切れ切れ爺さんの徒然撮影&日記

主に寺院や神社等を中心に、文化財の撮影と紹介。
時に世の中の不条理への思いを発言していく。

《日本安倍晋三独裁国家の成立》(臨時号) (前半)2020.1.22

2020-01-23 00:13:00 | 社会



◆安倍総理による施政方針演説の内容について

 新しい年になり今年最初の国会がスタートした。その際安倍総理は長々と「施政方針演説」なるものをしゃべり通した。その内容にあまりにもあきれ果てたので、ポイントごとに少し振り返って、この男のまさに独裁者であることの証明を改めてしてみたいと思う。

一 「はじめに」と題して2つの点を述べた
・「日本オリンピック」について
 今年は2020年で東京オリンピックが2回目として開催される。これを真っ先に持ってきた。真っ先に持ってきたのは国民の関心事で最も高いであろうと思われることを述べることによって、安倍政権と言うのは、国民とともにオリンピック成功に向けて一丸となることが大事なんだ、と訴える。これには誰も異論は無いだろうと言う思いが透けて見える。
 1964年のオリンピックにおける最終ランナーの実名を出して、その人物が8月6日広島生まれ。あえてそういう紹介をして、当時の日本国民は一丸となってオリンピックを成功させたと言うことを述べたのだ。
 確か日本と言うのは、世界の核兵器の廃絶問題について、アメリカの子分として一緒に行動し、それに賛同していないのではないか。中国や北朝鮮などの核に対してはグダグダ言うくせに、アメリカの核兵器については口をつぐんで賛成の立場らしい。核兵器に限らず原子力発電においても国の政策として、今後も進める方向の姿勢だ。
 誰でも知っている通り、日本はアメリカの核兵器で甚大なる死傷者を出した被爆国だ。当然その恐ろしさを誰よりも知っているはずだし、世界の先頭に立って核兵器廃絶の主張をする立場にあるべきなのだ。よくもまぁこんなことを例示して言えたもんだと感心する。
 そして今年のオリンピックパラリンピックについて、「日本全体が力を合わせて、世界中に感動与える最高の大会とする。そして、そこから国民一丸となって、新しい時代へ」と結んだ。
 オリンピックと言うものを例に出せば、日本国民は全員が喜んで応援して一体化して団結して、お国のために頑張れると思っていること自体にあきれ果てる。そもそもが安倍総理のまさに思い上がりも甚だしい言い方だと思わざるを得ない。俺はオリンピック大反対派だが、こういう反対の人々はずいぶん多い。なんでこんなものに、東京中心にインフラ整備も合わせて約3兆円もの金をかける必要があるのか。疑惑と嘘にまみれたコンパクトどころか、莫大税金の無駄遣いオリンピックに過ぎないものに、なぜ国民が一丸となる必要があるのか。勝手に決めつけるな。
 続いて「新しい時代へ踏み出す」と題して、安倍首相が自分の名前をつけてアベノミクスと称している、3本の矢の成果をほのめかす自慢を晒して、さらに防衛力と言う軍事力を強化する事を主張し、「わが国はもはやかつての日本ではありません。」と言って、自信と誇りを持って日本の新しい時代を切り開く切り開いていこう、とぬかしよった。
 じゃあ聞くが、アベノミクスの三本矢は阿部応援団の馬鹿どもは別にして、学者や専門家らの間からは、決して成果があったとは言えない部分も多いと指摘されているし、中には失敗との評価の声も聞こえる。一体どこが成功して国民生活に役立ったのか、何も言っていない。
 そして「かつての日本ではありません」とは一体どういう意味なのか。1945年の敗戦から、どん底の貧しい生活に耐えながら必死になって復興の努力をし、働きに働いて日本を高度経済成長の復活に努力してきたのは、圧倒的多数の名もなき国民たちだ。その人たちの大半はもう既に亡くなり、それに続く世代は今現在、高齢者として生き延びてはいるものの、日本社会の中でははっきり言ってお荷物扱いの立場に追いやられている。なぜこんな厳しい実情があるにもかかわらず、何を根拠にこんなことが言えるのか、全く理解ができない。安倍総理に従ってそのケツの後をついていけば、素晴らしく輝く未来がやってくるとでも言うのか。日本と言う国を、年を重ねる毎に低級国家にしている張本人がよくこんなことが言えるもんだ。

・二 復興五輪
 東北大震災は2011年3月だ。その後にオリンピック招致の具体的な取り組みが始まって、国際オリンピック委員会におけるプレゼンテーションでジェイオーシーは「復興五輪」をテーマの1つとして掲げた。
 俺にはその意味がさっぱりわからない。オリンピックが開催されれば2万人もの死者行方不明者が出た大災害の復興になるのか。いろんなことを考えたがやっぱり意味がわからん。要するに悲惨な災害を利用して、日本を元気づけるためにぜひオリンピックの開催権利を東京にください、と言ってるようにしか思えない。ほんまに震災復興と言うんやったら、東京ではなく宮城県の仙台市あたりでやればいいんではないか。単なる方便で言ってるだけで、東北大震災を利用しただけの話だ。
 演説内容は東北地方の各地で、最先端技術の拠点があちこちにでき、外国人観光客が震災前の何倍も訪れるようになっているとか、見栄えの良さそうな事しか言っていない。復興五輪の具体的な結びつきは何かと言うと、聖火ランナーの出発点と1部の震災被害を受けた自治体が、オリンピックでやってくる国のホストタウンになると言うこと位だ。1部の競技が東北でなされるらしいが、とってつけたようなものでしかない。
 それらも含めて僅かな事ばかりを述べて強引に、「復興五輪」といっただけのことだ。要するに9年も経って未だに避難所はあるし、生活困窮の問題もある。そういったところには何一つ触れようともしない。何もかもが安倍内閣のおかげで立ち直って輝く未来があるんだ、と思わせるような駄文を、ただただ読み上げただけだ。

・三 地方創生
 地方創生で最初に挙げたのが「観光立国」だ。わざわざアイヌを取り上げ、沖縄振興策を取り上げ、オリンピック等での安全対策を語り、2030年には来日観光客の数を6000万人を目標とするとぶち上げた。
 それらの言葉の中で「複合観光施設」の整備に取り組みますとあった。これって一体何のこと。例の日本に賭博場を三箇所を作ると言うやつだ。これについて賄賂問題で逮捕者が出ている。反対も根強いのでこんな表現をしたんだろう。
 いかにも日本全国の地方を大事にし、各地域を盛り上げるために様々な努力をするかのようなことを言っているが、そもそも根本的な問題は、東京及びその周辺のいわゆる、「人口一極集中化」こそが大問題なのだ。
 東京とその周辺だけは世界の一流先進国のような雰囲気。少なくとも上辺はそう見える。それ以外の地域はと言うと、少子高齢化の影響をもろに受け、所得格差の極端化、地域の疲弊による限界集落の増加傾向、個々人の生活そのものが立ち行かなくなるような現場。こういったものの根本的な原因を作ったのは、政権による根本的な政策の失敗のツケが今、回ってきたと言うことだ。
 昨年の出生数は戦後初めて、100万人をついに切った。若者世代はどんどん減っていく。こんな歪んだ実態があるのに、各地方創生するには外国人観光客に来てもらうことで解決できるんだ、といった能天気な言い方に不信感以外何も感じられない。
 続いて「農産物輸出」を述べた。その内容もなんとまぁ良い所取り。1部ブランドの1部農産物の良かった例だけを取り出して、すべて日本の農業はうまくいっているかのようなごまかしの言葉を並べた。日米貿易協定も活かしなどと言っているが、これは専門家も、総理が国民向けには「win win」の成果だったと強調しているのに対して、どっからどう見ても日本側の一方的な譲歩に過ぎないと言うのが常識論だ。自動車などの工業製品について関税の問題を先送りにしただけで、逆にアメリカ側の農産物、特に肉類の関税撤廃の方向については確約をすると言う一方的な敗北だったわけだ。よくこんなにごまかして言えるものだ。
 安倍総理と言う男の脳みその中身がどうなっているのか、疑わざるを得ないし、まぁ疑う必要もない。もともとが厚顔無恥にこういうことを言える奴なんだろうから。
 続いて「地方創生」の本論。まっさきに台風19号の災害問題で、八ッ場ダムのケースを引っ張り出した。多くの人は忘れてるかもしれないが、この八ッ場ダムは税金の無駄遣いと言うことも含め、反対派の住民や野党の反対で一旦建設を凍結するようになったもの。それが安倍政権のもとで復活し完成させられたダムだ。早速このダムが災害を防いだと大宣伝。どこまでが本当で、根拠のあることなのかどうかは示されていないので、さっぱりわからない。
 そして国土強靭化を言いながら同時に、地方を活気づけるために資金的な援助をして、人口増につながるようにしたいと言う。その例として島根県江津市を挙げた。ここに東京から農業をしたいとのことで若者が移り住んで、数十年ぶりに転出人口より転入人口が増えた、とこれまた自慢するように演説した。しかもこの若者の名前を実名で紹介した。本人の了解を取ったんだろうか。間違いなくとってないだろう。このようなケースをあちこちで作り上げれば、人口減はなくなって若者が地方で活躍し、地方全体が元気になるとでも言いたいのだろうか。現実は江津市に移り住んだ若者は、すでに農業を辞めて東京に戻ってしまったと言うのに、全く漫画話だ。現実を見ずして上辺の事例だけを引き合いに出して、強引に納得させようとするからこんなバカ話になってしまうのだ。

・四 成長戦略
 成長戦略は確かに大事なことではある。しかしもはや日本はGDPにおいて順位を下げ、中には先進国では無いとの声も出始めている。国民一人当たりの所得については確かにかなり高い水準にある事はあるだろう。
 安倍首相の演説はまず「中小・小規模事業者」について演説している。ところがその内容というのがごく1部の中小企業による、オンリーワン技術の成功の例を上げながらチャンスはあるんだと促し、後継者不足の問題については個人補償制度の問題だと限定的に述べて、この緩和を進めることによって、中小企業も存続しやすくなり、大企業の下請けに甘んじている、そして苦しめられている実態などは全く触れず、大企業に対して下請けGメンなる者を採用し、下請け取引の適正化を進めると述べた。私は経済の詳しいことについてはわからないが、こんな画一的な単純なことで解決するような問題なのか。とてもじゃないが信じられない。この件の文章を見てみると、もちろんのことだが安倍総理本人が考えて書いた演説原稿でないことは明らかだ。官僚の作文そのものとしか言いようがない。なんとも無様な。
 様々な日々のニュースを通していろんな企業の問題、それは大企業であれ中小企業であれ、あるいはまた個人事業主の問題であれ、まさに様々な側面が複雑に絡み合って結果的には全てが大企業有利な政策になってしまっており、国による中小企業いじめとも言うべき実態があることを完全に無視している。こんな上辺の体の良いことだけを言って、中小企業の当事者たちは一体どう思うだろうか。まずやるべき事は、大企業の法人税を上げること。累進課税的な状態にして、大企業を優遇するようなやり方は極めて不公平だし、さらに金融機関への援助については言語道断だ。
 大企業の内部留保の巨額な金。金融機関の超ウルトラ低金利の問題。損してるのは一般国民であって、得しているのは大企業であり都銀だ。中小の地方銀行はここ数年の間に破綻するか、あるいは統合によって生き延びるかの選択が迫られるような状態だと言われている。経済の状態が一体どのようになっているのかを、この安倍首相と言う人物は本当に知ってるのか。アベノミクスの失敗を認めようとしない限り、理解することはできないだろう。
 これとの関わりで次に述べたのが「規制改革」のことだ。はっきり言って何のための規制改革なのか全然わからん。改革改革と言うが、どうも怪しいとしか思えない。特に気になるのが金融分野の規制の見直しの問題。マイナンバーカードの取得促進。様々なデータの電子化。こういったものは全て国民の安全安心につながると言っている。よく意味がわからない。これらの内容の多くは大企業が絡むような内容だ。ある意味国民の行動などを集約し、データベース化するような怪しげな動きも垣間見える。要するに規制改革と言いながら、国民全体の管理体制をどのように構築していくか、ということが本質的な狙いなんだろう。

 なんかもう、一つ一つの項目についてそれに目を通して批判するのも、ほんま疲れる。全体まとめて一発で批判できれば1番いいけど、やっぱり安倍晋三と言う男がどんな頭の構造なのかを知るためには、やっぱり1演説項目ごとに、ほんまにわかって言ってるのか、聴きバエのええことばっかりしか言ってないのか。嘘も方便でやってるのか、そういったところもそれなりに知っておく必要があると思うので、あえてめげずに進めてみよう。

 次が「イノベーション。」たまたまノーベル化学賞が日本人に与えられたことで、それを引き合いに出し、研究分野に金出して日本の研究のレベルを、ベンチャー企業含めて向上させると言っている。この分野で研究費を毎年毎年どんどん削り続けてきたのはほかならぬ安倍政権だ。全国の大学や研究機関が悲鳴をあげている。研究費が足りないために、あるいは減らされたために基礎研究の分野がほとんどできない状態。即成果の上がるような内容しか評価されない実態が蔓延しており、研究者団体からは大きな批判が相次いでいる。
 こんなことをしておいてよくもまあ言えたもんだと思う。日本人のノーベル賞受賞の研究内容はそのほとんどが、受賞から10年20年30年前の成果によるものだ。去年の成果で即ノーベル賞、と言うことなどありえない。(平和賞は別だが)したがって日本人のノーベル賞受賞者は、今後激減するのは間違いないだろうと思う。
 時々新聞報道等で画期的な成果と言うものが報道されることもあるが、それも世界中で検証実験が行われ、認められなければならないし、さらに実用化が必須条件に近いものが求められる。そう考えたときに、基礎研究がなおざりにされた中で画期的な成果と言うものはありえないだろうと思う。
 そしてこのような最先端の分野における日本の強みを活かしていくと言う上では、ベンチャー企業だけではなく、巨大企業の資金力等豊富な研究実績が欠かすことができない。そういった意味ではやはり大企業やエリートのところに焦点が当てられるような課題でもある。つまり一般国民は、成果があった場合には何らかの恩恵はあるものの、名誉及び儲けは大半が大企業のものになるんだろう。そしてこれらはいわゆる理工系の内容の話ばかりであって、人文科学系の話は一切捨象されている。
 かつて日本は「技術立国」で世界を席巻し名をあげた。莫大な利益も得たはずだ。しかしこれらの技術の大半は当時の新興国であった、韓国や中国にどんどん追いつかれ追い抜かれ、今や日本は逆に追いかけなければならない立場にまで落ち込んでいるのが実態だろう。リードしている部分は今やほんのわずかであると言っても良いだろうと思う。
 本当にこれが日本の生きる道として正しいと言えるのかどうか、聞こえの良い話ばかりして、日本は将来も安泰だ、世界ナンバーワンだ、みたいな幻想を与えるだけ与えておいて、内容が伴わないようなものでしかないと思う。
 ここの項目の最後は「アベノミクス。」経済政策による成果をこれでもかと自慢げに並べて演説し、財政問題、税収増収、雇用改革、就職氷河期対策、最低賃金底上げ等などをあれもこれも全部、アベノミクスのおかげだと自画自賛して演説した。
 これら全部本当のことなのかどうか、根拠も何も述べずに上辺だけを言っている。都合のいい部分だけを取り上げて実態とかけ離れたことを演説しただけかもしれない。そして雇用慣行の改めと働き方改革を進めると述べる。税収が大幅に増えたと言う件については、誰が考えたって当たり前だ。消費税をどんどん上げて全国からいやでも入ってくるし、大企業の法人税は低く抑えながら中小企業は相対的に厳しい法人税を取り立てられる。大企業や都銀などはずっと優遇されて今後も安泰なんだろう。危ないと言うことになるとそれは不祥事を起こすと言う場合だろう。仮にそうであっても大企業や都銀等は影響が大きいので、税金を使って政府が助ける。なんとまぁ素晴らしい格差社会のこの実態。
 1番しんどいのは一人一人の国民だ。しかもなんともありがたいことに、その国民が安倍政権を一生懸命応援してくれている。内閣支持率が新年に入っても約50%と言うから、徹底的にコケにされている国民が哀れと言うよりは、無様にしか見えない。アベノミクスと言う自分の名前をつけて悦に入っているこの男の功名心と言うのは、異常性すら感じさせる。

(以下、後半に続く)

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