Decca Decolaがお嫁入り

やっとこさ入手したDecca Decolaの整備記録

小出力真空管アンプ

2018-07-29 22:09:58 | オーディオ

 小出力の定義はないがせいぜい2Wくらいまでかと思います。真空管アンプの場合5Wでも0.5Wでもほとんどかかる費用は変わらないしメーカー製は皆無なのですべて自作の世界。この場合大切なのは駆動されるスピーカーの能率で、小出力アンプの場合は高能率スピーカーでないとまともに鳴らすことは難しい。現代は低能率スピーカーに合わせて1kW出力のアンプが普通に存在するがWestern Electric製品が活躍した時代(第2次世界大戦以前)は大劇場でも数ワットのアンプで賄うことができるほどスピーカーシステムの能率が良かった。能率を犠牲にしながらスピーカーは進歩してきた訳だがこれはホントに進歩と言えるのだろうか、、、と言われ続けて久しい。。
 個人的には昔から小さいものが好きだった。バイク、車、、。また親によれば小さい頃はよく箱に入って遊んでいたらしい。竹野内豊が出演している住宅会社のCMみたいな話だが年取ってからさてこれから何をしようか、、と考えるときに小さい頃の習癖(何を好んで遊んでたかなど)が参考になるらしい、、というのを聞いたことがある。元来小心者で小さい人間なのでぴったりかもしれない。

 小出力真空管アンプもWE-101同様「新氏」から大きな影響を受けて幾つか追試した。
 これは1925年発表のRCAの出力管UX-120を用いたシングルアンプ。
 



 

 1925年は真空管の長い歴史でもかなり初期の頃。
  

 (出典 http://www.nmr.mgh.harvard.edu/~reese/RC10/)
 この年RCAはUX-120,UX-112,UX-210の3種類を発表した。UX-112は日本では安物真空管の代名詞だった12Aの始祖でよく知られているが最小出力管のUX-120は知る人は少ないし入手も難しい。ポータブルラジオに用いられた電池管で「FOR USE IN LAST STAGE ONLY」と書かれたシールが貼ってある。組み合わせた電圧増幅管はUX-199でUV-199のベースをUXに変更したもの。UX-120、UX-199は「T管」またUX-112やUX-210は「S管」と呼ばれていた。TはTubeの「T」、SはStraightの「S」で管壁がボール球に比べて真っすぐだったから。ちなみにST管はS管とT管の形態を組み合わせた形態から来た名前らしい。
 20年位経過しているのでまともに鳴るだろうか?と不安だったが問題なく音が出てしばらく聴いてみた。

 出力は多分0.1W位だと思うが16畳の部屋でも音量にはさほど不満はない。音味はかなり個性的で音が潰れない、混濁しない。耳をすませばどこまでも聴こえる、、という風情。極小出力の超小型アンプだが浮ついたところがないのはトランスが多くて重たいせいか?とにかく気に入ってしまった。


 これはWestern ElectricのMT管WE-417Aシングルアンプで前段は同じくWE-396A
 

 ケースは持っていたCDケース。トランス類はパネルの裏に沈めてあって古いWEのアンプをイメージした。緑色の綺麗なパネルはレントゲンで使うグリッドで捨ててあったのを切って使った。ACコードは保存時にはいつも邪魔になるので共通のコネクターで使いまわしている。
 久しぶりに音出し
 
 ちょっと平面的な気がするが特に問題なく鳴ります。
  
 WE-417Aは電圧増幅管だがWE-101Dと同様な発想で(かどうかはわからないが)出力管として使ったもの。大量生産されたWEの400番台のMT管は黄色の「Western Electric」の文字が美しい。WE-412Aは高音質両波整流管としてWE-396Aは電圧増幅管としてそのほかにもWE-407A,WE-408Aなど製作者には頻繁に使われた。WE管としてはとても廉価に入手できたが昨今の評判であっという間に高額で取引されるようになってしまった。


 これはWE-417Aの単段プッシュプルアンプ
 
 入力トランスUTC A-11で位相反転、出力トランスは最初はKENYONユニバーサルトランスだったのだが途中でソーダーソンに変更した。整流管はWE-412Aで固定バイアス。
 「小出力アンプは小型でなくてはならぬ」というジジイの思い込みがあってタカチの小さいケースに組んだ。しかし組み上がって期待した音はさっぱりで即お蔵入りとなってしまった。そのうちKENYONトランスは他のアンプにもぎ取られていった次第。載せ替えたソーダーソンも未だ結線しておらず観賞用ミニチュアアンプになってしまった。


 小出力アンプかは微妙かと思ったが
 
 UX-210の子孫と言われるVT62アンプで製作は30年以上前。VT62は1970年代に名古屋の大須で入手した。栄の隣の大須は電気街があって学生時代に結構通った。Taylor製のVT62(801A)は2000円で購入したが帰る途中の東海道線の電車の中で床に落として1本フィラメントが切れてしまいがっかりしながら翌週もう1本買ってきたことを思い出す。前段は12AU7 1/2とタンゴトランスで543V 24.4mA 自己バイアスで動作させている。出力トランスは同じくタンゴFW-20-14Sで14kΩ。ちょっと特性を測ると最大出力1.9W -3dBは22Hz〜30kHz 入力を上げると8.4Wくらいまで増加する。
 A2ドライブにすれば数倍の出力が取り出せると思うが知識もシャーシの余裕もない。(自分の腕を棚に上げて)2W以下なので小出力アンプの範疇かと思う。このカッコよろしいシャーシは今は無き鈴蘭堂のユニバーサルシャーシでそれを利用した。
 



 明るいトリタンフィラメントから「送信管特有のカラッとした乾いた音」というイメージがよく言われるが確かにその傾向はあるが総じてとても好ましくこの音を好む方も多いと思う。もっと出力増できそうだし達人には面白い素材かと思いますし投稿記事も多数ある。いずれ勉強してもっと大型の送信管にチャレンジしてみたい希望はあります。





 お読みいただきありがとうございました。




 後日談1
 真空管の箱を漁ってたら出てきたのは 1925年発表のRCA UX-210
 
 1本はSylvaniaシールが貼ってありますがトップにはしっかりRCAとあり同一の構造

(出典 http://www.nmr.mgh.harvard.edu/~reese/RC10/)


 KSの真空管試験機ではmin.750μGのところ900以上はあるので使えそう。

 そのままでは耐圧オーバーするので電源トランスのタップの位置を変更して聴いてみる。電圧下げた状態でVT62を聴いてそのあとでUX-210に差し替えると

 やっぱりかなり異なる。良く言えばちょっと優しく控えめに、悪く言えば曇った覇気がない音。どちらかといったら明らかにVT62だがしばらく聴いてみないと確定はできない。UX-210はTaylor VT62の約10倍の値段だった(時代が四半世紀ほど異なるけど)ので残念です。



 


WE-101 について

2018-07-26 12:14:18 | Western Electric

 米国のWestern Electric社は電話機やその周辺設備のメーカーでその歴史は古く増幅素子として真空管を大量に使っていた。自社生産のWE-100系はもっとも多く使われたボール、ST管で様々な種類があるが共通しているのは開発された目的から長寿命で高信頼性。WE-100系真空管でスピーカーを駆動する目的で開発されたのはWE-104だけかと思うがレピーター用として使われていたWE-101はメーカー発表の規格は長寿命を保証するためにかなり控えめな数値と言われていた。特別なソケットを必要としていたことなどからあまり省みる人も居なかったようだが1990年代になり「ラジオ技術」誌でWE研究家の「新 忠篤」氏がシリーズで掲載されて居た記事でこのWE-101Dを用いたラインアンプとパワーアンプがあり、触発された愛好家がこぞって追試したことがきっかけとなりその素晴らしさからWE-101のみならず世界的なWEブームが巻き起こった。
 新氏の記事は当初はWestern Electricオリジナルのトランスを使っていたが資源の枯渇やWE製品の高騰などから次第に他のメーカーへ移行していく。中でも「ノグチトランス」社のコアに「ファインメット」という材を用いたシリーズが頻繁に採用されていた。


  

 私も氏の影響を多大に受けて制作に勤しんだ一人です。「シャリイ」のパーツの到着を待っている間に久しぶりに引っ張り出して来た当時のアンプに火を入れてみます。


 構成はステレオでWE285P-WE101Dpp、WE274Bという単段構成で無帰還。回路もWEを模している。
 

  

 

 音源は懐かしいiPod miniでハードディスク。スピーカーはALTEC 755Aでなぜか縦に積んでいて寝転んで聴く時のためです(冗談です。念のため)。
  


 入出力トランスのリード線を(もったいなくて)切れないので美しくない中身です。。10年以上前なので色々忘れている。WE274Aの半波整流は278V、各WE101Dには274V 自己バイアスで1本あたり20mA、出力トランスとチョークコイルはノグチトランスのファインメット、電源トランスは新氏の記事を参考にタンゴトランスに特注したもの、、という内容。
 単段アンプなのでWE101F使用したラインアンプも作ったのだが初段のWE285Pの昇圧比が高く(音味を除けば)あまり必要性を感じない。途中iPod miniが不調になったのでMac出力で直接ドライブしてみるとちょっと薄味だが軽快で切れ込みがよろしくてピューンとすっ飛ばしていく高性能軽自動車みたいだと思った。ちょっと測定してみたがドライブアンプを接続していないので低周波発信機の出力ではフルに振ることができない。周波数特性は結構広帯域。


 このアンプはWE101DとWE101Fのコンパチシングルアンプとして作ったもの。1996年の「ラジオ技術」誌で新氏が発表されたもののコピー。
  
 DとFの違いはヒーター電圧でDの方が0.5Vほど高い。最初に入手したWE球がWE101Fのボール球でその美しさに参ってしまって作ったのがこのアンプだった。DもFも初期のボール球とその後のST球がある。ボール球の101Fは暴走して昇天してしまい、その際パスコンが「パン!」と破裂して大きな音にたまげた。定格オーバーの危険を思い知ったしだい。
 ところで球を外そうと引っ張ったらベースが大きく動いてしまい、どうやら袴の中で1本断線してしまった。
  
 引き出し線の固定は足先から出してハンダで埋めるのが通常だがこの球はその足先に電極が当たるため根元の穴から引き出すようになっている。ソケットの構造からこれでも支障は出なかった。袴とガラスの接着はマフラーパテを使って硬化待ちなのだが今回は途中で動いてしまって修理失敗したかもしれない。

 
 構成は UTC A-11 - 6J5 - CR- WE-101D-MagneQuest DS-050,5Y3G ヒーター点火は直流で3素子はなし。
 少しすったもんだしたが久々に(20年ぶりくらい)音出しすると、、101Dppに比べてもとてもゴージャスな音。1Wも出ていないはずなのにゆったりと鳴っていてとても聴きやすく力強い。755系は小出力の直熱3極管よりビーム管などである程度パワーを入れた方が良く鳴ると感じていたがこれは意外だった。当時の自作アンプを改めて見返すと熱量の多さに気恥ずかしいのと同時にちょっと微笑ましくなる。後先考えずに夢中になっていたのだろうなぁ、、と思います。


 お読みいただきありがとうございました。この間にシャリイも無事復活しました。







 


HONDA シャリイ のエンジン破損

2018-07-20 11:12:25 | HONDA
 7月6日の西日本で起こった大水害の数日後にかつての職場が被災したという情報でとにかく長靴と水を持って駆けつけようとした。道は至る所で寸断しているし多分大渋滞かと思ったのでバイクで行くことにしてどのバイクにしようかと(まともに動くのが少ないので)迷ったがシャリイで行くことに決めて保険を確認すると7月3日で切れている。。コンビニで手続きして荷台にポリタンク積んで前のカゴに長靴括り付けて早速出かけた。
 当日はうって変わっての晴天だったが高温で目的地まで15kmくらいの10kmあたりで停止してしまった。その時の状況からオーバーヒートで焼きついたかと思われJAFに連絡すると災害の関係で今日中に行けるかわからないとのこと。10km押して帰ろうかと覚悟を決めたが少し冷えてから恐る恐るキックすると一応始動する。低速でなんとか帰宅した。
 原因はオイルの劣化(交換した気になっていたが)で状況からエンジンは完全にオシャカかと思われた。早速降ろして分解してみる。
 

  

 

 

 

 オイルフィルターは真っ黒でやっぱり悲惨な内部で深く反省した(ウソ)。分解は初めてなのとwebで調べても腰下はなかなか大変そう、肝心のピストン、シリンダーも決定的なダメージは無さそう(ホントか!)なので内部を清掃して再度組み立てることにした。ピストンのクリップを飛ばして紛失、カムカバーを破折してしまったがとりあえずクリップとガスケットを注文した。到着するまで掃除とこびりついたガスケットをスクレーバーで剥いでおきます。

 届きました。早速組んでみると
  


 なんとピストンがガスケットに当たる!改めて新旧比べて見ると

 ボアが全く異なっていて唖然。。49ccではなかったと今頃になって気づいた。ピストン形状もハイコンプっぽいし。。傷のあるピストンを諦めてシリンダーごと取り換える事も考えたがとりあえず同じ形状のガスケットを探して注文した。ボアは50mmで81ccになるがガスケットは88cc用。これでいいのか、、?

 届いたのはやはり同じサイズのようです。早速取り付けてエンジン載せて始動してみると
 
 カムカバーが割れてますのでオイル撒き散らしながら回ります。ボアアップしてたわけなのでオイルポンプの状況も心配だしノーマルキャブで混合気が薄くなる事も。

 トルクレンチも不調。。何回も分解してみるも「カチッ」とならない。おかげで(?)ナット1個ダメにしました。ガソリンもオーバーフローしていたのでキャブレターも分解してフロートバルブなどチェックした。カムカバーの出物を注文したので組み立てながら待つ事にします。
 それにしても暑すぎて玄関での作業は30分がせいぜいです。車のエアコンも最近調子悪い。コンプレッサーの電磁クラッチ(と思うが)が機能しないことがある。生暖かい風しか出ないときはエンジン再始動すると大抵は復活する。コンプレッサーのリレーを入れ替えて見たが症状は変わらず。でもホームセンターで憧れのデジラチェ買って来ました。

 ホントはKCTあたりが欲しいところだがサンデーレストアラーにはなかなか手が出ない上にだいたいホームセンターを2件廻ったが10N・m前後のトルクレンチすら置いてないので選択肢は無かった。

 
 カムカバーとヘッドカバー、キャブレターのパッキンが届いて交換したがキャブは相変わらずオーバーフローする。一夏をその対策に費やしたDaxの悪夢が蘇る。。エンジン本体は異音もなく良好。「49ccではなかった」事を知ったらそれなりの音に聞こえるのも不思議。

 フロートバルブには段付きは見られない。オシリのスプリングも問題なさそう。。なぜオーバーフローするのだろうか?走行中は問題ないのでしばらく様子を見る事にします。

 しばらく走ってみても特に問題は認められない。(と云っても暑すぎて長時間の運転はムリ)
 
 止まった時の状況からピストンリングの破折を含んだ重篤な状況かと思っていた。ピストンには結構な傷はあったが見て見ぬ振りでスルー。カムカバーとフィンを欠けてしまうというオマケは付いたがガスケット、パッキンの入れ替えと真っ黒だった内部の掃除のみというしょぼい対応となった。その際に鉄粉などの有無の確認をしたが特に認められなかったことも理由の一つ。
 、、ということは結果的にはオイル交換などの非分解の対応とあまり変わらなかったのかもしれない。今回の対応で良かったのかはしばらく乗ってみないとはっきりしたことは言えない。Triumph T15のように素人作業のボロが出ることも十分考えられます。保険を継続したこともあってしばらく乗ってみましょう。
 HONDAの原付エンジンを開けたのは初めてだったのですがとても作業がしやすくて快適だった。腰上だけなので偉そうなことは言えないがパーツの供給も問題ないしアフターマーケットも充実していてとても良い環境かと思います。マニュアルも入手していなかったがwebでは充実した解説記事が多数あって助かりました。



 お読みいただきありがとうございました。




 後日談1
 西に向かって移動する珍しい台風は当地を通過していったが大して影響は出なかった。台風一過の晴天になったので数キロ離れた本屋にシャリイで出かけた。買い物済ませて帰ろうとスタンド起こしたらリアタイヤがパンクしている。一瞬イタズラされたか、、と思ったが往来の多いトコだしシャリイにそれはないだろうと思い直す。今度こそ意を決して1時間ほどかけて自宅まで押して帰ってきた。タイヤは前後共とうに寿命は尽きている。これを機会に新しいタイヤにしようと思ったが10inchでも色々種類があって値段も数倍違う。バイクショップにも行って眺めてみたがますます訳がわからなくなってしまってとりあえずパンク修理することにした。
 
 合わせホイールは分解すればいいので楽です。お風呂場で穴の位置を確認して例によって自転車用パンク修理キットで塞いだ。
 修理後にいったい何キロ引きずって帰ってきたかもう一度走ってみて距離を測ってみた。
 故障したのを押して帰る途中の公園で休憩した時のスナップ

 距離は意外にも2.5km。炎天下の体感距離(?)は4km以上だったのだが。。このベンチに座って休憩していたがいい風が(台風の)吹いていて気持ち良かった。

UHER CR240 stereo について(3)

2018-07-17 03:59:52 | UHER

 またジャンクのUHER CRを入手した。前回のCR210もそうだったのだがフランスから。UHER製品はフランスでは結構売れていた(らしい)。通電してみるとモーターは回り巻き戻し、早送りはするが再生レバーを倒しても無反応、欠品もあるというもの。

 再生モードに入るとソレノイドが動いてヘッドブロックが動くのと同時にアンプ部も稼働する。ところがホワイトノイズもなくこれは通電されていない、、と考えてチェックするとカセットテープをレバーで押し込んだ時に入るスイッチ部分が不良で調整することで通電されるようになった。
 
この部分のトラブルは度々見られる。ところが再生はされるのだが再生レバーを離すと回転も停止する。このトラブルもよくあり前回の原因は800基板のLEDの不良だったので今回もそれを疑ったのだが不具合は認められない。チェックポイントの波形もありこれは回路そのものの問題らしい。
 


 動作原理がよく分からないままに波形を追ってみる。。チェックポイントのMP1に低周波発信機で50Hz程度の信号を入れてみるも途中で途切れてしまう。また信号を色々な所に入れてみるが不動の原因が分からない。前回の修理でドナーになってしまったCR240AVがあるので基板ごと移植してみた後に気づいたのは

 なんと回路が異なっている!半固定VRがない方がAVでこのボリュームはフォトTrにかかる電圧調整用、AVはもともとこのTrは存在しない。

 
 2018年7月6日から7日にかけての大雨で中国地方を中心に大水害が発生して200名以上の尊い命が奪われました。私の居住する地域は幸いにも被害はなかったのですが市内の真備町では死者51名という大災害になってしまいました。報道されているように堤防の決壊により2階までの濁流で屋根に登って救助を待つ人も多く見られた。水が引いてからは一面泥に埋もれた状態で復旧にはかなりの時間がかかりそうです。この3連休には全国からボランティアにより泥に浸かった家具、畳の運び出し、泥かきなど猛暑の中で行っていただきました。私も昨日まで4日参加しましたが泥が乾燥することによる粉塵、悪臭に加え連日の猛暑で避難所生活をされている多くの被災された方々の健康と今後の生活が心配です。個人でできることには限界はありますができるだけ協力しようと思っています。


 基板のスワップは断念して改めて原因を探るがなかなか掴めない。だいいち動作原理が理解できていない。。なぜソレノイドは2系統あるのか?スタートスイッチは何をする?MP1の波形はこれでいいのか?
 数日悩んでわかったのはTrとダイオードが各々1個づつ不良だったということ。
 

 ここから備忘録
 シマシマとLED、フォトTrで発生させた信号を増幅してソレノイドをONにする回路。stopとpauseは信号を遮断することで行われる。スタート時はシマシマは回転していないので信号は発生していない。スタートスイッチを入れるとパルスが生じてソレノイドON、ピンチローラーがキャプスタンに接し巻き上げ軸の回転が始まりパルスが発生することでスイッチを戻しても持続される。テープが終端になり回転が停止するとパルスが発生しなくなりストップする。当初スタートスイッチを入れたままだと回転が持続したのは途中で発振回路を形成していてそこからの信号で後半部分が反応するものと思われる。 回路図はCR240とCR240AV両方があるがセンサー部分は共通。しかし実機とは異なるのでCR240AVは途中で信号検出ヘッドを用いた仕様に変更されたものと思われた。

 
 軽く考えていたのだが(毎度のことながら)途中で別の不具合が発生したりで解決まで結構時間がかかってしまった。ネジ類を移植してベルトも交換して完了した。

 幸いに外観は良好。基板など内部も品位を保っている。

 しばらく稼働させてみます。

 不具合が出ました。
 その1
 早送り、巻き戻しレバー操作し終点に到達すると「レバーは戻らないがモーターの回転は停止する」という機能が働かず回転が停止しません。シマシマからのパルスは再生録音を維持するのに関与するが巻き戻し、早送り時にはモーターの回転のON,OFFもコントロールする。

 ここから備忘録
 モーター基板(900)のS901スイッチは巻き戻し、早送り時にレバーで押される。回路図は再生録音時の接続。シマシマからの信号はS901を介してモーターをコントロールする。ところが信号が出ていない。T710を交換するも破損、再交換する。しかし再生録音時にはBで確認できるが巻き戻し、早送り時には信号が確認できなくなる。DCは9V台。R718の値は回路図では22kΩだが基板図では33kΩになっている。実装は22kΩ。この抵抗値を変化させてとにかく信号が検出されるようにした。これでモーター部のコントロールが復活した。

 その2
 再生時にメーターが両ch動かない。
 アンプ及びメータードライブの300基板を見ると

 メーターへのコードの付け根の箔が剥がれている。また以前修復した跡もみられた。喜び勇んで修復するも片hは動くがもう片方は不動。。最初に入手したCR240がそうだったのでヘッドの断線が頭をよぎる。

 原因は幸いなことにこれもコネクター部の断線でした。

 やはり修理も難航して手探り状態になってくると正常部分まで悪影響を受ける。とにかく動くようになったとしても信頼性の低下は避けられない。診断〜施術はなるべく的確に行いたい所だが私のような経験の乏しいアマチュアはいじり壊してしまうことが多々ある(と思います)
 思いのほか時間がかかってしまった修理だった。甘くみていたのが祟って今回も難儀しました。

 この間の西日本の大水害で地元も大きな被害を受けました。被災された方々は昼は酷暑の中の作業、夜は環境は良いとは言えない避難所での休眠とご高齢の方も多い中で心が痛みます。3連休中には全国から大勢のボランティアの方々に来て頂き地元民としても感謝申し上げます。大勢のボランティアを振り分け、誘導される方々も他の自治体やNPOから多く来られていて連日の頑張りに頭が下がります。私もできる限り大勢のボランティアの一人として参加するようにしています。現場はやはり混乱していて効率よく物事が運ばないこともあります。指示が適確に出ない時には混乱していることを察して休憩や次の作業のために邪魔にならないようにしながら出番を待っています。そんな中でも声高に「指示が悪い!」だの「段取りができていない!」などと文句を言うおじさん(たいていが)にはむかっ腹が立ちますが文句を言われているNPOの方々には申し訳ないと思いながらも「この人も善意で来ているのだから」と自分の心を鎮めるようにしていますし、またNPOの方々の腹の据わった対応にも感心しきりなのです。この歳になってこんな貴重な経験ができるとは、、。

 
 ボランティアセンターからのバスの窓越しに撮影した小田川支流の堤防決壊した現場。小田川の南側にあたります。





 お読みいただきありがとうございました。





 追記 1
 シマシマの無いセンサーの仕組みですが4トラックのヘッドの信号を感知しているのではなく巻き上げリールにあるゴム製磁石の磁気を感知していることがわかりました(一目瞭然なのですがなぜか気がつかなかった。別のCR240の修理をしていて気づいた)。信号が異なるのでその後の処理も異なっているようでやはり互換性はない。シマシマの時にあった半固定ボリュームもなくなっているので検出された信号は安定している。確かにLEDとフォトトランジスターは(特にLEDは)経年変化で特性が変化するため調整が必要になるかと思われます。磁気センサーは回路図が入手できていないので良くわかりませんがコイルには違いない。この機構はCR240とCR240AV両方に見られたので機種の違いではなく後発の変更点のようです。
 CR240(米国) 備忘録
  不具合点と対応
   ・カセット装填不能 レバーおりず  → ローディングメカ交換
   ・ヘッドブロックの位置不良  → レバー修正
   ・カセット窓、ボリュームつまみ、ネジ類欠品 → 補充
   ・ライト4ヶ所不点灯 → カウンターとカセット窓は直列。カウンター球交換 メーター球は両方切れ メーターごと交換
   ・メーター不動  → 2個とも交換(1個はムーブメント不良、2個とも球切れなのでもう1個も交換
   ・ベルトのび → メインベルト交換するも少し短くテンションが高い。カウンターベルトは小径なしでゴムバンド流用 → その後小径ベルト入手して交換
   ・カウンターリセットせず → 自然治癒。まあまあ使える範囲。
 外観はまあまあだが乱暴に(?)扱ったらしく各所に不具合あり。ドナーのパーツをかなり消費したがおかげで短期間で復帰した。

 ところが数日間使ってみるとテープによっては走行が安定しないことがある。ゴムベルトを疑って新たに注文して交換、その際ピンチローラーなども脱脂、清掃を行うもほとんど変化なし。モーターそのものを疑ったりヘッドブロックの位置を疑ったりテープがよれているのでは、、など長時間試行錯誤した。他のCR240と比較したやはり走行時の駆動力が足りない。ピンチローラーをドナーと交換するも変化なし。。本当に困ってしまい今日はもう寝ようか、、という時間になってドナーその2からピンチローラーを持ってくると、、解決した。なかなか見た目と手触り(?)だけでは判断できない。







 おまけ1
 今年は家電の当たり年で春からエアコン2台、洗濯機の入れ替えで出費に渋い顔、、だったのですがここに来て今度はお風呂の混合栓と掃除機が壊れてくれました。。

 この混合栓は31年使いました。10年くらい前に温度調節機能が壊れて苦労して修理してその後は問題なかったのですが今度は定量止水機能がイカれた。早速分解して見ると
  
 流量計部分は水車時計みたいになっていてかなり複雑です。トラブルはプリセットダイヤルが空回りするというもので残念ながら樹脂製のギアが2個ダメになっていて修復は断念した。

 再度組み立ててしばらくタイマーと人力で止めていたのだがやっぱり不便。近くのホームセンターで見るとこの機能の付いたのは置いていない。メーカーカタログで調べるとなんと8万円以上もする!そりゃホームセンターには置けないだろう、、と思いながらも実売価格を調べると半額以下で売っている所もあって購入を決意した。この業界の価格設定はちょっと古い(?)のかもしれない。以前ウォシュレットを自分で交換した時もかなり安く入手できた記憶がある。調子に乗って一番高いのを自分で取り付けて以来快適に使っている。


 相変わらずすんなりとは行かなかったが無事完了した。取り付け説明書を熟読するのが結局はや道だった。説明書の中で「重要!項目」は「古い蛇口を取り外した後の配管内部の掃除」で確かに黒い水が結構出た。
 古いのを頑張って修理して使い続けるのもいいと思うが大量生産の工業製品はやはり新しいのが快適だし使い易い。普段半分壊れたものばかり扱っていると時に新鮮に感じます。
 水が自由に使えることにも感謝。

 おまけ2
 Dysonのコード付き掃除機の断線修理は以前このブログにも書いたがまたトラブル発生。原因は完全に自分にある。中央にあるフィルターを水洗いして乾燥すべきだったのだが(取説には「24時間乾燥せよ」とある)適当に絞って取り付けてスイッチ入れたら瞬時に不動でそれっきり。ホームセンターでトルクスレンチ探して来て早速分解。
   
 狭い空間に3角形の基板があるがどうもここがアウトっぽく修復を諦めた。この掃除機の型番は「CD48」なのでオークションで本体のみ出していたのを(送料が安くなるので)入手して基板もしくは程度がよければ本体ごと交換する目論見。ところが、、
   
 なんとホースが装着できない。ここには3Pのコネクターがあるのだが入手したのは2P!分解して見ると同じ「CD48」なのだがモーターヘッドは無い仕様らしく基板も全く異なっている。コネクターを改造してなんとか接続できたが期待したホースのスイッチも反応なし。。
 結果的に「モーターヘッドなし、スイッチは本体のみ」仕様にグレードダウンしてしまった。Dysonはコード付き掃除機は売る気は無さそうなので決定的に壊れるまでは使えるだけ使って(もしくは被災家屋で使っていただいて)買い換えようと思います。