Decca Decolaがお嫁入り

やっとこさ入手したDecca Decolaの整備記録

National AG-6400 について

2023-03-29 23:38:05 | テレビ

 業務用ポータブルVHS機 National AG-6400 は1986年のGood Design賞を獲得している。

 

 価格は28万円で当時の大卒初任給の2ヶ月分、数年後にS-VHSに対応した後継機AG-7400と交代した。余談だがその間に松下電器のブランド名がNationalからPanasonicに変更になった。

 1年半前にPanasonic AG-7400をメンテナンスして以来使用している。細かな比較はしていないが共通点は多く少なくとも見た目はボディの色以外はほぼ一緒。

 

 我が家にやってきたAG-6400に外部電源を繋いで動作させると映像と音声は出力する。しかし姿勢を変化させるとシリンダーからと思われるしゃりしゃり音がするのと裏板を触ると音声に雑音が混じる。分解すると

   

 物量を投入したメカニズムと広大なプリント基板に圧倒される。樹脂の関節部を開くとワンボード状となる。同じ業務機と言ってもBR-1600とは2倍の価格差があるのだが一目で納得する。

 メカニズム部はホコリの侵入を防ぐためもしくはオイルのミストが基板に散らないようにアクリルパネルで覆われている。パネルを外して非分解でクイックドライクリーナーで洗浄しシリコングリスとシリコンスプレーで給油した。裏板を触ると発生するノイズの原因だが

 裏面に貼ってあるシールド板のアース接続部がめくれていてここを修正すると問題は解消した。組み立て時に注意しないとこうなりやすい。電源は充電式の内臓専用電池か4Pのキャノンコネクターで繋がる外部電源だがAG-7400にはそれ以外に別規格の端子があった。接続はVICTORと共通だったので業務機各社で規格化されているのかもしれない。またAG-7400では廃止されたRF出力がありカタログの文言からも業務機にあこがれる民生使用も視野に入れた製品と思われます。

 この個体は以前はPCM録音機として使用されていたとのこと。動作はとても安定していて力強く画質、音質も良好でさすが業務機器と思わせる。分解するときに4個あるダイヤルの1個を飛ばしてしまい絶賛探索中。

 その後National AG-6400のカタログ(昭和61年6月25日)を入手しました。

 カタログによるとAG-6400の価格は285,000円 専用電源 AG-8640 35,000円  キャリングケース AG-H640   10,000円  カタログ表紙の左下に写っている3管式カラーカメラVY-5000は 1,365,000円 ただし表紙の「画質、音質、機能ともプロフェッショナル仕様」「業務仕様」という文言からやはり業務機が大好きな当時のこだわりマニア向け製品という位置付けもあったようだ。SONYの影響を感じる丸型レベルメーターや美しいパネルも民生使用を意識した設計と思われる。

 

 

 お読みいただきありがとうございました。

 


National パナステート TP-25Y について

2023-03-27 10:51:25 | テレビ

 

 カタログで存在は知っていて以前から気になっていたのだが実物は見たことはなかった。無駄のないデザインが素晴らしく独特のカラーと相まってとても美しい。そして「パナステート」という名前から当初は考えもしなかったがこの白黒テレビはなんと真空管方式。日本にもこんなに洒落た真空管テレビがあったとは!オークションでも滅多にみることは無かったのだが最近幸いにも入手することができた。

 かなりくたびれているが外装パーツに欠品はなさそう。このブルー系統のカラーはカタログにはなく後発の製品かもしれない。ブラウン管サイズは12inch、12本の真空管を使用している。

      

 放熱を考慮して後ろ半分はスリットだらけの見た目ザル状態。中身をとりだしてドンガラにすると素地は鮮やかなスカイブルーだが場所によっては緑黄色になっている。これは塗料の変色か熱による変色かよくわからない。まだら状態なので丸洗いして劣化塗装をカッターの刃で削ぎ落としてからサンドペーパーの番手を上げていった。前面のアクリルカバーの小傷は極細コンパウンドで磨く。

 

 この作業で2日間費やした。相変わらず根気が続かない。とよちゃんガレージを見習おう。。

 内部も相当埃が溜まっていてがんばって綿棒でかき落とす

     

 ナショナルの真空管トランスレステレビは多くの機種が発売された。シャーシを持たないワンボードのプリント基板回路は真空管テレビの最晩年の様相と思います。背の高い真空管ソケットを用いてプリント基板に発熱による影響が及ばないように配慮されている。基板はねじ止めされておらず溝に収まっている。メンテナンスがしやすく裏には真空管の電極の記載もあってサービス性も良好。詳しい発売年は不明だがすでに同社からソリッドステートのテレビも発売されていた時期で近代的な筐体と内部のアンバランスはなぜ?手本となる製品があってそのコピーだったのかもしれない、、などと妄想したりこの構成のままでそっくりソリッドステートへの移行も容易だっただろう、、と考えたり。幸いこの個体は機能的には大きな問題はなさそうだがやはり大きなプリント基板は真空管の発熱の影響ですこし歪んでいる。前回メンテナンスした業務用ポータブルビデオ VICTOR BR-1600のRF出力を直接アンテナに接続してビデオテープで視聴した。

 

 

 側面の調整ツマミや前面のボリュームツマミの中心部分も本体と色を合わせていてセンスの良さが伺える。

 となりはRCA AC 095Y 1978年 だがそれよりも少し大きい。こちらはソリッドステート。 

 この製品の正式な名前は「new pana☆pana(ニュー・パナパナ)」で現金正価39,900円 毎月2,600円 x 14回 初回金7,800円 月賦定価(15回 43,700円)とある。当時は終身雇用、毎年の賃金上昇でもっと長期のローンにも何の不安もなかったのだろうと思う。冒頭のカタログでは一家に一台のテレビから各部屋毎に、、という需要の掘り起こしからかプライベート、リビング、ゲストルーム用として各々の部屋に相応しいテレビのラインナップが紹介されている。半世紀前の日本は憧れのカラーテレビ、車、クーラー(いわゆる3C)の獲得をめざして活気付いていてだれもが明るい未来の到来を疑わなかった。

 

 

 

 

 

お読みいただきありがとうございました。

 

備忘録

 多重音声出力(MULTI)へのコードプラグを接続しないと音声が出ない。

 

 


VICTOR BR-1600 について

2023-03-23 23:54:51 | テレビ

 発売年は不明だがカタログが1989年なのでバブル景気の絶頂期の昭和から平成に換わる頃かと思います。業務用ポータブルVHS機はPanasonic AG-7400VICTOR BR-405Sのほかでもあるかな、、と探していて目にとまった。BR-製品なのでカタログでは業務機扱いのようだが価格は142,000円、またコンポジット出力以外でもRF出力があることから民生使用も視野に入れた製品のよう。

 

 底部にバッテリーもしくはACアダプターとコンポジット入出力のアダプターが装着される。側面はカメラ入力のほかはイヤホンとマイクジャックだがいずれも3.5mmなのでやはりプロユースの雰囲気は薄い。オーディオ入出力はモノラル。

 入手した製品は不動、リットが開かずテープが入ったままだったが(!)しばらく触っていたらなんとか開いて取り出すことができた。ボタンを押すと少し反応があるが軸は粘って回りにくそうなので整備が必要。堅牢でしっかりしたカバーケースに包まれていたので外観は非常に綺麗。このカバーも綺麗だったので何らかの事情で稼働は少なかったと思われた。あらためてテープを挿入するとローディング途中で止まってしまう。内部を取り出して基板を外しギアを綿棒などで清掃してみたが改善しない。そこで非分解で洗浄することにしてプラスチックや電子部品にも使えるとあるCRE クイックドライクリーナーを購入した。

 けっこうしっかり噴射して綿棒で拭き取るもやはり状況は変わらず。仕方ないのでメカ部を分解してみる。

分解してパーツごとの洗浄を行う。

 カムが回ってカラクリが稼働する。カムには動作項目が書いてあるのでどこかに基準点があると思うがよくわからない。カムを挟むセンサーのようなものがあるのでここかもしれない。ギアは位置合わせがあるはずだがうっかりして外す前のマーキングをしていなかった。洗浄して再度組み立てるとやはり不具合発生。電源スイッチを入れるとなぜかキャプスタンモーターが回ってテープ軸も回転してそのうちにエラーを検出して止まる。また分解、原因はカムの位置がずれていたためだった。その後も不具合が続いたがようやくローディングまでするようになった。ところがテープが走行しない。

 

 これはモーターからのベルトで回転するウォームギアだが分解するとスプリングで押し付けられながらスライドするパーツがきつくて動かない。経年劣化で樹脂が変形したのだろうか。まあこれはマズいと判断して樹脂の軸をサンドペーパーで削除細くしてスムーズに動くようにした。

 同様にこの部分の動きをコントロールする部品。白黒2個のパーツが1個のスプリングでコントロールされる。白い部分が押されると黒い部分がウォームギア軸にひっかかり軸の回転によって突起が押し出されて次のアクションに繋がる。最初はスプリングの位置が移動してしまっていて原理がわからなかった。

この軸周りがきつくて動きも悪い。樹脂にダメージを与えないように慎重に穴を広げてスムーズに動くようにした。本来の動きと調整の基準点がわからないため試行錯誤が続く。可動部品を軸に固定するのは樹脂のワッシャー一枚でやはりかなり簡略されている。それでも調整を繰り返してなんとか動作するようになった。再生、イジェクト、早送り、巻き戻し、ポーズ、、、。

洗浄後の給油はホームセンターで買ってきたシリコングリス、パーツを傷めにくいのだそう。

 

 早速テープを再生すると期待に反してボケボケの画面、音はしっかり出ている。映像ヘッドが汚れていたようでクリーニングテープを通すと改善した。

 

 可搬機らしくキャプスタン軸には大きなフライホイールがあり画面、音共に安定している。画質はそれほどシャープではないが不足は感じない。

 ビデオデッキのメカを分解したのは初めてだったができればやりたくないと思う。カセットやオープンデッキと比べてテープがカセットから引き出されてローディングされる機構は複雑で難解。故障の原因がグリスが粘っただけなら丹念に洗浄すれば非分解でも何とかなるかもしれないと思っていたが現実はそんなに甘くはなく機構もよく理解できてないのに部品の切削調整まで必要だった。一時は修理を断念する事も考えたが何とか終わりまで漕ぎ着けたのは幸運以外の何者でもない。やはりサービスマニュアルはほしいがマイナー機の入手は難しいことがほとんど。

 

 

 

 

 

 お読みいただきありがとうございました。

 

 

 


Canon キャノーラ 130 (Canola130) について

2023-03-11 15:48:12 | ガジェット

 1回目の東京五輪が開催された1964年、東京晴海での日本ビジネスショーで日本国内4社から同時に日本初の電子卓上計算機が発表された。その年の6月には早川電機(シャープの前身)から国内で初めて市販された。

 以前よりカシオからリレー式計算機は市販されていたが初めてトランジスターやダイオードを用いた電子回路となった。その後IC化、LSI化され表示もニキシー管、点光表示 LED   液晶と変化した。価格競争も激化し各社毎年のように価格の下がった新製品が発売された。LSI化が進んだ頃には一時は数十社が市場に参入していたがあっという間に沈静化し太陽電池式のカード電卓に行き着いた頃にこの熱狂ぶりの終焉を迎える。また多機能化も進んで関数内蔵やBASICを積んだポケットコンピューターなどPC化していく流れもあった。

 Canon Canola 130は4社から発表された日本最初の電卓のうちの一台でCanonカメラ(Canonの前身)から1964年10月に市販された。開発期間は約2年間、13桁表示で1兆まで表示、「Canola」は最初同社のカメラの名称として用意されていたがこちらに転用された。また「130」は13桁表示から来ている。使われた半導体はゲルマニウムトランジスタ600本 ダイオード1600本で1964年当時の価格は北海道を除いて395,000円、北海道は415,000円。

 

(引用:http://www.dentaku-museum.com/calc/calc/3-canon/1-canond/canond.html)

 

 写真でしか見たことはなかったが縁あって拙宅にやって来た。予想はしていたが最初の印象はとにかく大きい。半導体が2200個収まっているのだから当然で昔のブラウン管一体型コンピュータくらいの大きさがある。しかし机には十分載るので「卓上」に偽りはない。表示方法は点光式という珍しいもので同社の初期の電卓数機種に採用された。数字のサイズは大きい。キーボードはまだフルキーが多かった時代に現在と同じスマートなテンキーが採用されスッキリしている。全体の佇まいは写真で見る他社製品と比べても非常に洗練されている印象。

 

   

早速掃除を兼ねて内部を見てみると

   

 点光式表示はCanola130以外でも同社のCanola製品で何台かに採用された。

    

キーボード下にある大きな電源トランスと電解コンデンサー、熟練のハーネス。

   

非常に大きな基板はコネクター接続ではなく側面のボードに差し込まれて21端子が裸線でハンダづけされている。チェックはこの部分で行うのだろうか。

          

 電圧は少々異なるところもあるが数種類いずれも出力している。

 幸い取扱説明書は入手することができた。

 現在電源スイッチを入れると表示が乱れCキーで0が並ぶが次にどのキーを押してもまた数字が重なったような乱れた表示となる。Cキーでまた0に戻る。矢印キーで小数点の位置は移動する。現在まで修理、メインテナンスの手が入った様子はなく稼働させるには修理が必要なようだが使用説明書以外の回路図やトラブルシューティングマニュアルなどの資料は入手できていない。

 Canola 130は日本の電子機器における歴史的に貴重な製品だと思われます。興味を持たれた方はコメント欄からもしくは koban@mx31.tiki.ne.jp までご連絡ください。


Victor BR-S405 について

2023-03-11 14:11:42 | テレビ

 ポータブルタイプのVHS業務機は中古市場で見ることは少ない。カメラを接続したり現場でのモニターとして使われたと思うがメディアがVHSテープ(もしくはS-VHSテープ)なので主に結婚式などのイベントでの出番が多かったのではないだろうか。撮影済みのS-VHSテープを再生したりブラウン管テレビの視聴をするために入手したPanasonic AG-7400はVHS,S-VHSに対応した機器で小型、高性能なうえに丸型アナログメーターをアイキャッチャーにした洗練されたデザインだった。

 webで見たもう一台の業務用ポータブル機のVictor BR-S405はさらに細々した設定ができる。両者ともチューナーは非内蔵、搭載する専用バッテリーもしくは外部電源で稼働する。このほど幸運にも入手できたので早速整備してみようと思います。

 webでBR-S405の製品説明や説明書などの資料を探すがほとんどhitしない。部署か会社そのものが異なるのかJVCが提供しているマニュアルなどの資料一覧にも見当たらずこれは実際に操作しながら理解するしかなさそう。入手したのは2台の本体と社外品と思われる立派な電源2台でcanonコネクターで本体と接続される。主にイベントで使用されていたと説明があったがほとんど稼働していなかったのではないかという外観でひょっとすると公共施設などに備品として導入されてからほとんど使われずに保管されていたものが放出されたものかもしれない。実際に再生してみると2台とも特に問題なく動作した。

 

 入力の設定が多い。スイッチは奥まったところにあって誤動作を避けていてパネル前面にスタンバイスイッチがある。

普段使っているPanasonic AG-7400と並べてみると

 

 

 AG-7400に比べて一回り大きい。この2機種以外でもS-VHS対応、チューナーレスで電池で稼働する業務機はHitachi VL-S100 , VL-S110があるらしい。

 

 

 

お読みいただきありがとうございました。