Decca Decolaがお嫁入り

やっとこさ入手したDecca Decolaの整備記録

WE 1936 Series No,6 について (6)励磁電源

2021-04-19 10:51:16 | Western Electric

 WE 1936 Series No,6には555とTA4171という励磁(フィールド)スピーカーが装着された。スピーカーが開発されて1世紀近く経ちその間にイオンツィーターやガスを用いたりした例外もあったらしいが基本的な原理はフレミングの左手の法則から変わっていない。スピーカーはこの原理を利用してコーン紙や振動板を動かして出音させるわけだが磁力発生に永久磁石か電磁石を用いるかで2種類に大別される。現在のダイナミックスピーカーはほぼ100%永久磁石を用いているが当時は電磁石が普通だった。各々利点、欠点があるが特に言われるのは永久磁石の経年劣化による減磁で過酷な条件下では進行する場合もあるらしい。電磁石の欠点は別電源が必要なことだがスピーカーユニットに組み込まれたものと別電源から供給するものがあった。ウーハーはバッフルに取り付けられて地上に置かれていた関係で励磁電源を組み込んで重量が増えてもそう問題はなかったがホーンドライバーは高所に持ち上げられたりする関係ですべて別電源から供給された(例外としてJensenのホーンツイーターで電源内蔵のものがあったが)。

 電源装置の整流回路は供給する電圧で方式が異なる。高電圧の場合は整流管が使われたがTA4151やJensen M-10などは電源トランス+整流管+小容量(16μF)コンデンサーという簡素なものでこれでは十分な平滑はできなかったはずでボイスコイルが60Hz(120Hzか?)で振動しハムが残る。対策としてスピーカーに入力された音声信号はフィールドコイル近くに設置されたハムバッキングコイルを経由してからボイスコイルに繋がっていた。原理はよくわからないが信号を逆相のノイズで変調して残留ハムを相殺したものと考えられる。555や597,594など7V〜24V低電圧大電流の場合はタンガーバルブ(General Electric社の商品名)というアルゴンガス入り整流管が使われた。セレンは積層すれば低圧から高圧まで対応できトランスレスでスピーカーに組み込まれたものもあった。中電圧ではトランスレス整流管使用のフィールド電源もあり移動映画のスピーカーなどで見る事がある。

 話題になるのがこの電源方式の違いによる出音の違いでこれはパーマネントスピーカーでは味わう事ができないマニアックな領域で整流方法、平滑方法によって結構違いが生じるとされる。現在主流の半導体整流でもシリコンダイオード、ファストリカバリーダイオード、ショットキーバリアダイオードなど半導体の種類によっても異なりセンタータップ、ブリッジ、半波整流など半導体の使い方によっても音が変わる。そして当時の機器を揃えたマニアはなるべく現代の素子は使わずに古(いにしえ)の整流方式を取り入れたいと考える。だから間違ってもスイッチング電源なんか使わない。。かもしれない。

 

⑴ TA4171の励磁電源

 TA4171は写真も見た事がないスピーカーだが資料によると

  フィールドコイル端子電圧  10VDC

  パワーサプライ  2A/22W

  フィールドコイルDCR  4.45Ω

となっている。TA4151とほぼ同規模で特徴的なのはハム・バッキングコイルを持たないという事だが同じ励磁電源を持たないTA4153はどうだったのだろうか?TA4151とTA4153の資料図(前出)を見るとボイスコイル近辺の接続で同じように経由の端子があるのでハムバッキングコイルを経由しているらしく励磁電源の有無以外は全く同一だったようだ。TA4171の励磁電圧は10VでフィールドコイルDCRは4.45Ωと低く逆起電力が発生しにくい上にタンガーバルブによる外部電源で十分リップル分を減らせる事ができたのではないかと思う。

 今回TA4171の代わりに採用したCapehart SpeakerのDCRを測定すると300Ω、励磁電力が22Wとすると電圧は82V 電流は268mAとなる。DC82Vを得るにはトランス出力を半導体整流、AC100Vをヒータ電圧100Vの整流管で直接整流し平滑など色々考えられる。前述のように今回はセレンとシリコンダイオードを用いた出力可変の定電圧電源を用いた。この電源の原理はさっぱりわからないが出てくる波形をオシロスコープで見るとかなり乱れていて最初は実用にはならないかもしれないと思ったほど。外付けの平滑回路を設けることにして何とか使っている。

 

 Western Electric製の定電圧電源だが製造は外部のメーカー。回路図が添付してあるが原理は不明。R-3で出力電圧が可変。

 

 電源の出力に増設した平滑装置。大容量コンデンサーで受けてチョークコイルで出力するという不思議なコンデンサー入力回路でこれはフィールドコイルの近くにはコンデンサーは置きたくないという思い込みから。出力電圧が82Vになるように本体で電圧調整した。その後この平滑装置にはもう一本コンデンサーを立てて通常のπ平滑回路となった。その出力にチョークコイルを2個増設した。

 

 このチョークは1個あたり8H 300mAというもので各々独立している。DCRは56Ωで1個あたり15Vの電圧降下がある。フィールドコイルのプラスとマイナス各々にチョークコイルを繋ぐかプラスの方に2個直列にして16Hにするかヒアリングで決めましょう。マイナス側にもチョークをつなぐ手法は愛好家の間では割と一般的な方法。

 ところでこのシャーシだが適当なものがなかったのでホームセンターで売ってるアルミ板とサッシで製作した。高さが低いのが好みなのだが今回は低すぎて底板を諦めた。薄いアルミ材にタップを立てるのは難しく今回はナットを用いた。

   

 結構しっかりしていて安いのが利点。もう少し高さがある材を利用して同じ方法でアンプを作ったこともある。高さが低いアンプが格好良いと思っているが市販のシャーシには見当たらない。浅野勇先生の著書を読むと当時の鈴蘭堂に格好良いシャーシを特注されていた。その鈴蘭堂も無くなってしまって久しいが一部の製品を引き継いでくれたメーカーがあったのはありがたいことでした。

 π型平滑装置からフィールドコイルを繋いで82Vに調整した際の波形

 

 リップル分はほぼ10mV以下に収まっていてこれくらいだとハムの原因にはならない。ところがフィールドコイルプラスマイナス各々にチョークコイルを接続して波形を見ると

、、、こうなる。これは当たり前?なのか??チョークが近接しているのが原因かと思い極性を変えてみたり直列にしてみたりしたが少しの変化に留まりチョークなしの方がよっぽどマシ。。真っ平らな波形を期待していたのでこれはガッカリした。ところがこの接続のままでπ型平滑装置の出力波形を見るとリップル分は少なくこの波形はリップル分ではないらしい。ネットワークを外しアンプ出力を直接スピーカーに入力して再生してみると大音量の時にはスピーカーのフィールド端子の波形は音量に影響を受けて乱れる事がわかった。この乱れがチョークコイルを入れる事で軽減するかは元々の波形が乱れていてよくわからない。平滑回路出力での測定はチョークコイルを入れた方が逆起電力による乱れは少ないことは確認できた。もう少し測定方法を工夫すれば逆起電力の様子を伺う事ができるような気がするが今後の課題とします。改めてコンデンサーとコイルについての知識不足を痛感する。

TA4171の代用Capehart Speakerの励磁電源はしばらくはこのラインアップになりました。

 

⑵ WE555の励磁電源

 555は7V 1.5Aの電源が必要で規格だけ見るとACアダプターでも行けそうに思える。電源による出音の違いの説明は色々と言われるが素人なりに考察するとボイスコイルの電流により磁力が影響を受けて一定の磁場が保ちにくくなるためではないかと思っている。強固で強靭な(意味不明だ)磁界をどうやって得たらいいのか。バッテリー、発電機まで持ち出す人もいるが諸先輩のレポートを拝見するとタンガーバルブ整流となるべく多段のチョークを用いるというのが良いとある。チョークにはDCRがあるので高めの整流後の電圧を多段のチョークコイルとコンデンサーで(これもやっかいらしい)7Vまで下げる。なぜ多くのチョークコイルを投入するといいのかは良くわからないのだが回路の抵抗値を高めるためという解説があった。その方が逆起電力に影響を受けづらい磁界を発生できるらしい。

 WE555を入手した時に張り切って作った電源

ショットキーバリアダイオードの半波整流電源だがダイオードは受注生産の30Aという大きなものを使っている。半波整流は当時のトレンドで何の比較実験もしておらず完全な受け売り。

その後使っていたタンガーバルブ電源

   

Western Electricの電源と思われるキャビネットだが実は中身は自作品。もともとRCAのラックマウントのワンボード電源だったのだがあまりに使いづらいので部品を取り外して移植したもので基本的な回路は変わっていない。使われているタンガーバルブは

 

General Electricの20X672もしくは同等品で30V 5Aまで取り出せる。フィラメントの規格は2.0V x 20.00A というもの。タングステンフィラメントは煌々と輝く。

 

 こんなのが必要だったのだから昔は大変だった。回路図を残していなかったがブリーダー抵抗と電流調整の可変抵抗を内蔵しているが調整範囲を超えていて外部で調節しなくてはならない(以前はどうやっていたか忘れている)。適当な抵抗を仮接続して聴いてみた。

 、、、一聴うるさくなった。。ウーハーとのバランスが変わってしまい555をもっとアッテネートしないといけなくなってしまった。やっぱり電源は一番最初に整えないとその後の調整は無駄になる。電源の容量は余裕があるので電圧降下の為にチョークコイルを555近くに入れようと思うがDCRが数オームで1.5A以上のものが必要。ショットキーバリア電源に入っているが気軽に使えてまだ未練があるのでなるべく外したくありません。

 

 これは元々の用途不明のコントロールボックスです。FS5Aのアンメータとレオスタットが付いていたがレオスタットを10Ω25Wの小型のものに取り替えて今回入手した60mH 2A DCR1.6Ωのチョークコイルを内蔵した。タンガーバルブ電源の出力をコントロールボックス経由で555に繋ぎ電流を1.5Aに調整します。タンガーバルブ電源内にも2個収まっているので合計3個のチョークコイルになる。

 

 555の信号線に直列に18Ω、並列に47Ωを入れてバランスがとれてきました。しばらくこの状態で聴いてみます。動作が確認できるのはやっぱりよろしい。

 しばらくすると555がまた不調になりました。DCRを測ると70Ω台になって症状が再発した。また交換したが故障の555はやはり根本的な解決が避けられそうにない。

 

 聴き続けているとだんだん訳がわからなくなるので時々フルレンジと比べてみる。。WE755Aは4Ωなので2台直列に。やっはりホーンスピーカーの能率は高くアッテネーターで5dBの差がある。

 


WE 1936 Series No,6 について (5)TA7332ネットワーク

2021-04-14 10:04:38 | Western Electric

(5)TA7332ネットワーク

 

 TA7372ネットワークの実物は見たことがないが7個のオイルコンデンサーの28μFとASA1284というコイル1個、接続ターミナルという簡素なもの。

 この1936年の回路図はMIRROPHONIC SYSTEM用に2台のTA7332を用いたもので使用されたユニットはWE594AとTA4181。図では高音部はその後にASO6887というアッテネーターが入っていて直列に6Ω、並列に48Ωの位置が指定されている。書籍にWE 1936 Series No,6のネットワークはこれを流用したという記述がある。クロスオーバー周波数300Hz、−6dB/octということなのでウーハーにコイル1個、ツイーターにコンデンサー1個の構成になる。555のインピーダンスは16〜25Ω、TA4151は10.5Ω(300Hz最小)なので555を20Ω、TA4151を10Ω、クロスオーバー300Hzで計算するとL=6.89mH  C=26.5μF

 WE 1936 Series No,6のネットワークについての正式な記述は見つけていないがそれまでのワイドレンジサウンドシステムの流れであれば多用されたTA7297(3way用)が使われるのが自然と思われるしもう少し遡ってTA7257は同じ3wayでもウーハーには3mH直列、スコーカーはそのまま(7Aオートトランスと2μFコンデンサーでアッテネート)、ツイーターは4μFコンデンサーとアッテネーターでフルレンジの上下を少し広げたような構成。いずれにしてもオリジナルのネットワークの入手は現実的ではないのでいろいろ工夫してみることにします。

 これは以前メインで使っていたRCA(フォトホン)のMI-1483ネットワーク

   

 2個のコイルと8個のコンデンサーでクロスオーバーは250Hz,300Hz,400Hzの切り替え、重量は20kg以上ある。

 

 とりあえずTA7331の上に22Aを載せてMI-1483を400Hzに設定して聴いてみる。やはり555+22Aの能率が高くアッテネーターが必要。適当な抵抗器を直列に10数Ω、並列に50Ωほど入れて試聴。入力のアッテネーターのケースは廃棄された下水の蓋を切ったもので中身はDavenのT型、その隣のトランスはステレオ→モノミックス用のWE246Cで拙宅ではかなり重要なアイテム。普段はステレオカートリッジの昇圧を兼ねて使っている。

 iPhoneの「Analyzer」というアプリでホワイトノイズを発生させでiPhone内蔵のマイクで拾って表示したもの。かなり凸凹だが最初は250Hzあたりにもっと落ち込みがあって極性を変更した。高域は4kHzから落ち始めて8kHzまでしか再生しないようでいずれ3way化は避けられない。今は2wayでのつながりを追求するのが先なのでしばらくこの状態でアッテネート量とホーンの位置を変えながら聴いてみます。高域が8kHzまででも全く問題ないソフトもあるし特に少人数のアコースティックな演奏では再生帯域に問題があっても頭の中で補正される。ただし足りないのは脳内で補えるが反対に気になる出音は補正できない。ボーカルが音量関係なく気持ち良く聴くことができれば大抵のジャンルはそれなりに再生できると思ってます。

 娘が来ていたので普段聴かないNiziuなどK-Popも再生したが(いずれもiPhoneから)結構な大音量でも聞き続けることができた。いろんな要素を詰め込んだ楽曲のクオリティの高さに正直少し感心した。彼女は病院勤務でこの日は2度目の新型コロナワクチンの接種日でもし副反応が発生した時に一人暮らしでは心許ないので実家にやって来た。すると当日夜中に38.8℃の発熱があり翌朝には解熱したが結構辛かったらしい。2度目の接種後の発熱は1/3には起こると報告されている。アストラゼネカワクチンの血栓など副反応はやはり舐めてかかってはいけない。

 

 配置について

 WE 1936 Series No,6の劇場でのセッティングは前出の写真と図にあるが拙宅にはスクリーンも大きな壁や丈夫な天井もない。22Aの位置が高所で横倒しなのはスクリーンの俳優から声が出ているかのようにまた左右に広がるようにするためと思っている。低域再生は指向性の関係でウーハーの位置はあまり影響しないがそれでも後面解放からの出音は壁とアコースティックドレープで上前方向に誘導されている。「ホーンの鳴り」をなるべく阻害しないように空中に吊るべきというという話もあるがそのためには天井の補強や櫓を組む必要がある。当時の劇場でも緞帳や照明を始め多くの重い装置を空中に持ち上げるのはなかなか困難だったと想像する。業務用の装置としてのスタビリティは最優先だったはずで「個々のホーンを他と物理的に干渉しないように吊るさないと性能が発揮できない」というのは疑問が残る。

 勝手な妄想より聴き比べればいいわけだがそれは今後の課題として今回はTA7331バッフルの上に6022-A(22Aホーン+12-A+555)を固定することにします。バッフルの奥行きがあるので後方のスペースは必要だがホーンは縦置きでこの形は見慣れた姿に近い。そのまま置くとホーンの開口部が上を向いてしまうので何とか角度をつけなければならないが重量物なので崩れた場合は非常に危険なので気を使う。

  

 ホームセンターの金具や建築資材で持ち上げて一応指示通りバッフル面より少し前方にずらして固定した。ウーハーの励磁電源にもう一段平滑回路を加えたがハムはほとんど変わらず。音源をiPhoneからCDプレーヤーに変更して試聴を続けると問題が出た。555が歪む。これはちょっと焦ったが原因はWE246Cの入力オーバーとわかった。改めて規格を調べると500:78000 広帯域トランスでアッテネーターで最小に信号を絞ってからトランス入力してもハムを拾ってしまい使いづらい。結局CDプレーヤーをアッテネーターに入れてそこからの出力を単純にモノラル接続にしてメインアンプ入力した。555は問題あり(DCRが高い方)に交換していたがDCRはずいぶん下がって16Ωになっている。まだ数Ω高めだが出音は良好、アッテネート抵抗をつけたり外したりしながらしばらくこのままでいきます。高域が伸びているせいかボリュームを絞ってもデテイルがよく聞こえて急にHiFiになった感じがある。

 

 その後2週間ほどで急に音の状況が変化しDCRを確認するとまた70Ω台に戻っていて再度交換しました。やはり根本解決が必要なようです。


WE 1936 Series No,6 について (4)WE555(W)

2021-04-05 17:57:40 | Western Electric

 (4)WE555(W)

    ヴォイスコイル・インピーダンス  16〜25Ω

    ヴォイスコイルDCR  12.8Ω

    ヴォイスコイル最大入力(連続)  6W

    フィールドコイル端子電圧  7V(DC)

    パワーサプライ  1.5A/10.5W

    フィールドコイルDCR  4.5Ω

    重量  9.06kg

 「555W」の開発は1926年、製造はイリノイ州ホーソーン工場で。1929年のSerial No,25000番台から製造がノースキャロライナ州バーリントン工場に移り名前も「555」になった。製造数は合計で67000台程度らしい。

 1926年の特許図

実際の製品の断面図

 Western Electric社は1926年以前から数種類のパーマネントマグネチックドライバーを供給していたが初の劇場用のホーンドライバーとして画期的な製品だったとされる。当初組み合わされたホーンは12A,13Aだったがその後も長い間使い続けられてWestern Electricのミラフォニックサウンドシステムにおいても大型のストレートホーン25Aなどと組み合わされて用いられる場合もあった。長期間メンテナンスされながら使われ部品交換などもされた関係で現在残っている製品のバリエーションは多い。特に振動板、ボイスコイルは大音量再生に対応するために次第に丈夫なものに変更された。斜め引き出し線と言われる振動板はすべてWestern Electric製だがその後のALTEC製振動板は耐入力の向上したリボン状の引き出し線にまたボイスコイルのインピーダンスも変更された。これは当初フルレンジユニットとして使われたがその後は中音域用(スコーカー)に改変されたためで当然周波数帯域も異なっている。したがって大型のカールホーンでフルレンジ再生をする場合は555W(初期の製品で振動板も高音域発生のための加工がしてある)を用いたほうが良いと言われるが前述のように振動板を交換したものが多く(現存している555の70%はALTEC製と言われる。残りの30%でも初期振動板は極く僅か)外観だけではわからない。振動板を直接見て確かめたいと思うのは当然だがユニットの着脱はよっぽど慣れた人が慎重に行わないと破損する危険が高く着脱に慣れた人以外は手を出さないのが無難。私(もちろん素人だが)は目視による作業は自信がなかったので治具を作って行っていた。視力が衰えた現在では自信がなくよっぽどのことがない限り開ける気がしない。

 

 555W  (ser. No,7317)

    

 ヴォイスコイルDCRとフィールドコイルDCRはほぼ定格。裏板はメッシュではない。

 

 555   (ser.No,36890)

   

 裏板はメッシュではない。残念ながらヴォイスコイルDCRが85.8Ωで問題が生じている。実は以前も同様の問題が生じてその時は200Ωだった。当時こういった仕様の555があるのかと東京の専門店にお聞きしたことがあるが答えはノー。その時は開釜して原因を探したがしたがはっきりせずそのうち自然治癒してそのままになっていた。どこかで断線しかかっているのか接続部が甘くなっているかと思うがさて、、。

 

 555のフィールド回路はDC7V 1.5Aの電源が必要でこの電源によって大幅に音が変わると言われている。555を入手した当時とりあえず作った専用電源

 

 整流は特大のショットバリアキーダイオード半波整流でケースは以前作った半導体アンプのものを加工流用したもので重量は20kg、出力電圧が可変で電流計と電圧計で直読できる。久しぶりなので正常動作するかちょっとずつ電圧を上げていきながらテスターで確認すると4.6Ωのフィールドコイルなので7V時は1.52Aでほぼメーターの表示通りとなった。

 整備したレプリカ22Aホーンに出所不明のドライバーを搭載してIMacのヘッドホン出力でほぼ1日色々なジャンルの音楽を聴いてから555Wと交換した。

 

 無事音が出てほっとした。能率は出所不明ドライバーと大きな違いは無さそう。音味はピントが合っているように感じるがこれは高域が伸びているためと思う。その割に刺激的な音が少なくちょっと優しい感じがする。低域が不足なのは変わらず。音像が前で展開する感じで振動板までの距離をあまり感じなくなり蓄音機的な印象は薄れた。らじるらじるのNHKニュースは聴きやすいが肉声とは異なる。原稿をめくる音はリアルで付帯音もないがちょっと滲む帯域があるように思う。ニュース音声にはコンプレッサーがかけられているのだろうか?少し詰まった感じもある。ヘッドホン出力なのでせいぜい数十mWかと思うが(うるさくて)最大音量には上げることができない。 

 次に問題を抱えた555と交換した。接続直後はDCRが高いこともあり音量は小さめだったが次第に大きな音になった。改めてDCRを測ると約17Ωとかなり下がっていた。詰まっていた水路が水を流すことでゴミがどかされて流れ出したような感じだ。それでも少し高いDCRのためか高域がよく伸びている気がする。

 これはスペアとして購入していたALTEC製振動板で引き出し線がリボン状になっている。

どうしてもダメなら交換しようと用意していた。もうしばらく様子を見ることにします。

 1日聴き比べてからアンプを繋ぎました。Bell研究所の2B 2A3pp 整流管はWE274B

 

 問題を抱えた555は能率がかなり低いようでやっはり問題あり。いずれ開釜しなくてはならないと思うが今後の課題にして今回はSer. No,7917を採用することにします。音味云々言う前に定格内パワーを入力した時にビリつきなど破綻しないか音源を変えてチェックしてみる、、と大振動の低音で歪む。大型のカールホーンのフルレンジ再生としたらこれでは困るが実際どうなのだろうか。フルレンジ再生はWE42の1.9Wの時代で大出力のミッドレンジ再生で問題なければこれで良いのか?とにかくこの状態(555W+22A)で十分に納得できるように鳴らないと次の段階へは進めない。何と言ってもこのシステムの主役なのだから。

 この状態でしばらく聴いて(楽しんで)みます。以下備忘録

・555とホーンのジョイント部の緩みはかなりの音質劣化を来すので要チェック

・ネジが緩んでいないかチェックする。十分なトルクで締める。

 

 久しぶりに「のだめカンタービレ」(TV版アニメ国内編)23話を一気見したがやはり傑作だと思う(ちなみにコミックも持ってます)。ずっと555+22Aでの視聴だったがストレスなく楽しめた。セリフは聞き取りやすく音楽も明瞭で細かなところまでよく聞こえる。音量を上げてもうるさく感じないのでこれで良い気がする。