こんな気持ちでいられたら・・・一病理医の日々と生き方考え方

人生あっという間、私の時間もあと少し。
よりよく生きるにはどうしたらいい?

病理医の仕事をアピールする

2018年06月28日 | 病理のこと、医療のこと、仕事のこと

病理医の数は足りない。病理医に限らず、そもそも医者の数自体が足りないのだが、この先の人口減少時代を見越してか医者の数は調整段階に入るようだ。一学年の入学定員を一割増しにしたから、医学部10校分ぐらいは増えていたことになる。この先、医者をまた減らしても、コメディカルの人の対応権限を広げていけば、医者の仕事の一部は減るかもしれないが、安全対策意識の高まりによって医者が関わらなければいかないことが増えているので、プラスマイナスゼロのような気もする。

”大昔”だったら、「あの患者さん、昨日と同じようにしておいて」と言ったら、処置でも処方でも通じていたようなことも”あったかも”しれないが、”現在”では電子カルテに事細かに指示の内容を記載することが当たり前というか、義務になっている。言った言わないは許されないのだ。もちろん、書き込むのは医者の仕事。だから、医者の数が増えても、今まで”やらないですませていたこと”をやるようになっているだけの話で、仕事は減らない。結果として医者の数が足りるということは、多分、ない。

医師不足の原因は診断科による人気の偏りとか、女性医師の離職とか色々な要因も他にある。それぞれの人のワークライフバランスについて、私はそれらを分析する立場には無い。少なくとも、”新(いつから 新なのかよくわからない)専門医制度”がスタートして、いろいろなところに手が入れば、少しは”偏り”が減るかもしれないが、その効果が現れるまでに10年20年はかかる。

医者一般のことはさておき、病理医不足。

この前の病理学会でも、学生のように若く見える病理医がたくさんいてびっくりした。専門医試験の受験者も年々増えているらしいから、いつまでも足りない足りないとはいっていられない。それでも、一つの病院に最低二人とかいうのにはほど遠い状況だし、一つの病院でも診断件数が年間一万件を超えるような病院だったら、病理医は五人ぐらいいなくてはとても質の高い診断はできないのに、そんなところはない。一人の病理医の診断処理能力がどのぐらいかという判断をするのは難しいけれど、せいぜい年間3000件ではないだろうか。熟練した病理医であれば、これが5000件ぐらいになるかもしれないが、その病理医が年間を通じて”心身共に”健康で一人で持ちこたえるのは難しいと思う。検査会社も頑張っているけれど、病院に常駐してこその病理医であって、まずはそういう病理医に増えて欲しいところだ。

先日、ツイッターでフォロワー数数万という有名病理医がが病理診断の知名度向上のための活動をネット上で始めた。

私のブログでも病理医に興味があるという若い人が時々コメントをくれたりするが、どうもずっと病理医になろうと思っている人はなかなかいない。臨床医になろうと思って、医者になる人がほとんどだけど、医学研究がやりたくて医者になる人も少なくない。高校生とかで、どうしたら病理医になれますか?という質問もあるから病理医になりたくて医者になる人もいるにはいる。そういう若者に、夢を忘れないように少しでもアピールしていくことが、第一歩だから私も陰ながらそのお手伝いができたらいいと思っている。

ブラック教室はもちろんNG

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