カワセミ側溝から(旧続・中岳龍頭望)

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

人間は公正に扱われなければならない   イコライザー

2024-03-18 | 映画

イコライザー/アントワン・フークア監督

 昼はホームセンターで働き、夜には近所のカフェで静かに読書をする男は、カフェに来た若い娼婦と客同士の顔見知りである。娼婦なので時には危ない客も取っている様子だが、組織から抜けられずに、無理に客を取らされ、暴力事件に巻き込まれていることを知った男は、彼女を助けるために立ち上がるのだった。しかしながらこの組織は、実は国家的になロシヤ・マフィアであり、逆に男は、執拗に付け狙われる立場に追い込まれていくのだったが……。
 もとはTVドラマのものを映画化したものらしい。キャストの白人と黒人の違いなど、さまざまな設定は異なるようだが、自らの平等意識のようなものから、人間の不条理な状況を調整するようなところを演出しているものらしい。また、人間凶器としてのアクションも魅力の一つだろう。
 主人公は元特殊工作員で、ずば抜けた身体能力や知能を持っていて、たった一人で凶悪な犯罪組織と対峙できるような強さを兼ね備えた人物である。その設定自体は漫画的ではあるものの、映画としてそのあたりに人物造詣や、心理葛藤に至るまで、それなりに描かれていて、説得力は持たせてある。ちょっとした間の置き方のある演出なのだが、実際のところそういう部分こそが後のアクションに対するリアリティを支えていたり、カタルシスにつながる要素を持っているようで、観ていてだんだんと気分の盛り上がるものがある。いくら何でもあり得ないだろう、という言うようなアクション映画の多い中、同じあり得ないアクションを演じながら、違和感が少ないのもそのためである。むしろ感心してしまう訳で、科白の気の利いた展開ももちろんながら、ハードボイルドの在り方の提示の仕方が、非常に現代的な感じがする。娯楽作品には違いないのだが、映画としての厚みのようなものも同時に味わうことができて、後にこれがシリーズ化したのは当然のように感じられた。
 もちろん出来すぎているのだが、その出来すぎていたとしても、ただ単にかっこいいだけのヒーローでは無いのである。行き過ぎた暴力を使う際にも、その非道さを含め、何か内面に悲しさも秘めていることが見て取れる。事情があって俗世界から退いているにもかかわらず、見逃しておけないことが、自分自身の内面に残っている。そういうものを、自分の死の恐怖との葛藤がありながら、向き合ったのちに行動を決めているのである。そうなってからは、実に一直線なのだが……。
 素直に面白いので、続編を見ることにします(たぶん)。
コメント
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