Decca Decolaがお嫁入り

やっとこさ入手したDecca Decolaの整備記録

マイクロ micro テレビ について(SONY以外の製品)

2020-05-09 17:09:39 | テレビ

Mitsubishi Micro Television Model 6P-125 (三菱電機)1962年

 Micro 6とも呼ぶらしいが製品に記載はなく段ボール箱に書かれていた。6インチブラウン管で当時世界最小、最軽量。有名なSONY 5-202(5.5インチ)よりそうだったらしい。AC100V電源の時は後ろに飛び出しているトランス部で降圧し内部に引き込んでいてこの部分は取り外す事ができる。DC12V入力のコネクターもあり車載対応かと思うがプラスアースで注意が必要。普通にトランスを使うと鉄心の厚みがアダプターを大きくするので薄いトランス2個に分けて左右に並べてシリーズにつないで対応するという見た事がないような使い方をしていて小型化への並々ならぬこだわりを感じる。

 

    

      1962年は東京オリンピックの2年前、私が4歳のころ。やるな!三菱。

 

HITACHI FI-5000(日立製作所)

 上記の三菱もそうだが各社独自の超小型テレビを発表している。ただしこのHITACHI製はとてもめずらしく滅多に目にすることはない。はじめは三洋電機のようにSONYのOEMかと思ったが日立独自の製品で自社のロゴの入ったトランジスターを用いていて内部構造も構成はSONY 5-303によく似てはいるが基板のソケットの向きが90度ずれていたりACアダプターは三菱そっくりだったりする。デザインも『ツマミが長すぎだよ〜!』とツッコミを入れたくなる野暮ったさを残している、、、気がする。

 ACコードが付属していないので適当なものを改造して適応させてスライダックで電圧を上げてみるが残念ながら不動。やはり半世紀近く前のこの類の製品は当たり前に全滅状態だ。仕方ないので外観の整備と内部の掃除から。

    

 基板のコネクター部分で外側に開いてメンテナンスしやすいのはSONY 5-303と同様。ブラウン管を固定してあったスポンジはお約束のボロボロ。後ろのACアダプターはチョークを搭載した平滑回路を搭載していて三菱よりちょっと大きめ。

    

 

 

Victor M-5  1975年4月

 VHF-UHF-FM-SW-MW 5バンド受信機で本体と外付けのACアダプターで構成される。マイクロテレビのカテゴリーからはちょっと外れるがこの形態は各社発表していてカセットテープレコーダーが加わった「ラテカセ」などと呼ばれていたものもある。その中でもVictorデザインはとても洗練されていた。ブラウン管テレビの学習用に購入した「'76ビクター配線図集 テレビ編」にこのM-5の回路図、基板図が掲載されていたため現物を入手して学習しながら修理してみようと考えた。

     

 スイッチを入れると特に問題なく稼働する。。まあよかったのだがこれではお勉強にならない。分解して掃除して

  

 ラジオ部は立派なバーアンテナを内蔵しているしっかりとしたつくり。チューニング機能はテレビとラジオの2系統でメカニカルな設計が大変だったと思います。構造が複雑で素人の教材としては全く不適当。。モノラルではあるが音質の良さは特筆でデスクサイドのギアとしては大切な要素だと再認識した。

 

 大昔のブラウン管テレビは高価な贅沢品だったので家に1台が当たり前でテレビの前には一家の団欒があった。そんな時代でも(家族に背を向けて)一人で小さなテレビで楽しみたいという人が居て2台目、3台目用の小型テレビというのはかなり初期より存在した。当時の超小型テレビは世界的にも日本の独壇場だったらしく海外オークションでも日本製品を多く目にする。真空管からトランジスターへの移行期で製品に必要な高性能トランジスターの開発が同時進行していた事は初期のSONY製品の開発逸話にも出てきて当時の熱気は今となっては「プロジェクトX」の世界。マイクロテレビの実物は幼少の頃親戚かどこかで見た記憶があるのだが裕福だった母親の実家だったかもしれない。当時のテレビのアンテナ線は300Ωの平行フィーダーで屋根の上のアンテナから家の外を通ってテレビのある部屋の窓から引き込んでいるのが普通だった。電気屋さんが屋根に登ってテレビの画面でアンテナの向く方向を調節していた。田舎だったのでロッドアンテナではまともに受信できるはずもなくアンテナを伸ばしていたマイクロテレビはただの飾りだったのかもしれないがそのカッコ良さにしばらく見惚れていた。

 その時の細かな形状は覚えていないしメーカー名も分からない。マイクロテレビはSONYが命名したらしく決定に至るまでの逸話もwebで公開されている。SONY製品以外でも同様な製品が存在したらしく入手できたものを紹介させていただきました。

 白黒ブラウン管テレビは現在では実用性は薄い。しかし決して無意味な存在では無くできれば動的な状態で保存しておきたい。超小型で趣味的な製品は当時の日常の生活には必需では無かったし非常に高価で所有できたのはかなり恵まれた人達だったはず。現在の視点でもとても魅力的な作品だと思っています。

 

 

 

 

 

 

 

お読みいただきありがとうございました。