Decca Decolaがお嫁入り

やっとこさ入手したDecca Decolaの整備記録

WE 1936 Series No,6 について (4)WE555(W)

2021-04-05 17:57:40 | Western Electric

 (4)WE555(W)

    ヴォイスコイル・インピーダンス  16〜25Ω

    ヴォイスコイルDCR  12.8Ω

    ヴォイスコイル最大入力(連続)  6W

    フィールドコイル端子電圧  7V(DC)

    パワーサプライ  1.5A/10.5W

    フィールドコイルDCR  4.5Ω

    重量  9.06kg

 「555W」の開発は1926年、製造はイリノイ州ホーソーン工場で。1929年のSerial No,25000番台から製造がノースキャロライナ州バーリントン工場に移り名前も「555」になった。製造数は合計で67000台程度らしい。

 1926年の特許図

実際の製品の断面図

 Western Electric社は1926年以前から数種類のパーマネントマグネチックドライバーを供給していたが初の劇場用のホーンドライバーとして画期的な製品だったとされる。当初組み合わされたホーンは12A,13Aだったがその後も長い間使い続けられてWestern Electricのミラフォニックサウンドシステムにおいても大型のストレートホーン25Aなどと組み合わされて用いられる場合もあった。長期間メンテナンスされながら使われ部品交換などもされた関係で現在残っている製品のバリエーションは多い。特に振動板、ボイスコイルは大音量再生に対応するために次第に丈夫なものに変更された。斜め引き出し線と言われる振動板はすべてWestern Electric製だがその後のALTEC製振動板は耐入力の向上したリボン状の引き出し線にまたボイスコイルのインピーダンスも変更された。これは当初フルレンジユニットとして使われたがその後は中音域用(スコーカー)に改変されたためで当然周波数帯域も異なっている。したがって大型のカールホーンでフルレンジ再生をする場合は555W(初期の製品で振動板も高音域発生のための加工がしてある)を用いたほうが良いと言われるが前述のように振動板を交換したものが多く(現存している555の70%はALTEC製と言われる。残りの30%でも初期振動板は極く僅か)外観だけではわからない。振動板を直接見て確かめたいと思うのは当然だがユニットの着脱はよっぽど慣れた人が慎重に行わないと破損する危険が高く着脱に慣れた人以外は手を出さないのが無難。私(もちろん素人だが)は目視による作業は自信がなかったので治具を作って行っていた。視力が衰えた現在では自信がなくよっぽどのことがない限り開ける気がしない。

 

 555W  (ser. No,7317)

    

 ヴォイスコイルDCRとフィールドコイルDCRはほぼ定格。裏板はメッシュではない。

 

 555   (ser.No,36890)

   

 裏板はメッシュではない。残念ながらヴォイスコイルDCRが85.8Ωで問題が生じている。実は以前も同様の問題が生じてその時は200Ωだった。当時こういった仕様の555があるのかと東京の専門店にお聞きしたことがあるが答えはノー。その時は開釜して原因を探したがしたがはっきりせずそのうち自然治癒してそのままになっていた。どこかで断線しかかっているのか接続部が甘くなっているかと思うがさて、、。

 

 555のフィールド回路はDC7V 1.5Aの電源が必要でこの電源によって大幅に音が変わると言われている。555を入手した当時とりあえず作った専用電源

 

 整流は特大のショットバリアキーダイオード半波整流でケースは以前作った半導体アンプのものを加工流用したもので重量は20kg、出力電圧が可変で電流計と電圧計で直読できる。久しぶりなので正常動作するかちょっとずつ電圧を上げていきながらテスターで確認すると4.6Ωのフィールドコイルなので7V時は1.52Aでほぼメーターの表示通りとなった。

 整備したレプリカ22Aホーンに出所不明のドライバーを搭載してIMacのヘッドホン出力でほぼ1日色々なジャンルの音楽を聴いてから555Wと交換した。

 

 無事音が出てほっとした。能率は出所不明ドライバーと大きな違いは無さそう。音味はピントが合っているように感じるがこれは高域が伸びているためと思う。その割に刺激的な音が少なくちょっと優しい感じがする。低域が不足なのは変わらず。音像が前で展開する感じで振動板までの距離をあまり感じなくなり蓄音機的な印象は薄れた。らじるらじるのNHKニュースは聴きやすいが肉声とは異なる。原稿をめくる音はリアルで付帯音もないがちょっと滲む帯域があるように思う。ニュース音声にはコンプレッサーがかけられているのだろうか?少し詰まった感じもある。ヘッドホン出力なのでせいぜい数十mWかと思うが(うるさくて)最大音量には上げることができない。 

 次に問題を抱えた555と交換した。接続直後はDCRが高いこともあり音量は小さめだったが次第に大きな音になった。改めてDCRを測ると約17Ωとかなり下がっていた。詰まっていた水路が水を流すことでゴミがどかされて流れ出したような感じだ。それでも少し高いDCRのためか高域がよく伸びている気がする。

 これはスペアとして購入していたALTEC製振動板で引き出し線がリボン状になっている。

どうしてもダメなら交換しようと用意していた。もうしばらく様子を見ることにします。

 1日聴き比べてからアンプを繋ぎました。Bell研究所の2B 2A3pp 整流管はWE274B

 

 問題を抱えた555は能率がかなり低いようでやっはり問題あり。いずれ開釜しなくてはならないと思うが今後の課題にして今回はSer. No,7917を採用することにします。音味云々言う前に定格内パワーを入力した時にビリつきなど破綻しないか音源を変えてチェックしてみる、、と大振動の低音で歪む。大型のカールホーンのフルレンジ再生としたらこれでは困るが実際どうなのだろうか。フルレンジ再生はWE42の1.9Wの時代で大出力のミッドレンジ再生で問題なければこれで良いのか?とにかくこの状態(555W+22A)で十分に納得できるように鳴らないと次の段階へは進めない。何と言ってもこのシステムの主役なのだから。

 この状態でしばらく聴いて(楽しんで)みます。以下備忘録

・555とホーンのジョイント部の緩みはかなりの音質劣化を来すので要チェック

・ネジが緩んでいないかチェックする。十分なトルクで締める。

 

 久しぶりに「のだめカンタービレ」(TV版アニメ国内編)23話を一気見したがやはり傑作だと思う(ちなみにコミックも持ってます)。ずっと555+22Aでの視聴だったがストレスなく楽しめた。セリフは聞き取りやすく音楽も明瞭で細かなところまでよく聞こえる。音量を上げてもうるさく感じないのでこれで良い気がする。

 

 

 


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