど花が咲いている。女性達の足も遅れがち。今日はいける所まで行って
どこかにもう1泊と決めているので、花の楽しみもいっぱいすればいい。
快調に下山。
10時半 天狗原分岐着。昼食。荷物を置いて天狗原を往復。
1時歩いて、小休止を繰り返して降りる。天気もまあまあだし、時間の余裕も
あるので天狗原を往復してくることにする。小さな池があって、槍がその湖面
に逆さに写る有名な場所です。とりあえず昼食をとり、荷物を置いて天狗原へ。
先客は3人。有名なのに静か。いい位置に陣取り、雲が切れるのを待つ。
見えた。逆さの槍が。あそこに登ってきたんだと感慨深く眺めた。
12時半 天狗原分岐発。
さらに下山を続ける。周りは花、花、花。楽しい下山。途中で道の補修工事を
やってる所もあった。人はいなかったが、ツルハシ、バールが置いてあって、
今積んだと思われる岩が並んでる。おかげさまで行ってこれました。感謝感謝。
順調な降りだったんですが、トラブル発生。うちの奥さんが足の指が詰まって痛
いと言い出す。これまではこの靴でそこまで痛いと言わなかったのに。下の
ババ平で休憩してチェックすることにし、下山を続ける。
14時前 ババ平休憩。
奥さんの足を見る。たまたまテントを張ってた御夫婦のご主人が靴紐の締め方
を指導してくれる。靴下を2枚履くのもよくないねと指導される。それを聞い
た3人、「2枚なんて古いわよ。私は以前から1枚にしたわよ」と皮肉る。
ご主人が言うように甲から前の部分を強く締めるように変更。
おかげで指の詰まり感はなくなったよう。でも別の問題が。奥さんは外反母趾
なんです。その出っ張りが強く締められて、今度はそこが痛いらしい。これは
どうしようもないな。適当な締め方にして、我慢しろです。
14時半 槍沢ロッジ通過。
ロッジで休憩。奥さんは靴下を1枚にしたようです。ここからは降りも緩やか
になるので歩けるだろうと判断。
そろそろ降りもあきてきた。何か刺激があったらいいかで「横尾でラーメン食べよ
う」となった。一昨日昼食を取ってた時おいしそうなラーメンを食べてる人がいた
んです。僕も見ましたが、M夫人もしっかり見てて、「帰りに食べたい」と思
ってたようで即決定。
時間の余裕もなくなってきた。これは時間の節約も考えなくっちゃで僕が早足
で先を急ぎ、ラーメンを注文しておくことに決定。分かれて先を急ぐ。どうにか
横尾の小屋にたどりついたが、周辺は人もいず、静か。
15時半 横尾で一服。
お店に入って「ラーメン作れます?」と聞いたら、「2時でおしまいなんです」だ
って。がっくり。一機に疲れが出てきた。遅れて出てきた3人にそのことを告
げると一同ガックリ。ここまで来るにも小屋の幻影を何度も見たというのに。
しょうがない。次の行動に移らねば。どこに泊まるかを決めなくちゃ。
以前から「徳沢ロッジ」に1度泊まってみたいという希望がみんなにあったの
で、ここはあと1時間がんばって徳沢までいこうと決定。但し到着が17時を過
ぎそうだ。そうなると入れてくれないかもと心配になる。僕が早便で戻り、予
約だけとりつけようということに。電話という手があったのですが、携帯は圏
外で使えず、横尾の公衆電話はカード専用でだれもカードなんかもってない。そこ
で「僕の早便」となったわけ。地図時間1時間10分の所を40分で歩きました。
この歩きができる と自分の自信にもなりましたね。
途中からまた雨が降ってきた。僕は本降り前にロッジ到着。後ろの女3人はま
た幻影をみながら、ブツブツ言いながら歩いてるだろうなと想像しながら待つ。
17時半 村営徳沢ロッジ着。ここで3泊目。
ここは車が入ってこれる場所ですから山小屋というより旅館に近い。
到着早々夕食。さすがに豪勢。ビールで乾杯。
食後風呂。風呂後室でまた乾杯。21時に強制的消灯で床につく。
外は土砂降り。明日もまた雨の中を2時間歩くのか。まっ、これもいいか。
[ 続き ] はこちらです。
[ 山野草 ] はこちらです。
いつか登ってみたいと思ってたけど、日数が必要なのと、小屋泊りの混雑がおっくうなのとで、具体的な計画をやったことはない。
退職し、時間が自由に使えるようになったことが一番大きい要因だろう。先々週早川尾根に行った際、「ウィークデイに2泊か3泊で行こうよ」となって、即実行したわけです。先々週のY夫人の不完全燃焼を解消するためにも「これは行かなきゃ」だったんです。
27(月)~30(木)の3泊4日、小屋3泊という贅沢な(中年向き)計画。
同行はM夫人、Y夫人、うちの奥さんと私の4人。
27日 晴れのち曇り
5時 白州を出発。
Y夫人宅のエスティマで行く。これで行くために2週間前、ご主人には
パジェロミニで東京に帰っていただいたんです。運転は僕の担当。
7時 沢渡駐車場着。朝食後タクシーで上高地へ。
沢渡にはいくつも駐車場がある。僕はいつも最初にある大きい駐車場を利用
してる。
ここは村営駐車場と私営駐車場が隣接してる。僕は上の村営に入れたが、
入ったとたん左に曲がって下の私営に移動するよう指示するおじさんが手を
振ってる。後でタクシーの運転手から聞いたが、私営のあくどい営業らしい。
そのせいなんだろう、村営は係員すら置いてないようだ。
タクシー代は協定で4000円と決まってた。メータは4900円くらいになるのだが、
一律。バスは1人1000円。4人で乗ればいっしょということですね。
タクシーの運転手いわく、お盆の最盛期は1日に12回往復したそうです。今日は
7回が目標だとか。
8時 河童橋を出発。3時間チョットで横尾着。昼食。地図時間通り。
河童橋(1500m)から横尾(1615m)までの3時間コースは3,4回往復してます。
1時間歩くと明神館、さらに1時間歩くと徳沢園、最後の1時間で横尾山荘に着き
ます。梓川沿いに10kmを3時間かけて歩くのですが、標高差は100mしかありませ
ん。でもこれから挑む高山に向って気持ちがいやでも高揚させられていく好き
なアプローチです。
14時半 槍沢ロッジ着。ここで1泊。
これまでは横尾から涸沢にしか行ったことがなく、槍沢に入るのは初体験でし
た。一ノ俣(1705m)までの1時間はそれまでの3時間と同じで緩やかな登り。ただ
谷が狭くなってきて、山に入ってきたぞを感じさせます。一ノ俣を過ぎると
勾配も出てきて、登山らしい歩きになってきます。でもでもまだまだ息切れす
るような勾配じゃありません。
このあたりで「僕の花」センジュガンビと再会。うれしいもんです。
河童橋から実働5時間で槍沢ロッジ(1820m)に着きます。
ここまでだったら、ちょっとしたハイキング気分でも行けると思います。
ただしロッジまできても槍を見ることはできませんよ。
槍沢ロッジで特筆しておきたいのはお風呂があることです。
但し「奇数日のみ」の掲示がありました。これを見た時「今日は何日」とあわ
てて考えました。「ラッキー!!」でしたね。夕食前に女性1時間、男性1時間の
入浴です。石鹸・シャンプーは禁止です。畳2枚分位の浴槽が2つあって、両方と
も満々とお湯を貯めてます。加熱・停止のスイッチが浴槽横にあるりっぱなもので
す。僕は加熱湯が出てくる口のところに入ったもんだから、熱いのと、湯かき
回し係りになり、おかげで長時間入ってることができましたよ。
気持ちよかったな~。
狙い通り、泊まり客がすくなく、相部屋でもゆとりのスペースでした。
こうでなくっちゃね。夕食も朝食もうまかったですよ。
施設面ではさすが北アルプスですね。南とは「月とスッポン」です。
南もがんばらなくっちゃ。
登山道も常にメンテナンスしてるようです。実に歩きやすかったですよ。
28日 雨
4時 起床。 5時 朝食。
夜半からドシャ降り。雨の音で目が覚める位。いやーな1日の始まり。
6時 出発。最初から雨具を着ての登り。
出発の頃にはちょっと小降りになった。僕は下半身だけの雨具でスタート。
30分ほど歩くとキャンプ指定地ババ平(2000m)に出た。石積みの非難小屋があ
り、ヨーロッパアルプスを思わせる風景。一目でこの地が好きになった僕です。
正面の壁は西岳から槍に至る東鎌尾根です。だからこの先で左側の横尾尾根を
巻きこまないと槍は見えないし、槍沢の深部はまだまだこの先なんです。
7時半 大曲り通過。
ババ平を過ぎると勾配も出てきます。でも道はきれいで歩きやすいのは先に書
いた通りです。
大曲り(2100m)を過ぎて、深部に入ると、これから登る斜面が見通せます。
高度差がまだ900mあります。白馬の雪渓を下から見上げた時と同じ驚きでした
ね。こりゃたいへんだ。
ここまで来ても槍は見えないんです。東鎌尾根が邪魔してるんですよ。
僕達の場合は上空に雲がかかっていて、見えるのやら、見えないのやら すら
確認できませんでした。
8時半 天狗原分岐(2350m)通過。
ここまで来ると槍沢の内院奥深くまで来た感じです。すっぽり北アルプスに包ま
れて、山人になれますね。雨に打たれても、足元だけを見て登るだけです。
このあたりでもまだ槍の本体は見えないんですよ。
僕はこのあたりまで上半身の雨具を着ないで歩いてましたが、さすがに危険を
感じ、上を着ました。でも遅かったかな。体の冷えを感じだしました。
天狗原分岐から30分ほど登ると槍が見え始めるんです。僕達も雲の切れ間から
待望の穂先を何度か見上げました。「大きい」という感想、「意外に小さいね」
という感想 こういうもんなんでしょうね。
後ろの女3人のペースも落ち始めてます。殺生ヒュッテまで1時間弱という所で
寒さに耐えながら後ろを待ちました。3人が来たところで、「寒い。先に行く。
殺生ヒュッテに入る。」と告げて、1人先に行くことに。
指先の感覚がなくなってきたころ、ヒュッテに逃げ込むことができました。
10時半 殺生ヒュッテ到着。昼食。 12時半 出発。
先客は御夫婦の2人だけ。土間とテーブルを借りること、火を使うこと、食事
することの許可をもらって気が楽になった。着替えをし、お湯を沸かして、3
人を待つ。20分遅れてずぶ濡れの3人も到着。早速暖かいお茶をいれ、飲む。
ここからは小屋まで小1時間。ゆっくりして、気力を回復すれば小屋まで登り
きるのは問題ないだろう。ヒュッテにうどんを作ってもらい、ロッジで貰った
昼食を食べる。だんだん指先の感覚も戻ってくる。
笑いも戻り、冗談が出るようになって「これなら行ける」を確信して出発。
13時半 槍ヶ岳山荘着。ここで2泊目。
また雨に打たれ、風に吹かれての40分。一気に登りきりました。ガスの中に
ボヤーっと小屋を見つけたときはもう30mほど先でした。
この天気では穂先に登るのは危険。明朝と決めて、ここからは山荘ライフを楽
しむモードに切替わる。このへんの切替はうまい仲間なんです。
まず寝室。とりあえぜ相部屋に入った。混んでない。ゆとりをもって寝れそう。
Y夫人が「個室はないのかしら」と言い出し、受付に交渉しに行く。「ありそ
うよ」となって「物件を見てくる」と3人で出かける。戻って来た時は「決め
てきた」で移動開始。8畳の個室だった。次は各自世帯を広げて今日の始末。
次は一晩の山荘ライフをどうエンジョイするかの算段。
落ち着いたところでワインを買ってきて、談話室へ。寝てる人、談笑してる
グループ、日本百名山のビデオを見てるグループとさまざま。韓国語も飛び交って。
20人くらいのツアー客らしい。わざわざ韓国から。世の中変わったもんだ。
これだけ人がいるから室より暖かい。我々はワインを飲みながら山談義。心地
よく酔いもでてくる。至福の時って感じ。4時頃雨もやみ、視界が開けたよう
で、表に出る。「4時のバカっ晴れ」って言葉があるんですって。
小屋のすぐ前に高さ100mの穂先がドーンとあった。登ってる人もいる。
「とうとうここに来ちゃった。明日この上に登れますように。晴れますように」
と考える。登ってきた槍沢、その向こうに大天井岳から常念、蝶ヶ岳に至る稜
線が見える。雲間から北穂の頂も見える。すばらしいの一言。これだから辞め
られんと月並みなことをまた考える。
そして晩飯。一度に200人ほどが入れる食堂。最盛期は4交代で食事だそうです。
今晩は皆既月食なんだけど、それは見れそうにない。あきらめる。
29日 曇り、16時以降雨
4時 起床。 5時 朝食。
昨日の雨がうそのよう。快晴とは言えないけど、御来光も見れる程度に晴れて
いる。食事前に表に出て山小屋の朝を恒例通り楽しむ。もう登ってる人がいる。
黒い穂先の中ほどに光が見える。頂上にも人の影。5時過ぎ太陽が上がってきた。
今日に大いなる期待をもって朝食。
6時半 出発。槍の頂へ。 7時登頂。
もうほとんどの人は出発した。我々のいつものパターンですが、遅く出て、遅く
着くをここでも実行。
「私行くの辞めようかな」というM夫人を「後悔するよ」と叱咤激励。そして
4人そろって空身でいざ穂先へ。遅く出たせいで、穂に取り付いてる人はいな
い。マイペースで登れる。さすがに急だ。下には小屋の屋根が見える。安全第一。
30分ほどで頂上に。「頂上は30人ほどが立てる広さ」と聞いていたが、ほんと
に狭い。思い描いてた頂上の形も違ってた。でもここが槍のてっぺん。
20分ほどいて、下山。くだりは20分ほどだったかな。4人大満足。後は延々と
降るだけ。
8時半 槍ヶ岳山荘発。来た道を戻る。
山荘で下山準備。いざ下界へ。
昨日は雨で周辺を見ることはできなかったけど、こんなにお花があったんだと
驚くほど花が咲いている。女性達の足も遅れがち。今日はいける所まで行って
どこかにもう1泊と決めているので、花の楽しみもいっぱいすればいい。
快調に下山。
10時半 天狗原分岐着。昼食。荷物を置いて天狗原を往復。
1時歩いて、小休止を繰り返して降りる。天気もまあまあだし、時間の余裕も
あるので天狗原を往復してくることにする。小さな池があって、槍がその湖面
に逆さに写る有名な場所です。とりあえず昼食をとり、荷物を置いて天狗原へ。
先客は3人。有名なのに静か。いい位置に陣取り、雲が切れるのを待つ。
見えた。逆さの槍が。あそこに登ってきたんだと感慨深く眺めた。
12時半 天狗原分岐発。
さらに下山を続ける。周りは花、花、花。楽しい下山。途中で道の補修工事を
やってる所もあった。人はいなかったが、ツルハシ、バールが置いてあって、
今積んだと思われる岩が並んでる。おかげさまで行ってこれました。感謝感謝。
順調な降りだったんですが、トラブル発生。うちの奥さんが足の指が詰まって痛
いと言い出す。これまではこの靴でそこまで痛いと言わなかったのに。下の
ババ平で休憩してチェックすることにし、下山を続ける。
14時前 ババ平休憩。
奥さんの足を見る。たまたまテントを張ってた御夫婦のご主人が靴紐の締め方
を指導してくれる。靴下を2枚履くのもよくないねと指導される。それを聞い
た3人、「2枚なんて古いわよ。私は以前から1枚にしたわよ」と皮肉る。
ご主人が言うように甲から前の部分を強く締めるように変更。
おかげで指の詰まり感はなくなったよう。でも別の問題が。奥さんは外反母趾
なんです。その出っ張りが強く締められて、今度はそこが痛いらしい。これは
どうしようもないな。適当な締め方にして、我慢しろです。
14時半 槍沢ロッジ通過。
ロッジで休憩。奥さんは靴下を1枚にしたようです。ここからは降りも緩やか
になるので歩けるだろうと判断。
そろそろ降りもあきてきた。何か刺激があったらいいかで「横尾でラーメン食べよ
う」となった。一昨日昼食を取ってた時おいしそうなラーメンを食べてる人がいた
んです。僕も見ましたが、M夫人もしっかり見てて、「帰りに食べたい」と思
ってたようで即決定。
時間の余裕もなくなってきた。これは時間の節約も考えなくっちゃで僕が早足
で先を急ぎ、ラーメンを注文しておくことに決定。分かれて先を急ぐ。どうにか
横尾の小屋にたどりついたが、周辺は人もいず、静か。
15時半 横尾で一服。
お店に入って「ラーメン作れます?」と聞いたら、「2時でおしまいなんです」だ
って。がっくり。一機に疲れが出てきた。遅れて出てきた3人にそのことを告
げると一同ガックリ。ここまで来るにも小屋の幻影を何度も見たというのに。
しょうがない。次の行動に移らねば。どこに泊まるかを決めなくちゃ。
以前から「徳沢ロッジ」に1度泊まってみたいという希望がみんなにあったの
で、ここはあと1時間がんばって徳沢までいこうと決定。但し到着が17時を過
ぎそうだ。そうなると入れてくれないかもと心配になる。僕が早便で戻り、予
約だけとりつけようということに。電話という手があったのですが、携帯は圏
外で使えず、横尾の公衆電話はカード専用でだれもカードなんかもってない。そこ
で「僕の早便」となったわけ。地図時間1時間10分の所を40分で歩きました。
この歩きができる と自分の自信にもなりましたね。
途中からまた雨が降ってきた。僕は本降り前にロッジ到着。後ろの女3人はま
た幻影をみながら、ブツブツ言いながら歩いてるだろうなと想像しながら待つ。
17時半 村営徳沢ロッジ着。ここで3泊目。
ここは車が入ってこれる場所ですから山小屋というより旅館に近い。
到着早々夕食。さすがに豪勢。ビールで乾杯。
食後風呂。風呂後室でまた乾杯。21時に強制的消灯で床につく。
外は土砂降り。明日もまた雨の中を2時間歩くのか。まっ、これもいいか。
[ 続き ] はこちらです。
[ 山野草 ] はこちらです。
私たちも、3回行ったかな。
日数から行くと、表銀座コースとか裏銀座コースなんかでもよかったですね。
でも、山登りうらやましい。
我が家は、泊まりではしばらく行けそうもありませんから。
ご婦人方もお元気そうですが、岳さんのリードが良かったからでしょう。
槍ケ岳山荘からの写真がいいですね。
北アルプスに行ったぞいう喜びが感じられます。
天狗原の花の写真も見たいのですが?これからですか?
奥様の足、爪を痛めたりしなかったでしょうか?
私は外反母指ではないけれど、甲が薄いので、足が前に来てしまいます。長い下りでは、それはそれはツライことになります。なかなか合う靴はみつかりません。厳密にいうと普段の靴も合いにくいのですが、山歩きでは、靴はなにより大切ですからね。
NET友人のさくらさんからもいろいろコース教えてもらったんです。でも初めての槍、それに中年ですからね、一番安全なコースを選んだわけ。
それだから行けたんですよ。
昨夜反省会をやったんですが、今月22日からテントで甲斐駒行こうと言い出してます。
山は楽しいですね。
花の写真 今晩あたりupできるでしょう。楽しみに。雪が多かったせいだろうが結論なんですが、春、夏、秋の花が混在して咲いてましたよ。天狗原は花なかった。
奥さんの足 10年来履いている靴で、今まで大きな問題はなかったんですがね。皮が伸びてきたか、彼女の足が痩せた、あるいは外反母趾が進んだ そんなことが起きてるのかも。靴の新調が必要かもです。