カワセミ側溝から(旧続・中岳龍頭望)

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

22年を振り返る 読書②考え・モノの見方

2022-12-31 | なんでもランキング


 というくくりでみると、この本には汎用性がある。どんな仕事にも生かされる考え方ではなかろうか。
「面白い」のつくりかた/佐々木健一著(新潮新書)

 正直言って物理の世界はどうなってるんだかよく分からないが、そういうちょっと分からないなりの考え方の一端が垣間見える。面白いかもしれない。
物理学者のすごい思考法/橋本幸士著(インターナショナル新書)

 誰でも知ってるプレスリー。でもそれってホント? プレスリーには闇があるから魅力的なのかもしれない。
エルヴィス・プレスリー/東理夫著(文藝新著)
 
 歴史を読み解くと人間がいかに愚かかもわかる。それはそういう人がいたからということではなく、僕らの内部にいる人たちだからだ。
酒池肉林/井波律子著(講談社学術文庫)
 
 正直に言っていい読書会に参加できる機会はそうそうないだろうけど、文学作品を読んでいくことで人生の糧になる人々がいることを知るのもいいことだろう。
読書会という幸福/向井和美著(岩波新書)

 僕がいかに日本美術をいい加減に見ていたのかということを、知らしめられた。絵っていうのはこうやって観るものだったのだ。脱帽!
へんな日本美術史/山口晃著(祥伝社)




+漫画
 これ、ネットで見たんだっけ。好きなことをやりたい人の応援歌かもしれない。(本、持ってました!)
 ルックバック/藤本タツキ著(集英社)
 
 ペットロス二年の僕にとってはつらい漫画だが、しかし涙流しながら読むしかなかった作品。悲しいよ~。
犬を飼う/谷口ジロー著(小学館文庫)

 という事で、いつの間にか大晦日。皆さんお世話になりました。良いお年を!
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高いところに住み続けられない   空に住む

2022-12-30 | 映画

空に住む/青山真治監督

 郊外の出版社に勤める直美は、両親を失い叔父からタワーマンションの一室をあてがわれて暮らすことになる。そこから見える都心の風景は、傷心とともに何か浮遊したような気分にさせられる。そういう環境にあって、同じマンションで暮らしている人気俳優・時戸と知り合い、そのまま情事を繰り返すようになる。
 飼っている猫が病気になって弱っていったり、同僚が不倫で妊娠していたり、おじさん夫婦の奥さんを嫌っていたり、などのエピソードを絡めながら物語は進んでいく。タワマンというのは都市部の憧れの住居のようだが、そこは同時に不穏の場所としての象徴になっているのかもしれない。満たされない女性の自立についても、描かれているのかもわからない。
 面白くなりそうな雰囲気を持ってはいるが、ちょっと中途半端かな、という感じである。科白がこなれていなくて、商業映画としても未熟な感じ。この監督作はだいたいそういう不穏さが漂うものかもしれないが、少し偏見が過ぎるのか、よく物事が分かっていない感じもする。こういう男とは、いくら芸能人だからと言って付き合っても面白くないし、やはり出会いや付き合い方も不自然だ。おばさんが嫌いなのは分かるが、その嫌悪の伝え方はいくらでもあるだろう。また、いい会社なのかもしれないが、それも観念的な理想主義のような感じもする。そういう感じのいいところというのは、やはり嘘っぽい。現実を生きていない人が多くて、どうにもふわふわと地に足がついていないということだろうか。
 全体的に残念な出来栄え。誰かが褒めていたので観てしまったが、お好きな人はどうぞ、という感じかもしれない。
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22年を振り返る 読書①小説

2022-12-29 | なんでもランキング


 ともかく衝撃を受けてしまって、気分がものすごく悪くなった。そういう小説が世の中にはあるということで、お勧めなんだかよく分からないが凄いものです、これは。
忌中/車谷長吉著(文春文庫)

 この方もそういえば亡くなったのだった。本人は開き直っていたのかもしれないが、それでも楽しい人生だったのだろうか? 僕にはとても分からない。
小銭をかぞえる/西村賢太著(文春文庫)

 これは素直に楽しんで読んだ。こういうスケールの日本の小説が書かれているんだということを知らなかった。反省しております。
ANK: a mirroring ape/佐藤究著(講談社文庫)


 これはテレビ番組で紹介されて何気なく手に取って、一気読みだった。やっぱり失恋って面白いかもしれない。
くまちゃん/角田光代著(新潮文庫)

 こういう作風って脱力系とでもいうのでしょうか。でもツボにはまるような面白さはあって、悪くないです。ひどく面白い訳じゃないけど。
すっぽん心中/戌井昭人著(新潮社)

 なかなか事件も起きないし、旅行ものなのかな、と思ってしまった。でも本当の事件と絡んでいって、ちょっと不思議な感じもあるかもしれない。
王とサーカス/米澤穂信著(創元推理文庫)

 これは映画の影響があって読んだが、特に中のもう一つの短編「ピクニック」の訳の分からなさにしばし考えさせられた。これの一体何が面白いのか? この面白くなさというか嫌な感じを読むのが、読書なのかもしれない。
こちらあみ子/今村夏子著(ちくま文庫)
「ピクニック」

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猫の次に殺したくなるのは……   猫いじめに断固NO!虐待動画の犯人を追え

2022-12-28 | ドキュメンタリ

猫いじめに断固NO!虐待動画の犯人を追え/マーク・ルイス監督

 元はテレビドキュメンタリー作品のようだ。3話からなり、合計185分。放送の都合で区切られただけだろうと思われ、基本は一本の映画のようなものだろう。
 最初はネットで猫殺しの映像が流れることにより、これを許せないと感じたネットの動物愛好家たちが、この卑劣な行為を行った男をネット上から探そうとする。犯人のちょっと写った横顔や、住んでいるらしい街の風景の何気ない物体から、場所を割り出そうとする。同時に犯人の人物像もぼんやりと輪郭を持つようになる。犯人がネット上に残した足跡などから、スピルバーグなどの映画の愛好家だったり、それらの映画の主人公に感化されているらしいことなども感じられていく。しかししながら犯人も狡猾なところがあり、近づけば逃げて、なかなか実在にはたどり着くことはできない。
 もどかしいことが続いていた後、この猫殺しの男と思われる人物が、殺人事件に及ぶのである。それも殺人の場面をネット上に公開し、遺体の一部を政党本部などに郵送するなどの挑発行為を行う。殺人が起こったとされる北米カナダでは、国を挙げての大変な騒動に発展していくのだ。ところが犯人は既に、その騒ぎの最中フランス・パリに高跳びしてしまった。足取りは防犯カメラなどで追われていくことになるのだったが……。
 最初から筋書きを描いたような展開である。まるで、ミステリサスペンス映画を観ているかのような、ドキュメンタリー作品である。結果的に編集の勝利だと思うが、関係者の取材やインタビューと、それらが行われたであろう現場のものや、膨大な防犯カメラなどの映像を駆使して、あたかも時系列通り事件が進行したかのような構成を取っているのである。ネット時代なので、後追いでも多くのアーカイブが残っていたのであろう。どの時点でこの事件を追っていたものかは僕には分からないが、一番最初から、これが殺人まで発展することを見越して取材を始めたわけでは無いのだろうと思う。だからこそ、このように仕上げられたという構成力が素晴らしいのであって、このドキュメンタリーが作られた最大の功績があると言えるだろう。観るものは興味の赴くままに映像を眺め、取り込まれ、逃げられなくなるだろう。実直に面白いからで、今おぞましい事件の数々を見てもなお、当事者が自分だったことにも気づかないのではあるまいか。
 しかしながらこういうナルシストというか、こういう快感に生きる人生を選択する人がいるというのが、本当に驚きだ。確かにモンスターには違いないが、純粋に言えば、好きな映画を深く愛しているだけなのかもしれない。そんなのに巻き込まれる人にとっては、たまったものでは無いにせよ。これで猫をいじめられなくなるだろうということを、心の平安にするしかないではないか。
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斬新は王道だ   「面白い」のつくりかた

2022-12-27 | 読書

「面白い」のつくりかた/佐々木健一著(新潮新書)

 著者はNHKの主にドキュメンタリー作品などのディレクター。僕は特に意識していなかったが、著者の作品をそれなりに観ていて、結構ブログで紹介していたと思う。それくらい良質で面白い作品を作っている人で、最近は著作も多くなっていて、いわゆる売れているのかもしれない。テレビのドキュメンタリー作品なので、お笑い番組のように人々を笑わせるようなことを目的としたものではない。それの一体何が面白いのか、ということなのだが、少なくとも僕は、確かに面白さを求めて観ていることは確かである。
 いろいろと面白さについて、また、その面白さを作る方法が実際に書かれているわけだが、基本的にはオーソドックスなものだと言える。しっかりと準備を怠らず、勉強をして、なおかつ自分で信じるものを根気強く追うしかない。奇をてらったり、忙しさに手を抜けば、面白いものができるわけではない。また面白いものを作りづらくなった環境があるのであって、テレビ制作の現場は妨害自体が多いということもよく分かる。
 そもそも著者の若いころから変わっていることがあって、テレビ局の先輩の姿を見て、まったく共感ができなかったことから、自分はまねをすることなく、勝手に資料を漁って協調しなかったところから歴史が始まっている。忙しくてもちゃんと寝て、先輩から聞かされる製作哲学を無視しつづけて自分なりに考えたからこそ、面白いものが作れたということのようである。面白さなんてものは、人から習うものでは無いのかもしれない。
 面白いものを作ろうということは、面白い題材が空から降って来るのを待つことではない。しかしドキュメンタリーには対象があり、その向き合い方や、構成の在り方をじっくりと考え抜くことが必要になっているようだ。あらゆる情報を集めぬいて、それを書きだして、ペタペタ壁に書いたメモを張り付けて、眺めて、前後に入れ替えたり、固めたりしていく。その為だけに、紙を張る壁のあるスペースを作っているらしい。そうして頭の中で作り上げたシナリオのようなものをもとに、取材して向き合うのである。
 テレビの企画のようなものは、ある意味で特殊なものであるという偏見があると、この本の内容を理解したことにはならないだろう。もちろん著者も、そういう視点でこの本を書いてはいない。実はこの仕事術のようなものは、他の仕事にこそ汎用性がある。だからこそ著者はこれを書いたのだし、読まれるように工夫したはずである。特に嘘が在るとはいえないが、テレビの企画においては、これに書かれている以上の自信が、著者にはあるはずである。他の人にはそれが容易にできるはずがないから、あえて題材を素直に書いているに過ぎないのだろう。そうした王道にこそ、斬新さが潜んでいる。確かに仕事とは、そういうものなのであろう。
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とにかくすさまじいことは確かだ   グレイマン

2022-12-26 | 映画

グレイマン/ジョー&アンソニー・ルッソ兄弟監督

 CIAに殺し屋として雇われたシックスという凄腕の男がいる。仕事で殺した相手が、実は元同僚であることと、この男が持っていたチップにCIAの上司の悪事が記録されていることを知り、逃亡する。しかし裏切りを知られシックスを殺すために、さらに強力な権力と狂気を持ったロイドという男が、執拗に攻撃を仕掛けてくるのだった。
 原作があるらしく、さらに数冊の物語を掛け合わせてオリジナルの脚本にしているらしい。その為なのかプロットは複雑で、今時の007もののようなものなのかもしれない。とはいえ、一定の単純な勧善懲悪のような側面もあり、大量に人が死ぬし派手なのに、主人公は不死身である。そういうところはちょっとおかしいのではないか、と素直に感じるところである。どうしてこれほどの強さがあり、どうしてかなりのダメージを受けながら死なないのだろうか。それでは、この物語が終わってしまうからだろうけれど……。
 こういうアクションは、派手だからいいということもあるのかもしれないが、平気で街中でドンパチやっていて、もしも現実にこんなことがあったならば、世界中で大ニュースになるはずで、そういうところが観ていて気分が冷める原因ではないかと思われる。それってはたして僕だけのことなんでしょうか。
 また、悪役は平気で人を殺しまくるが、とがめる人がいない。いちおう組織で動いているわけで、やくざならともかく、CIAの中の人間がこうでは、どうにもならない。そうしてたいして調べもしないで、誰かの仕業に勝手にできるというのも、どうなんだろう。
 まあしかし、設定として誰かを助けに行ったり、実際にスリルのある映像が続くのは、悪くないところもある。よくまあこういうアクションを考えつくなあ、という感慨のようなものはある。それも次から次へと展開される訳で、考えついた人は、そういうところは頭がいいのである。ふつうの映画ならクライマックスであるものが、まさにてんこ盛りである。贅沢といえば贅沢で、それだけでも観る価値があるということはできるかもしれない。いわゆる特撮だとはわかっているはずだが、今の技術は本当に凄くなったものである。これを特撮なしでやったならば、本当に人が死んでいることだろう。
 ということで、面白いんだかそうでないんだかよく分からない書き方をしてしまったが、そういう映画だということで……。
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22年を振り返る③(ドキュメンタリーも良かった)

2022-12-25 | なんでもランキング

 これは厳密にはドキュメンタリーというか、コンサートである。しかしながら、こんなにドラマチックな舞台ってそうそうないだろう。多様性とは何か。答えは完全な形でここにある。大傑作である。
アメリカン・ユートピア/スパイク・リー監督
 
 いわゆる女好きの男ってのはたくさんいるわけだが、ここまで徹底していると芸術になるという事。凄いなあ、と思います。
ヘルムート・ニュートンと12人の女たち/ゲロ・フォン・ベーム監督

 こういう成功者ってのもいるんだね。どんどん成功していい人なんだけど……。人生のジェットコースターを味わえる。
ドーナツ王のアメリカンドリーム(ドーナツキング)/アリス・グー監督

 最近はドキュメンタリーで商業的に成り立つ作品も増えているようだ。今後ももっとそんな感じになってくれるといいな、と思います。紹介してないけど、日本の作品もいいのが結構あるんですよね。系統だって紹介できるといいかもしれない。来年そうするかもしれないし、しないかもしれない。ちょっと実際を見て、考えてみます。
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不自由が恐怖を助長する   RUNラン

2022-12-24 | 映画

RUNラン/アニーシェ・チャガンティ監督

 クロエは何らかの障害があるらしく車椅子生活を送っている。身の回りの世話は母親が担っている。母は献身的に娘の世話をしているものの、愛情が強すぎるためか、やや過保護気味にみえる。ある日買い物袋の中から、母の薬らしいのが別に入っているのを見つける。ところがこの薬、実はいつもクロエが飲まされている薬の一つなのだ。なぜ母は自分にこの薬を飲ませているのか疑問に思っていると、なんだか母の行動には、別にも疑問に思われるものが出てくるのだった。いったい母は、何を考えて、私に害のあることをしているのだろうか……。
 車椅子なので、基本的には歩けないようだ。しかし住んでいる部屋は二階にある。階段に昇降機が取り付けられているが、ある事情で母親から軟禁されておりられなくなる。彼女は逃げるためにどうしたらいいのだろうか。
 次々に降りかかる絶望的な状況に、体の不自由がありながら立ち向かわなければならない。徐々に母親の狂気が明らかにされて、恐怖の度合いもヒートアップしていく。クロエは、まさに捨て身の戦法でそれらを乗り越えようとするのだが、状況はもっと悪くなってしまい……。
 上映時間が短くて助かる、と思わせられるほどスリルと恐怖が続く。助けが無い限り、状況は打開できないことが分かっているが、保護している母親が敵なのである。そんなの説明が簡単ではないばかりか、事情があって、障害の機能がどんどん重度化してしまう。もう無理だと思って諦めたら、本当に終わってしまうのである。そこで題名のRUNが活きてくるのだった。
 エンディングも含めての、怖さが滲むようだ。アイディアの勝利といえて、やっぱり作品というのは、こういう練られた構成こそ大切なのだと思わせられた。ちょっと怖すぎるけど、狂気というのはこういう娯楽性もあるんだということで、ぜひ観てください。
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22年を振り返る②(邦画)

2022-12-23 | なんでもランキング


 素直にこの映画は素晴らしくよくできていると思った。ゲイというのはこういう感じなんだな、とかなりしっくり理解できた。そして周りの勘違いも。娯楽作としても楽しめます。
①彼女が好きなものは/草野翔吾監督


 日本の中にある階級というのが、なかなかによく描けている。そうしてその悲しみのようなものも。どうしようもできないことってあるんだよね。この世界は。
②あのこは貴族/岨手由貴子監督
 

 これはリメイクものらしく、さらにほかにもリメイクがあるという。それだけこの題材はサスペンスとして面白いという事だろう。映画の構造として、いろいろ驚かされる。
③見えない目撃者/森純一監督
 

 これはもう暴力のぶっ飛び方の勝利だろう。壊れたものこそ強いというのは、ほかの世界でもいえることかもしれない。
④孤狼の血LEVEL2/白石和彌監督
 

 賞をとったからいいとは限らない場合が多いのだが、これはまあ、そうなるでしょう。不思議な味わいもあって、なんだかよくわからないところもいいのかもしれない。
⑤ドライブ・マイ・カー/濱口竜介監督


 はっきり言ってかなり変な世界観なんだが、とにかくすごいってことでいいのである。監督さんまた作ってるらしいですね。楽しみです。
⑥JUNK HEADジャンク・ヘッド/堀貴秀監督


 シン・ゴジラが素晴らしかったので、これも素晴らしいとは期待していた。ギャグも含めて結構やりたいことはやってたのね。観念的政治の世界。ほんとの政治もこうでありたい。
⑦シン・ウルトラマン/樋口真嗣監督


 あれ、これ面白いじゃんって、観ながら感じてました。どうなのか? って少し混乱していくところがミソであります。
⑧キャラクター/永井聡監督


 これもなんだか混乱する。これっていったいどうなるつもり? 現実との堺って、あんがいあやふやなのかもしれない。
⑨鳩の撃退法/タカハタ秀太監督
 



 ランキングとしてはここまで。


 少し古いがこれも良かったので。今ではこの役者さんたち、この役をやってくれないだろう。そういう意味でも貴重です。
蛇にピアス/蜷川幸雄監督

 これはかっこよすぎるんだけど、まあ娯楽なんでいいのである。
居眠り磐音/本木克英監督
 
 これは面白いんだかよく分からないんだが、なんとなく引っかかったので。でも、学生時代にはこういう人居たかもしれない。
佐々木インマイマイン/内山拓也監督

 演劇の作品だろうという事はすぐにわかった。やはり作りが上手いのであろう。
アルプススタンドのはしの方/城定秀夫監督




 番外編で、まずは全然お勧めでないもの。これは全くダメだろうと思うのだが、世間の評価とあまりにも僕の感覚が違うので、どうなんだろう。
空白/吉田惠輔監督

 一方でちょっと古いのだが、こんなひどい作品を日本は娯楽として作れるという懐の深さとして。観て後悔するかもしれませんけどね。
殺し屋1/三池崇史監督
 
 という事で、皆さんごきげんよう。
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いわゆる政治的戦い   シン・ウルトラマン

2022-12-22 | 映画

シン・ウルトラマン/樋口真嗣監督

 巨大生命体の「禍威獣(怪獣ではないらしい)」が暴れる日本に、さらに謎の巨人飛翔体ウルトラマンがやって来る。ウルトラマンは、何故か子供をかばって死傷した日本の禍威獣対策室で働いている家永という男が気になり、一体化している。最初は仲間たちもそういう事情に気づいていないが、案外早くの段階から家永がウルトラマンであることが分かってしまう。ところで事態はより複雑なことになっていて、宇宙の中では遅れて進化している地球人は、そうではあるが生命兵器としての価値があるらしいことが分かった。そのことから地球人を家畜化し管理しようとするメフィラスという外星人が現れるが、ウルトラマンと居酒屋などで歓談し、意見が決別する。そのうち戦いになるが、また別の光の星からの使者の存在を感知し、メフィラスは地球から撤退する。しかしこの戦いにおいて、ウルトラマンの親戚のようなゾーフィは、人間や地球は将来の危険性から駆除対象になったとして、一方的に攻撃し滅ぼすことを告げるのだった。
 いわゆる怪獣と戦う正義の巨人の物語のはずなのだが、きわめて理屈っぽい政治劇になっている。基本的に辺境の宇宙の果てにある地球という環境に遅れて進化した僕ら地球人の運命が、まだ起こりえない宇宙的な脅威の元となる可能性を秘めているために、滅亡の危機にあるのだ。それも地球人には未だに計り知れない強大な力をもつ外星人の思惑の一つで、そういう判断をされてしまうのだ。非常に残酷であるばかりか不条理すぎる設定だが、だがすでに時間がない。水面下の会話で話し合いが進められていき、強大な力と力の戦いが始まるのであった。 
 最初は当然、何かの冗談だと思っていた。シュールだが笑えるし、深刻そうな感じはあんまりない。禍威獣が暴れるのは困ったことだが、ウルトラマンが出てきたら、最終的には何とかなるんではないか。そもそも地球人の力をはるかに超えた力の塊なのだ。
 女性が巨大化したり、訳の分からない数式で力の計算をしたり、かなりオタクが遊びで可能性を吟味して可視化したような映像が続く。もう少し恋愛劇が明確な方がむしろ自然だが、都合でラブシーンは削られたという。オタクがそんなにストイックだったとは知らなかったが、全体的に流れる、凄いんだが静かに抑えた一定のトーンのようなものがあって、はっきりいってかなり成功している。凄すぎずあえておもちゃのウルトラマンを映像に入れる実験映像などもあり、なるほどな、と感心することもあった。このように宇宙の力を捉えて実験的な戦いにしてしまうというのは、一作のみの作品であれば可能だったのだ。
 ウルトラマンが流行ったのは、僕の子供の頃よりまだ前のことだった。その後亜流ウルトラマンがたくさん出てきたが、僕の興味は逸れていった。ところで、シン・ウルトラマン。これは中年男には、イケる物語であった。
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22年を振り返る①(洋画)

2022-12-21 | なんでもランキング

 今年はこれが一番面白かった! っという感じじゃなかったかもしれない。でもまあ、案外面白かったよな、というのは当然あって、そういうものと出合えたのが良かった。それで選んだのが上位三作品。
 ふつうは選ばれないんじゃないかと思うところもあるけど、特に①は、そもそもよくある手紙の代筆話なんだが、ちゃんとうまくいくようになりはするけど、なんだか複雑なことになっていって……。いやこれは、いい作品だと思います。

①ハーフ・オブ・イット:面白いのはこれから/アリス・ウー監督


 ちょっと不思議な雰囲気があるのが、②である。どうしてこのようなことをこの女性はやっているのか。それは壮大な復讐なのだが、個人でできることには限りがある。単にひねているだけじゃないかと思っていると……

②プロミシング・ヤング・ウーマン/エメラルド・フェネル監督


 そうして③になるのだが、いわゆるハリウッド映画を見慣れた人には、違和感が多いのではないか。こんな感じで物語が進んでいいものかどうか。不思議な余韻とともに、良いと思いますけど。

③水を抱く女/クリストアン・ペッツォルト監督




 それでちょっと河岸を変えるという感じで、④である。僕は禁断の愛に弱いのかもしれない。しかし深い悲しみを内包しているからこそ、こうなってしまうのだろう。

④この世界に残されて/マルナバーシュ・トート監督


 それではコメディ映画も。⑤はタイムループと言われる繰り返される日常のもの。ちゃんと驚きの打開策があって、こういうのはアメリカ的かもね。
 
⑤パーム・スプリングス/マックス・バーバコウ監督


 同性愛の映画ばかりになっている現状があるが、それではそれの王道で行きましょう。時代性があって禁断だけど、素直にこうなることがよく見て取れる。暗喩的にもなかなかいいです。

⑥燃ゆる女の肖像/セリーヌ・シアマ監督


 そうしてそういうことにサスペンスとSFが混ざるとこうなる。ドキドキするけど娯楽作とはこうでなくちゃね。

⑦ラストナイト・イン・ソーホー/エドガー・ライト監督


 衝撃の実話って映画たくさんあるけど、こういうのがまさにそういうことではないでしょうか。

⑧永遠に僕のもの/ルイス・オルテガ監督


 これは観る人を選ぶとは思うんだけど、いい映画なので選ばなければ。差別って何だろうってことに正面から向き合っている。凄まじいことになるんだけれど。
 
⑨異端の鳥/ヴァ―ツラフ・マンホール監督


 個人的には結構気持ち悪かったのだけど、なんだかそういう人他にもいる気がしてはいる。人の精神的な苦しみは、傍から見ると不可解です。

⑩スワロウ/カーロ・ミラベラ=デイビス監督



 番外でコメディを一つ。変な映画ですが。
この世に私の居場所なんてない/メイコン・ブレア監督

 番外でこれも実話の実写化。有名な事件だが、ほんとにこんな感じだったのだろうか?
ストックホルム・ケース/ロバート・バドロー監督
 
 ふつうに誤解を受け続けている戦記物。娯楽作なのだが、比較的日本の側を描いているところがいいと思う。
ミッドウェイ/ローランド・エメリッヒ監督

 ひどく残酷なところが多いのでどうかとは思うが、犯罪ってこんな変な感じもなるんじゃなかろうか。さらにこういう作風そのものが気になります。
ブルータル・ジャステス/S・クレイグ・ザラー監督

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これは夢か現実か?   パッション

2022-12-20 | 映画

パッション/ブライアン・デ・パルマ監督

 最初はあこがれも抱いていた女性(同性)上司だったが、自分のアイディアを取られた上に、その功績でさらに出世して自分の都合よくふるまう行いに反感を募らせるようになる。そうしてついには殺意を覚えるまでになっていくのだったが……。
 おそらく同性愛の絡みもあるし、しかし男も取り合う中であり、仕事の上での嫉妬もある。悪魔的な魅力のある上司のクリスティーンは、徐々に部下であるイザベルを追い込んでいく。それは才能のあるイザベルを排除していく構図なのかもしれない。そうしてついにクリスティーンは殺されることになる。ここから一気に、デ・パルマらしい幻想的な展開に突入していくことになる。
 確かに伏線が張ってあって、それは嘘か誠か? という感じである。その上に、現実のことなのか、夢の後なのか、何が何だか分からなくなってしまう。しかしそれは無茶苦茶になってしまう、という意味ではない。そうした錯綜した世界に、観ているものが取り込まれてしまうということだ。そうした悪意のある意図を持った映画なのである。そうしてそれを楽しむということになるのだ。
 相変わらず映像も凝っているわけだが、刺激的でありながら、なんというか、やはりあんまり現実感が無い。それはこれまでのデ・パルマ作品とも共通するところがあって、これが好きな人には満足のあるものではなかろうか。人間ドラマの疑心暗鬼の描き方は、やや形骸化しているもののようにも思うが、これらの怪しい雰囲気こそ、洗練されながらも悪趣味であって、そういうまるでお化け屋敷を楽しむような期待感に満ちているのである。
 最初はキャストの使われ方が、なんとなくピンとこなかったのだが、いわゆるハリウッド映画じゃないということで、こういうことになっているのだろう。それでもやっぱりこの監督作品にはなっているので、流石といえばさすがであるんだけど。
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会議に遅れる人

2022-12-19 | 境界線

 先日の会議の折、開会の5分前にやってきた人が大声で「遅れて申し訳ありません」と言って頭を下げた。「遅れてませんよ」と僕が言うと、「5分前集合が当たり前なので。申し訳ありません」と再度頭を下げた。そんなことは当たり前ではないと思ったが、僕は黙っていた。そういうやり取りの後、それでは、という感じで事務局の人が資料の確認などをしているときに、もう一人別の人がやってきた。だいたいちょうどの時間くらいだったのでぎりぎり遅刻ではないとは思うが、なんとなく始まっている様子にオヤオヤという顔つきだった。事務局の人は事前説明を終えて、それでは開会してもいいですか? と偉い人に聞いた。なのでやはり遅刻では無かったが、5分前集合が当たり前なら謝らねばならぬところではないか。まあ、謝らなくてぜんぜんいいと思うが……。
 僕も年を取ったせいなのか、以前と比べると開会時間に余裕をもって出席するようにはなった。特に会長をしている会議なんかは、それなりに早く行く。ちょっとした事前打ち合わせがあったりもするし、そうすると30分以上も前に行ったりする。でも、やっぱり早すぎて時間を持て余すこともあるので、なんだか時間がもったいないな、とは思う。そういう役職の無い時代のことを考えると、時間より早く着いたら、会場の周りをぶらぶら歩いて時間をつぶして、だいたい5分前くらいかぎりぎりまで会議室には入らなかった。そうしてギリギリすぎて遅刻することもあったかもしれないが、あまり気にしてなかった。僕みたいな人間が居るかいないかなんて気にする人間は、あんまりいないだろう。
 しかしながら遅刻の常習者というのは確かにいる。困ったことにそういう人に限って、議題との関連のある人だったりする。またはその人が責任者だったり、説明する人だったりする。仕方ないので別の議題などを先に片づけて、なんとなく待っていると、やって来る。いちおうは遅刻を詫びているが、彼のキャラクターは忙しい人で、なかば忙しいので当然とでも言いたげな印象も受ける。そうして説明したら、今度は早々に帰ったりする。それで生きてきたのは分かるが、夜の会合なんかは二次会メインの人だったりもすることを知っている。まあ、昼も夜も忙しいということなのかもしれない。
 しかしながらたまに、遅刻の人を待って始める会議というのがある。出席予定の人が遅れているので、知っている人が電話で確認すると、向かっているが5分以上遅れると言っている。そうすると、その会議の会長さんが「待ちましょう」というのである。かなり唖然としてしまったが、遅れてくる人が15分以上になってやってくるまで、会長は事務局の人と雑談していた。こういう会議はやる気がなくなるので、求められてもいい加減な発言しかしない。やる気が無くなっているのをわかってくれているかは、分からない。
 しかしながら、普段は別に誰が遅れてこようが、あんまり意識はしていない。何か事情があったのだろうし、先ほど記したように、議題の関連の人でないのであれば、それはそれでかまわないことだ。議席数の問題なんかも無ければ、ほとんど何も感じない。もう来なくたって別にいいのである。いっそのこと僕も出席しなくなっても良くなればもっといいが、まあ浮世の義理なので、これは諦めるより仕方がない。
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テレビとは話が違う?   あなたの番です 劇場版

2022-12-18 | 映画

あなたの番です 劇場版/佐久間紀佳監督

 テレビドラマの映画版。ただし、テレビドラマとは全く展開が違うのだという。登場人物はだいたい同じで、設定が違って展開もずれていくようなことになっているのだろうか。
 マンションの住民会の仲間を招待して、船上結婚パーティを開くことになった。その客船内において次々に不可解な殺人事件が起こってしまうことになる。犯人は誰か? ということと、住民会の人間関係が複雑に絡んでいくことになるのだったが……。
 テレビドラマっぽいオーバーアクトはあるものの、殺人の絡みは、それなりに意外な展開である。警察の捜査もあるが、住民同士の疑心暗鬼の行動が、さらに妙な展開の伏線になっていく。最初から怪しい人やキーマンは確かにあるのだが、そのあたりのミスリードが、それなりに効いてはいるかもしれない。多少それは無いかも、というご都合は無いではないが、あくまでトリックというか、リアルな殺人連鎖とは違うゲーム的なものであるという前提がある。人間ドラマ的にどうかという物語ではないので、そのあたりは楽しんでみたらいいのだろう。
 それなりに計画的であったり、仕込みが必要な殺人もあるはずだが、そういうものが緻密に行われている感じではない。ちょっと行き当たりばったりのような要素もあるように思うが、運がそれを助けているのだろうか。このような人間関係の裏側には、当然隠された過去がある。複数の人間が一堂に集うと、そういうものが陰に隠れてしまう、ということかもしれない。それはこれまでにも考えられただろうトリックの踏襲ではあるのだが、そういう組み合わせの妙を、テレビドラマの俳優たちが演じ分けているところが、この物語の大きな魅力なのだろう。僕はそういう背景を知らずに見たので、少しあっけに取られてしまったが。
 しかし、最近の日本の映画は、本当にそういうテレビドラマの演出が増えた。日本人の望む映画の面白さというものがそうなのかもしれなくて、商業的な興行を考えると、どうしてもそうなってしまうのだろう。日本映画はエンタティメントとしても、そのような分野の二分化したものに変化してしまったのかもしれない。ドラマの延長線上だけじゃないという事だが、それは謎ときの意外性のあるものを映画化したためであり、考え方としてはテレビの興行の在り方であることに変わりないのではなかろうか。
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どこまでも救われないが、諦めませんように   こちらあみ子

2022-12-17 | 読書

こちらあみ子/今村夏子著(ちくま文庫)

 あみ子というちょっと個性的すぎる子供の視点で語られる物語。子供の視点から語られるものごとは、かなりいびつでゆがんだ世界が広がる。バイオレンス満載で危険だが、あみ子は特にそういうことは気にしていない。しかしかなりの不幸が広がっていて、周りの人間はみな冷たくあみ子の存在を疎んでいる。それであみ子は、幻聴を聞き幽霊を見る。世界はさらに崩壊していくように見えていくのだったが……。
 僕は職業柄なのかもしれないが、こういうものはあまりにも偏見的というか、形骸化しているもののようにも感じる。確かに大きな不幸の前に我々は無力だが、そうしてあえて救われない状況は残酷だが、それでも何か救われるものがどこかにあるようにも感じている。しかしあみ子のその世界には、それはほとんど感じられない。近くの人間たちが、あまりにも冷たすぎる。人間の血が通っている人が、少なすぎるのである。
 もちろん、あみ子自体も残酷な存在である。ある意味では無邪気な悪の権現である。そうしたことから、廻りの人間はあみ子によって苦しめられている。そうして圧倒的な暴力で、あみ子に制裁を科すのである。
 僕の知っているあみ子に似た世界は、決してそういうものばかりではない。むしろそういう殺伐を和らげることもある。もちろん、個人には苦しみや重圧がのしかかることもあるが、そういうものをあっけらかんと笑い飛ばせる力さえある。もちろんあみ子の中にも、そのようなものは秘められているはずなのだが、あみ子自身は、それをうまく生かす運を持っていないように思える。そういうところが、この世界をさらに暗いものにしている。それは狙い通りのことかもしれないが、読後感はさらに深く気分の悪いものにしている。
 ほとんどマゾ小説といっていい世界で、もう少し元気のいい時に読めばよかったかもしれない。まあ、どんな時に読んだとしても、気分の良くなるものではないのだろうが……。あみ子は見捨てられてしまったけれど、僕らはそんなことはしてはならない。そうしてそうではない世界を、信じたいと思うのである。
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