カワセミ側溝から(旧続・中岳龍頭望)

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

リクエストで分かる皆の気持ち

2024-03-15 | 音楽

 ワールドロックナウが、3月いっぱいで放送終了になるという。97年から放送していたというから、27年の歴史に幕が下りるわけだ。DJの渋谷陽一が病気療養中ということであるが、何の病気でどういう状態かは不明のまま、続行が困難と判断されたのかもしれない。代わりに今は伊藤政則が留守番で番組を務めているが、渋谷さんが戻らないまま、代わりが最後までということになる。伊藤さんの番組運びは、それはそれで大変に楽しいものだけれど、どうにもわびしい気分に陥ってしまう。ワールドロックナウの終了後は「洋楽シーカーズ」という番組に鞍替えするとのことだ、大貫憲章が加わってというから、伊藤政則と掛け合いでやるものなのか。詳細は追って、ということになる。
 考えてみると僕は二十代後半の、わりに放送の始まる最初のころから聴いていたことは間違いない。実のところ前身とまでは言えないかもしれないが、同じくNHK-FM番組のサウンドストリートは、中学生から二十歳前くらいまで聴いていたのである。最初は木金の二日間渋谷さんが担当していて、洋楽も邦楽も扱っている番組だった。結局金曜一日になり、何故か終了していた。十代の終わりは忙しい時期で、金曜の夜にはもうほとんど聴けてなかったかもしれないが、ときどきはカセットテープに録音して聴いていた。僕はこれ以外のラジオ番組を聴くタイプではなかったし(好みの傾向でない音楽を聴くほど心が広くないのだった)、歌謡曲は飲み屋で聴くカラオケしか聴いたことが無い。テレビの歌番組は小学生までで、それ以後は日本の流行歌とはほとんど縁がない。もちろん、ぜんぜん知らない訳では無いが、興味が無いというか。通勤は毎日1時間はCDか、この録音した番組を聴く。そういうのを何十年と繰り返してきた訳だ。そういうものから一旦は強制終了がかかる訳で、これを何と言っていいのかよく分からない。もう僕はあとそうしないうちに、死んでしまうのではなかろうか。
 渋谷さんの紹介する音楽の傾向が、必ずしも自分とぴったり合っていたわけではない。ヒップポップなんて歌詞の分からない日本人が聴いても仕方ないし、前衛的なダンスミュージックも耳障りだった。リクエストはあったのだろうが、何十年も前から、基本的には渋谷さん自身が気に入っていたものだけを受け付けていたのではないか。以前は月に一回リクエスト特集というのがテーマを決めて行われていたので、そういう時は皆リスナーは張り切ってリクエストを書いていた。普段はそんな風に、渋谷さんならかけてくれるという曲を考えないと放送に乗らない。自分の好きな曲を選んではならないことくらいリスナーは知っていたので、リクエストで何回も聴いたことのあるラジオネームの人くらいしか、リクエストしていなかったのではないだろうか。
 それというのも、伊藤さんにDJが変わってから、実はだいぶ前からのリスナーだという人の、リクエストが増えているように思う。リクエストを出すことがリスナーとしての存在意義だとまでは言わないが、こういう場面が来ないことには、なかなかメッセージを送ろうとまでしないだろう大多数の番組ファンがいる筈で、結局僕も一度として葉書やメールをすることは無かった。一度だけ、番組へのメール受付をすべきだという意見を送ったことがあるのだが(10年くらい前だと思う。その後最近はフォーマットがやっとできた)、それは無視された。いわばそのような保守的な部分を含め、歴史のある番組だったのである。
 最後になって番組リスナーの、実に多彩で見事な選曲に唸ってしまう思いがする。みんな多かれ少なかれ同志であって、そうして渋谷さんの申し子だ。気分は沈んでしまうものがあるにせよ、切り替えて楽しまなければ、という思いのみである。どうか元気になって下さい。
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする