洞雲寺 (とううんじ)
洞雲寺は西京区の樫原にある。
以前に当ブログで紹介した樫原三ノ宮神社のすぐ向かい側。その時にはこのお寺に気がつかず、神社だけを撮影して帰ってしまったが、今回は神社の駐車場に駐めさせていただいてこのお寺を訪ねた。
特に有名でもないお寺のようで、手持ちの資料やネット上にもお墓の情報はあるが、お寺そのものの紹介はわずか一件だけだった。しかしなんとこのお寺、自前のホームページを開設している。
その中にかなり詳しくお寺の沿革が書かれている。そのままコピーして載せるわけにはいかないので、直接ホームページをご覧いただければいいと思う。
創建にあたっては色々な経緯があってちょっと複雑だが、いずれにしろ江戸時代の初期になる。後にお寺は荒廃し長い間廃寺同然の状態であったが、一人の和尚さんによって再建されることになる。
当初は臨済宗妙心寺派のお寺であったが、今現在は曹洞宗の単立寺院となっている。どちらにしろ禅のお寺であることには変わりない。
外から見るとお寺全体が非常に綺麗で、新しく見える。石畳の参道を少し上がって門をくぐると、きれいに整備された境内が広がり、緑の樹木が非常に豊かだ。桜の木もあり、もみじの木もある。各シーズンには見事な光景となるだろう。
本堂などの建物は昭和の時代に再建されたもので、さすがに新しい。境内にはこれも真新しい観音菩薩像が立っている。そんな中に小さな池があって、保護動物のモリアオガエルが生息していると言う。所々に石造の小さな多宝塔や石仏が置かれており、いい雰囲気を出している。不動堂には弘法大師が作ったと言われている 不動明王石像がある。本尊は釈迦牟尼仏(しゃかむにれぶつ)。
年季の入った古い建物のお寺が、仏教のお寺の雰囲気を醸し出しているが、様々な事情で新しく再建されたお寺もれっきとした仏教のお寺である。いかに建物が新しくてもそれだけで判断せずに、そのお寺が祀っている本尊など、本質的な部分はそういったところにあると言っていいだろう。
幸いにも京都市の隣に住んでいて、あちこちたくさんのお寺や神社を巡ることができる。ここのお寺のように、比較的近代的な建物になっているところも少なからずある。隣接する樫原三ノ宮神社も、本殿がガラス貼りの超近代的なは建物で、初めて見ると現代アートかと思うような様相を示している。それでも神社は神社。悠久の歴史を経て今に至っている。
お寺も時代の経過に応じながら、今後も存続していく。その中で当然自然災害なども含めて、創建当初の姿をそのまま止めておくというのは極めて難しいことだろう。このお寺のように、近代的な様相を呈する建物であっても、本尊等を大事に守り続け人々の信仰に応えるお寺であることには間違いない。