Decca Decolaがお嫁入り

やっとこさ入手したDecca Decolaの整備記録

UHER CR210 stereo について(3)

2018-12-06 13:03:55 | UHER
 海外オークションで気になるモノを見つけると、またそれが不動だったりすると「このままゴミになってしまうのだろうか?」などと考えて夜も眠れなくなってしまう(ウソ)。そのうち「彼女を救えるのは自分しかいない!」という妄想に支配され気がつくと「ポチッ」とやってしまうことがある。ヨーロッパからの運賃は高く時に製品価格を上回る事すらあるし、素人の自分が彼女を救える確証は何もない。届いてみて初めてわかる事も多く、程度も千差万別で手荒に扱われたかわいそうなものもある。しかしこうして手に入れたもので今までに後悔したことはほとんどないのは不思議としか言いようがない。多分品物の「程度」にほとんど期待していないのだと思うし世間で言われる「ジャンク漁り」だがうまく行っても行かなくても楽しんだと思う事にしている。

 またUHER CRです。CR210 stereo の不動品、電源付き。


 早速付属のZ131電源アダプターの電源コードをヨーロッパ仕様から取り替える。


 電圧切り替えで220Vから110Vにして通電してみてもモーターが回転しない。しかしアンプは生きているみたいだしボリュームツマミを押すとテープを照射するランプが点灯するのだが弱々しい。そのうち電源アダプターが発熱してきた(ミゼットヒューズは少々大きめなものに交換してある)。

 この症状は電圧の低下で原因は電解コンデンサーが短絡していることが多い。コンデンサーの発熱を確認、そのうち爆発するか?

 
 電圧が9.5Vなのに耐圧10Vで大抵は寿命が来ている。早速高耐圧の国産品に交換してみると

 目出たくモーターが動くようになった。ゴムベルトを交換して各部の清掃を行い完了した。


 ネジロックの塗料が残っていたりで今までメンテナンスを受けた経緯は無い様子。また外観は良好でネジは全てオリジナル。これはうれしい。
 何日もかかる修理もあればこんなラッキーなものもあります。

 youtubeにアップしました。
https://www.youtube.com/watch?v=2e0zf4EM0NY&feature=youtu.be



 お読みいただきありがとうございました。


UHER CR124 stereo について

2018-11-07 15:37:50 | UHER
 西ドイツUHER社は1972年に初めてポータブルカセットデッキを発表した。当時世界最小、その後のCR(compact report)シリーズの始祖だが日本では当時は代理店はなかった(と思う)。46年前の製品、テープデッキというデリケートさ故生き残っている個体は少ないと思われる。CR210やCR240に関わってきて気になってはいた。
 海外オークションでは見かけることはあるが大抵は不動品。今回入手したのはそんな1台でまたフランスから。



 

 

 後継のCR134,CR210に似ている(CR134は実物は見たことないが)。CR210とコネクター接続は一緒だと考えてZ131ACアダプターをコネクターで接続するも全く動く気配がない。。また一見するとカセットテープを装填するメカニズムが歪んでいてなかなか手強そう。。というか修復はできるのだろうか?


 全体の構成は後発の製品に似ているがメイン基板に垂直に立っている3枚の基板のうち1枚はコネクターではなく直接取り付けられていてこの基板に問題がある場合はかなり大変な作業になりそう。また各基板を結ぶ配線もコネクターはごく一部でこの点でもメンテナンスを阻んでいる。全体の集積度は非常に高くほとんど隙間がない位に詰め込まれているし基板の様子を伺うとかなり手作業が入っていて少数の熟練者が1台1台組み上げた感が強い。これでは大量生産はムリでプロトタイプ的な位置付けだったのかもしれない。
  一方で使用パーツは筐体も含めて品格を感じるもので写真で見るとデザインもさほど魅力を感じないように見えるが実際の質感は高く当時の価格は不明だがさぞ高価だっただろうと思わせる。

 オートリバースに必要な検出メカニズムは初めて見るタイプで電極接触式。問題が発生したのかその後光学式、磁力式へと改良されていく。
 
 メカニズムはテープのローディングの形状が異なっていてまた送り出し、巻き上げ軸の駆動方法がモーター軸の反対側からのベルトで行なっている。後発製品はキャプスタン軸のフライホイールから各々にベルト駆動していたので当然この辺りの形状も異なっている。
  


 古い機種でなかなか参考資料が見当たらなかったがようやくマニュアルを入手することができた。



 ただ画質は悪く特に基板図は判別しづらい。このマニュアルも記述内容は後発機器とほとんど変わらず(構成、3ヶ国語の記述など)。


 まず電源が入らない原因を調べてみる。
 
 ACアダプター出力は無負荷でDC19V程度なのだが本体内蔵の安定化電源回路でDC9Vが出力される。コネクターと電池ボックス(Ni-Cad電池の充電も兼ねる)の配線が複雑でまた電池の端子がボロボロだったので混乱したが配線をたどっていくと写真のTrが機能していない。ダーリントン接続が空中配線だったりでとても狭い部分に押し込まれているが取り出して不良を確認。適当な代品を探すが部品どりのCR210の電源部のTrを放熱版ごと移植することにした。
 
 放熱版は加工して取付け、後発製品のTrなので接続は一緒だと思い込んで苦労して配線すると、、??出力しない。。改めて規格を検索するとなんとEBが反対ではないか!(くそ〜!)しょぼしょぼ修正してようやく電源は確保することができた。コネクターなしの基板には多くの配線が直にハンダ付けされていて線材の劣化のためかポロポロ外れる。その度修正が必要で時間がかかった。

 安定化されたDCは再び電源コネクターに戻りワイヤーハーネスでローディングSW、前面の操作レバーを経由して基板に戻る(どこに戻ったかは発見できず)
 ローディングSWは破損していて要交換だがこれでモーターは回転するようになった。また巻き上げ軸にあるセンサーもワイヤーを修正してみると機能していることが確認できた。2枚の基板はコネクターから外している。メイン基板に固定されて直立している基板(双安定マルチバイブレーターというらしい)は正常動作しているようで面倒なことは一つ避けられそうでホッとした。

 2本の駆動ベルトを交換して組んでみるとラッキーにも音が出る。

 再生、録音、早送り、巻き戻しは機能する。しかし順方向の再生がレバーを戻すと一瞬で停止する。巻き戻し、早送りは各々の回転を止めるとモーターの回転は停止するのでセンサーは機能している。
 再録時の(録音は多分順方向しかできないと思うが)一方向のソレノイドへの通電が持続せずに切れてしまう。喜んだのもつかの間どこをチェックしたらいいのか?垂直の固定基板なので厄介な場所に問題がありそう。CR210とも少し異なっているようで回路の学習からしなければ。


 数日格闘(?)してみて問題点と備忘録
 ・外部コネクターへのワイヤーが2ヶ所外れていてどこだったかはっきりしない
 ・録音ボタン以外がロックしない。基板を取り出して分解確認が必要
 ・双安定マルチバイブレーターは機能している。トリガーの反応も問題ない。ソレノイドが稼働すると接点が閉じてB電圧が供給される(トリガーと混じるので測定しづらい)
 ・ソレノイドの接点は1と2がパラレル接続と思われるが1の接続線が外れている様子。これが1方向がロックしない原因だが現在は両側ともロックしない状況に悪化している。B電圧は解放では9Vあるが接続すると電圧降下が大きい(1V台)。仮に3V程度供給すると両側機能する。
 ・Trは外して良否を確認して交換もしたが症状は変わらず。ソレノイド接点からの回路は確認できていない。
 ・ローディングメカのポールの破折は折れたビスを取り外してCR210から移植予定。

 残念ながら現時点では復活できていない。不鮮明のマニュアル(基板図)も作業を困難にしているが判読できる部分についても現物と異なっている部分もある様子で復活まではまだまだ道のりは長そう。
 
 かなり時間を費やしたこともありCR124の修復はちょっとお休みします。今回この売り手から故障品3台(CR210、CR240、CR124)を入手したがCR124以外の2台の修復は完了した。

UHER CR240 stereo について(4)

2018-09-27 10:26:15 | UHER

 海外オークションを眺めていて見つけたUHER CR240はフランスからで珍しく日本へも発送可。トラブルが増えているのか最近はアジアへの発送を断っているケースをよく見る。注目したのはCR240用の茶色の革ケースが付属していたこと。UHER CRシリーズは可搬デッキだったこともありそのための魅力的なアクセサリーが用意されている。ただCR240はCR210に比べて少し大きかったためかこのケースを見かける事は稀。ケース欲しさに思わず入札してしまった。めでたく落札したのだが「表示より送料がかかった」とのことで追加の送金もした。動作は未確認とのことだったがしばらくして到着したので早速カセットを投入しようとしたがテープ自体が入らないし中でガサガサ音がする、、。仕方ないので分解してみる。。
 

 ガサガサ音は基板が外れて中で踊っている音(!)、他の基板も緩んでいる。目視ではカセットの窓にひび割れと金具取り付け部の損傷、外装のネジ2個欠品、メーターは両方とも破損している様子、カセットが入らないのはヘッドブロックの再組み立て時の問題ということがわかった。「動作未確認」という事はジャンクという事らしく結構な落札価格に加えて言われるままに送料の追加もしたのに、、。時間の経過とともに程度のよろしいのは減ってくるのは仕方ないとは思うが「どの程度」なのかは売り手はしっかりと説明する誠意は必要。説明できないほど知識が不足している場合は高品位の写真を精一杯載せるべきだ! まあそれに食いつく方もギャンブルを楽しんでいるとも言えるが。。悔しいので思わず愚痴がでた。

 多分何か不具合が発生して分解してみたのだが元どおりに組み立てできなかった、、どうせダメなのだからテキトウに組み立てた、、といった状況だと思う。これは面白くなりそうだ(ウソ)。


 まず動作確認から。ヘッドブロックへのメカニズムの接合部が外れていたのは目視で分かっていたので修正して再度組み立ててカセットテープがセットされることを確認し、外れたり緩んでいた基板も元のいちに戻す。

 これで再生してみるとラッキーなことに音は出る。巻き戻し、早送りも機能している。問題のメーターだが1個は針がなく断線、もう一個も断線している。

 一応断線の復活ができないかコイルのワニスをアルコールで溶かしてみるもやはり切れたところは発見できずメーターの修復は断念した。1個はストックがあるがもう一個はebayから入手することにした。(また出費だ!)
 メーター内のムギ球は基板ごと交換できるので基板付きムギ球のパーツ供給があったのかもしれない。

 手持ちのドナーの球は切れているので取り替えて移植、その他基板を含む全体の掃除、給油、キャプスタンとピンチローラーの脱脂、ネジ類の調達、カセット窓の修復を行い、まだ届かないメーター1個以外を組んで聴いてみた。



 おお!良いではないか!細かな所も良く聞こえるしエネルギーを感じる力強い音。(一応確認したのだが)ベルト類、ピンチローラーも生きている。ひょっとするとベルトを新品交換した時に再組み立てができなくて力尽きたのかもしれない。わからないものです。
 メーターが届くまで暫く待ちます。

 
 UHERのケースについて


 カタログ写真(と思われるが)ではケースに品番がついていて後ろ2つはレポートシリーズ用(多分4200と4400用)前2つがCR210とCR240用でケース横にはアクセサリーバッグが付いている。
 前面にはポケットが付いているがなんと接着剤で貼り付けているしポケット周囲の縫製は全くの飾り(縫ってない!)とわかった。ポケットはデザイン上付け加えられたのかもしれない。この大きさではテープ1個しか入らなかっただろうし。これはあまりにもオソマツな粗悪品でドイツ製とは聞いて呆れるしこんなもの売って恥ずかしくなかったのだろうか?



 、、Ebayでメーターを入手した。結構高かったです。。
 早速交換してみたら電球が不点灯。調べたら1ヶ所切れていたが両方とも同じものでないといけないので手持ちのムギ球と交換。
 
 
 その他若干の修正を経てようやく修理完了となった。
 最初見たときは外れクジだったかと思ったが結構いい感じでまとまってよかった。

 カセットテープは絶滅したメディアかと思っていたがアナログレコードと共に昨今のブームで生きながらえている。しかし今後の技術革新や画期的な新製品の出現は望めない。そしてメディアの大きさに合ったウォークマンや高性能ポータブル機が求められているように思う。UHER CRは日本ではメジャーではないがとても魅力的で限られた資源は大切に拾っておきたいと考える今日この頃です。



 お読みいただきありがとうございました。



 


UHER CRのベルト交換とピンチローラーについて(追記)

2018-08-10 13:31:27 | UHER
 ポータブルカセットデッキでは比類なき高額なUHER製品だが製造されて数十年の経過でメンテナンスなしには100%と言っていいくらいまともに稼働しなくなっている。劣化部品の筆頭はゴムベルトでUHER CRには4本使われている。次はピンチローラーでCR210はオートリバースなので2個、CR240は1個。両者とも狭い空間にほとんど隙間がないくらい高密度に配置されていて交換はハードルが高いらしく海外では結構な金額で交換を請け負う業者まで居ます。しかし交換を含むメンテナンスをしなくてはタダの飾りになってしまうので業者に頼むのも一つの選択には違いない。今まで自分が行ってきた工程を備忘録を兼ねて記録しておこうと思います。

 UHER CR210とCR240の走行系は基本的には同じなのでゴムベルトも共通になっています。メーカーからの純正品の供給の有無は不明だが海外オークションを見ると社外品と思われるものが常に出品されていて送料込みで3000円〜5000円程度で入手できます。国内では通販サイトでカセットデッキの交換ベルトというカテゴリーでいろんな大きさの詰め合わせセットが販売されていて数十本入っていて500円から1000円程度で私もこれを利用しています。ただし必要とされている大きさのものが含まれるかは説明と写真だけではなかなか把握できないし中には粗悪品もあるようでクレームを入れて交換したこともあります。メインベルトとカウンターベルトは特に苦労します。

 
 これ以外にも購入したのはあるのですが持っていても劣化は進みますし、最初から粗悪品もある。

 UHER CR210の場合
 
 外装パネルを外してからテープ装填ブロックを外します。マイナスネジ2本外して上に引き上げれば外れます。この時テンションがかかっていますが気にしなくて結構です。
 
 テーム挿入口のリッドですが外しておく方が安全です。マイナスネジを緩めて取り付け金具を奥方向へスライドさせて開閉リッドを外します。その時に細いスプリングをなくさないように。もし外れないようならネジごと外します。
 
 裏返して三角印の付いている3ヶ所のネジを外すとフライホイールを含んだヘッドブロックが外れます。
  
 ヘッドからのコネクターを外しておく(CR240の場合)。またシマシマセンサーの載るパーツを留めているビスも外しておく。フライホイールを含むヘッドブロックが落ちているので支えながらひっくり返す。
 
 モータープーリーからベルトを外してこれで全てのベルトが取り外せます。写真ではボード(基板)は外しています。この方が視界良好。
 

 

 
 ベルトは伸びているので計測は参考程度だが 直径 80mm 50mm 25mm(50mmは2本)少し小さめのベルトを選択する。
 またせっかくメカニズムを少し分解しているので掃除と給油も行なっておく。
 

 
 メインベルトを懸けてフライホイールが脱落させないパーツを戻して
 
 ここからが一番手こずったところ。巻き上げ、送り出し軸への2本のベルトの装着がそのままではちょっと面倒。そこでクリップでフックを作ってみた。
 
 モータープーリーにゴムベルトをかける前にフライホイールからのベルト2本をフックに引っ掛けておいて作業する。
  
 ベルトがかかったら裏返してヘッドブロックのネジ止めだがその前に各部が結合されているかチェックしておく
  
 カウンターのベルトを装着し、裏返してヘッドブロックとシマシマセンサーのパーツを固定したら電源をつないで走行試験をしておく。向かって右にあるスイッチを押してみて不具合がないか動きを確認しておくと組み上がった後の再分解を避けられます。テープを入れての走行テストをしたければテープ装填ブロックを固定して(後述)行います。

 ヘッドブロックを止めているネジ2本を外してピンチローラーの清掃、養生(?)、ヘッドのクリーニングを行う

 テープ装填ブロックの取り付け。まずガイドのポールに差し込んでから垂直に立ててドライバーやラジオペンチなどで押し込んでからネジ2本で固定する。1ヶ所引っかかりがあってスプリングに逆らって押し込むことでそこがクリアーされます。(全て目視できる位置にあります)押し込んだ時はヘッドブロックが後方へスライドします。
 
 テープ入り口のリッドを外したのと逆の手順で取り付けてからスプリングの端を回して引っ掛ける(留めなくて良いです)。テープ走行して確認。
 
 幸いにうまくいきました。


 UHER CRのダイキャストのシャーシはとても頑丈なもので高信頼性につながっています。一方で基板は経年変化でしなっていたり基板上のスイッチの具合が悪くなったりと使用、保存された環境で様々な状態のものが混在しています。またピンチローラーの寿命も気になるところです。走行が不安定になったら真っ先にここを疑うべきですが純正品が入手できるか否かも不明。現実的には再生したり代替え品を探すことになりそう。メンテナンスしていて感じることはネジ類がしっかりと締め付けられていること。しっかりした工具で適切な力で組み立てられたと思われ、さすがに管理されたドイツ製の工業製品という趣です。テープレコーダーは電子回路とメカニズム両方の問題発生の恐れがある厄介な音響製品ですが、メンテナンスに耐えうる構造であればチャレンジして楽しむのもアリかと思っています。交換せざるを得ない部品やトラブル対処などで情報交換ができればありがたいと思っております。










 お読みいただきありがとうございました。





 
 追記 1
 ベルト交換したがやはり走行が不安定。モーターの不具合やヘッドブロックのテープへの接触の不具合なども疑ったがやはりピンチローラーの問題と思われた。いくつか取り替えてみたが見た目はさほど変わらないのに非常に機能の差があった。もちろん無水アルコールで清拭したりサンドペーパーを当ててみたりしたが根本的な改善は認めず。動作状態のピンチローラーを見るとかなりの圧力でキャプスタン軸に押し付けられていてピンチローラー軸とゴム部分の接着が離れているときはかなり変形する。
 
 接着剤を綺麗に除去して再度接着し直したがやはり根本解決しない。そこで代替え品を探してみることに、、。軸径は1.5mm 直径は12.5mm。ところが勘違いして軸径2.0mm 直径13mmのものを注文してしまった。
 
 中心部は樹脂製。間違いに気づいて唖然としながらも軸径1.5mmのものを探すが残念ながら扱ってない様子。そこでオリジナルの中心部に適当なパーツを組み合わされないか改めて探してみると内径9mm(同寸)外径13.2mm 厚さ1.9mmのアイドラー用ゴムリングというのがあったので入手して劣化したゴムと入れ替えた。
 
 2枚重ねると少し隙間が空くので小さいOリング入れた。接着はしていない。
  
 これで装着するとうまくいきました。ほとんど問題なく再生できる。(このアイドラーゴムは売り切れました。最後の3枚だった。)
 
 オリジナルが入手できない場合のピンチローラーの可能性を考えると
 11.5mm軸径 直径13mm程度の代替え品を探す(発見できず)
 21.5mm軸周りを直径13mmのゴムに移植する。(直径13mm 軸径2mm以上と軸径1.5mmで外寸が小さいものは入手できる。ただし軸の入れ替えが可能かは不明)
 3オリジナルの軸周りに他のゴムを移植する(ドナーは上記のようなものを利用するか内径9mm 外径13mm程度のものを探したが未発見)
 4オリジナルの軸周りを利用して外注
 5本体の1.5mm軸に内径同寸の真鍮スリーブを被せて軸径が2.5mm 外径13mmのピンチローラーに適合させる。
 6外径13mmのゴムを加工して内径9mmに穴を広げる。ただ同心円状に加工するのはかなり難しそう。冷凍するか?
 7新潟精機(SK)六角軸皮抜きポンチ を使ってゴム板から打ち出して研磨してオリジナルと取り替え。


 軸径1.5mmというのがネックになっている。また代替え品の場合は軸周りを(下側は凹んだ形状)加工するなど必要。ゴム部分を外注するのが一番確実だがCR210では2個必要なので結構な金額になりそう。当時の販売価格を考えればこれもありかもしれないが、、ゴムの新製をサイズでお願いすれば少しはコストダウンできるか?

 上記の「2」パターンを実行してみた。間違って注文した軸径2mm 直径13mmの芯を抜いて(破壊して取り出した)軸径1.5mm 直径10mmのピンチローラーを注文し軸だけ取り外して(ゴム部を切って軸周りを破壊せずに外す)移植する。
 
 軸周りの形状が少し異なるので元々あったスペーサーを外して位置の調整を行う。以前注文したテフロンワッシャーが残っていたので役に立った。

 これで聴き比べると上記の「3」パターンと遜色ない。プラスチック軸周りだが一応給油はしてみた。耐久性はわからないが幸いにドナーとなった2種のピンチローラーは在庫は十分ありそうで現時点の対応はこの辺りが一番現実的か。

 しばらく使ってみたがやはり十分な安定を得られない。1KHz 440KHzなどの正弦波を録音再生してもワウが大きいと思う。ピンチローラー以外にも原因があるかもしれないと以前発煙の原因となった10V1000μFの電解コンC16とC28を交換した。
 
 やはり変化は見られず。ただ電圧9.5Vの回路に10V耐圧の大容量なので弱点には違いないので交換が望ましいとは思う。同様にACアダプター内のROEの25V耐圧も交換が望ましい。。
 、、そう書いてからふと思い立ってACアダプターを交換してみた。同じくサンスイが仕立てた100V仕様なものに、、、一瞬違いがあるように感じたが電圧は正常、コンデンサーも取り替えたが変化なしでどうもこの辺りもシロのよう。

 ホームセンターで見かけたパッキン 2個入りで111円
 
 上の1個はアイドラー用ゴムとして注文していたもの。内径、外径は共通だが厚みがパッキンの方が0.1mm厚い2.0mmで都合が良く表面の様子も良好に見える。これを組み込んでみると

 支障なく稼働しそうです。111円でピンチローラーが修復できれば言うことなしだが。。この方法は形状がほとんど変化しないので美しく修理できる。代替えピンチローラーはとにかく見た目が(通常はほとんど見えないが)問題ありであまり使いたくないのが本音。

 youtubeでたまたまUHER CRのメンテナンスが目に止まった。それによるとピンチローラーのスリーブを抜いて周囲のゴムを旋盤に挟んでサンドペーパーを当ててメンテしていた。旋盤はないが電気ドリルで挟むことはできるので早速やってみた。
 
 スリーブは万力と適当な棒で押し出した。4mmのビスナットで電ドリに咥えさせて行う。
 ゴム部は元のもので一度外して再接着してある。アルコールで清拭して装着すると、、結構いい感じでもうしばらくは使えるかもしれない。新製したものもこうすれば研磨できるしいい情報だった。

 
 


 

UHER CR240 stereo について(3)

2018-07-17 03:59:52 | UHER

 またジャンクのUHER CRを入手した。前回のCR210もそうだったのだがフランスから。UHER製品はフランスでは結構売れていた(らしい)。通電してみるとモーターは回り巻き戻し、早送りはするが再生レバーを倒しても無反応、欠品もあるというもの。

 再生モードに入るとソレノイドが動いてヘッドブロックが動くのと同時にアンプ部も稼働する。ところがホワイトノイズもなくこれは通電されていない、、と考えてチェックするとカセットテープをレバーで押し込んだ時に入るスイッチ部分が不良で調整することで通電されるようになった。
 
この部分のトラブルは度々見られる。ところが再生はされるのだが再生レバーを離すと回転も停止する。このトラブルもよくあり前回の原因は800基板のLEDの不良だったので今回もそれを疑ったのだが不具合は認められない。チェックポイントの波形もありこれは回路そのものの問題らしい。
 


 動作原理がよく分からないままに波形を追ってみる。。チェックポイントのMP1に低周波発信機で50Hz程度の信号を入れてみるも途中で途切れてしまう。また信号を色々な所に入れてみるが不動の原因が分からない。前回の修理でドナーになってしまったCR240AVがあるので基板ごと移植してみた後に気づいたのは

 なんと回路が異なっている!半固定VRがない方がAVでこのボリュームはフォトTrにかかる電圧調整用、AVはもともとこのTrは存在しない。

 
 2018年7月6日から7日にかけての大雨で中国地方を中心に大水害が発生して200名以上の尊い命が奪われました。私の居住する地域は幸いにも被害はなかったのですが市内の真備町では死者51名という大災害になってしまいました。報道されているように堤防の決壊により2階までの濁流で屋根に登って救助を待つ人も多く見られた。水が引いてからは一面泥に埋もれた状態で復旧にはかなりの時間がかかりそうです。この3連休には全国からボランティアにより泥に浸かった家具、畳の運び出し、泥かきなど猛暑の中で行っていただきました。私も昨日まで4日参加しましたが泥が乾燥することによる粉塵、悪臭に加え連日の猛暑で避難所生活をされている多くの被災された方々の健康と今後の生活が心配です。個人でできることには限界はありますができるだけ協力しようと思っています。


 基板のスワップは断念して改めて原因を探るがなかなか掴めない。だいいち動作原理が理解できていない。。なぜソレノイドは2系統あるのか?スタートスイッチは何をする?MP1の波形はこれでいいのか?
 数日悩んでわかったのはTrとダイオードが各々1個づつ不良だったということ。
 

 ここから備忘録
 シマシマとLED、フォトTrで発生させた信号を増幅してソレノイドをONにする回路。stopとpauseは信号を遮断することで行われる。スタート時はシマシマは回転していないので信号は発生していない。スタートスイッチを入れるとパルスが生じてソレノイドON、ピンチローラーがキャプスタンに接し巻き上げ軸の回転が始まりパルスが発生することでスイッチを戻しても持続される。テープが終端になり回転が停止するとパルスが発生しなくなりストップする。当初スタートスイッチを入れたままだと回転が持続したのは途中で発振回路を形成していてそこからの信号で後半部分が反応するものと思われる。 回路図はCR240とCR240AV両方があるがセンサー部分は共通。しかし実機とは異なるのでCR240AVは途中で信号検出ヘッドを用いた仕様に変更されたものと思われた。

 
 軽く考えていたのだが(毎度のことながら)途中で別の不具合が発生したりで解決まで結構時間がかかってしまった。ネジ類を移植してベルトも交換して完了した。

 幸いに外観は良好。基板など内部も品位を保っている。

 しばらく稼働させてみます。

 不具合が出ました。
 その1
 早送り、巻き戻しレバー操作し終点に到達すると「レバーは戻らないがモーターの回転は停止する」という機能が働かず回転が停止しません。シマシマからのパルスは再生録音を維持するのに関与するが巻き戻し、早送り時にはモーターの回転のON,OFFもコントロールする。

 ここから備忘録
 モーター基板(900)のS901スイッチは巻き戻し、早送り時にレバーで押される。回路図は再生録音時の接続。シマシマからの信号はS901を介してモーターをコントロールする。ところが信号が出ていない。T710を交換するも破損、再交換する。しかし再生録音時にはBで確認できるが巻き戻し、早送り時には信号が確認できなくなる。DCは9V台。R718の値は回路図では22kΩだが基板図では33kΩになっている。実装は22kΩ。この抵抗値を変化させてとにかく信号が検出されるようにした。これでモーター部のコントロールが復活した。

 その2
 再生時にメーターが両ch動かない。
 アンプ及びメータードライブの300基板を見ると

 メーターへのコードの付け根の箔が剥がれている。また以前修復した跡もみられた。喜び勇んで修復するも片hは動くがもう片方は不動。。最初に入手したCR240がそうだったのでヘッドの断線が頭をよぎる。

 原因は幸いなことにこれもコネクター部の断線でした。

 やはり修理も難航して手探り状態になってくると正常部分まで悪影響を受ける。とにかく動くようになったとしても信頼性の低下は避けられない。診断〜施術はなるべく的確に行いたい所だが私のような経験の乏しいアマチュアはいじり壊してしまうことが多々ある(と思います)
 思いのほか時間がかかってしまった修理だった。甘くみていたのが祟って今回も難儀しました。

 この間の西日本の大水害で地元も大きな被害を受けました。被災された方々は昼は酷暑の中の作業、夜は環境は良いとは言えない避難所での休眠とご高齢の方も多い中で心が痛みます。3連休中には全国から大勢のボランティアの方々に来て頂き地元民としても感謝申し上げます。大勢のボランティアを振り分け、誘導される方々も他の自治体やNPOから多く来られていて連日の頑張りに頭が下がります。私もできる限り大勢のボランティアの一人として参加するようにしています。現場はやはり混乱していて効率よく物事が運ばないこともあります。指示が適確に出ない時には混乱していることを察して休憩や次の作業のために邪魔にならないようにしながら出番を待っています。そんな中でも声高に「指示が悪い!」だの「段取りができていない!」などと文句を言うおじさん(たいていが)にはむかっ腹が立ちますが文句を言われているNPOの方々には申し訳ないと思いながらも「この人も善意で来ているのだから」と自分の心を鎮めるようにしていますし、またNPOの方々の腹の据わった対応にも感心しきりなのです。この歳になってこんな貴重な経験ができるとは、、。

 
 ボランティアセンターからのバスの窓越しに撮影した小田川支流の堤防決壊した現場。小田川の南側にあたります。





 お読みいただきありがとうございました。





 追記 1
 シマシマの無いセンサーの仕組みですが4トラックのヘッドの信号を感知しているのではなく巻き上げリールにあるゴム製磁石の磁気を感知していることがわかりました(一目瞭然なのですがなぜか気がつかなかった。別のCR240の修理をしていて気づいた)。信号が異なるのでその後の処理も異なっているようでやはり互換性はない。シマシマの時にあった半固定ボリュームもなくなっているので検出された信号は安定している。確かにLEDとフォトトランジスターは(特にLEDは)経年変化で特性が変化するため調整が必要になるかと思われます。磁気センサーは回路図が入手できていないので良くわかりませんがコイルには違いない。この機構はCR240とCR240AV両方に見られたので機種の違いではなく後発の変更点のようです。
 CR240(米国) 備忘録
  不具合点と対応
   ・カセット装填不能 レバーおりず  → ローディングメカ交換
   ・ヘッドブロックの位置不良  → レバー修正
   ・カセット窓、ボリュームつまみ、ネジ類欠品 → 補充
   ・ライト4ヶ所不点灯 → カウンターとカセット窓は直列。カウンター球交換 メーター球は両方切れ メーターごと交換
   ・メーター不動  → 2個とも交換(1個はムーブメント不良、2個とも球切れなのでもう1個も交換
   ・ベルトのび → メインベルト交換するも少し短くテンションが高い。カウンターベルトは小径なしでゴムバンド流用 → その後小径ベルト入手して交換
   ・カウンターリセットせず → 自然治癒。まあまあ使える範囲。
 外観はまあまあだが乱暴に(?)扱ったらしく各所に不具合あり。ドナーのパーツをかなり消費したがおかげで短期間で復帰した。

 ところが数日間使ってみるとテープによっては走行が安定しないことがある。ゴムベルトを疑って新たに注文して交換、その際ピンチローラーなども脱脂、清掃を行うもほとんど変化なし。モーターそのものを疑ったりヘッドブロックの位置を疑ったりテープがよれているのでは、、など長時間試行錯誤した。他のCR240と比較したやはり走行時の駆動力が足りない。ピンチローラーをドナーと交換するも変化なし。。本当に困ってしまい今日はもう寝ようか、、という時間になってドナーその2からピンチローラーを持ってくると、、解決した。なかなか見た目と手触り(?)だけでは判断できない。







 おまけ1
 今年は家電の当たり年で春からエアコン2台、洗濯機の入れ替えで出費に渋い顔、、だったのですがここに来て今度はお風呂の混合栓と掃除機が壊れてくれました。。

 この混合栓は31年使いました。10年くらい前に温度調節機能が壊れて苦労して修理してその後は問題なかったのですが今度は定量止水機能がイカれた。早速分解して見ると
  
 流量計部分は水車時計みたいになっていてかなり複雑です。トラブルはプリセットダイヤルが空回りするというもので残念ながら樹脂製のギアが2個ダメになっていて修復は断念した。

 再度組み立ててしばらくタイマーと人力で止めていたのだがやっぱり不便。近くのホームセンターで見るとこの機能の付いたのは置いていない。メーカーカタログで調べるとなんと8万円以上もする!そりゃホームセンターには置けないだろう、、と思いながらも実売価格を調べると半額以下で売っている所もあって購入を決意した。この業界の価格設定はちょっと古い(?)のかもしれない。以前ウォシュレットを自分で交換した時もかなり安く入手できた記憶がある。調子に乗って一番高いのを自分で取り付けて以来快適に使っている。


 相変わらずすんなりとは行かなかったが無事完了した。取り付け説明書を熟読するのが結局はや道だった。説明書の中で「重要!項目」は「古い蛇口を取り外した後の配管内部の掃除」で確かに黒い水が結構出た。
 古いのを頑張って修理して使い続けるのもいいと思うが大量生産の工業製品はやはり新しいのが快適だし使い易い。普段半分壊れたものばかり扱っていると時に新鮮に感じます。
 水が自由に使えることにも感謝。

 おまけ2
 Dysonのコード付き掃除機の断線修理は以前このブログにも書いたがまたトラブル発生。原因は完全に自分にある。中央にあるフィルターを水洗いして乾燥すべきだったのだが(取説には「24時間乾燥せよ」とある)適当に絞って取り付けてスイッチ入れたら瞬時に不動でそれっきり。ホームセンターでトルクスレンチ探して来て早速分解。
   
 狭い空間に3角形の基板があるがどうもここがアウトっぽく修復を諦めた。この掃除機の型番は「CD48」なのでオークションで本体のみ出していたのを(送料が安くなるので)入手して基板もしくは程度がよければ本体ごと交換する目論見。ところが、、
   
 なんとホースが装着できない。ここには3Pのコネクターがあるのだが入手したのは2P!分解して見ると同じ「CD48」なのだがモーターヘッドは無い仕様らしく基板も全く異なっている。コネクターを改造してなんとか接続できたが期待したホースのスイッチも反応なし。。
 結果的に「モーターヘッドなし、スイッチは本体のみ」仕様にグレードダウンしてしまった。Dysonはコード付き掃除機は売る気は無さそうなので決定的に壊れるまでは使えるだけ使って(もしくは被災家屋で使っていただいて)買い換えようと思います。