錦織の長期戦線離脱

　錦織圭が手首の故障のために全米オープンを含む今季の全ての大会を欠場して休養に入ることを発表しました。もっとも得意なグランドスラムである全米に出場できないのは錦織としては痛恨の極みでしょう。ファンとしても非常にショックであり残念です。

　今季残り全て欠場となると失効するポイントが多く、錦織のランキングもかなりダウンすることが予想されます。来年全豪から出場するとしてもシードは大きく下がるので、苦しい戦いを強いられることでしょう。たださえ長期にわたって試合に出なければ「試合勘」を取り戻すのに時間がかかるので、復活するのは相当厳しい道のりを覚悟しないといけません。

　錦織以外にもジョコビッチとワウリンカも同様に今季残り試合は欠場をすると発表しています。昨年全米のベスト４に入った４人のうち３人が欠場するとなると、運営側としても頭が痛いと思います。マレーも故障していますし、男子はトップ選手が揃って怪我だらけで、さすがにATPも選手の健康問題に真剣に取り組んだ方が良いのではないかと考えられます。

　錦織らが揃って長期欠場を決断したのは、昨年、長期にわたってシーズン後半を休み、今季復活を果たしたフェデラーとナダルの事例があることも大きいでしょう。ランキングが下がってもしっかり休みを取って。心身ともにリフレッシュを図った方が良い結果が生まれるという判断です。

　ただフェデラーとナダルというのはテニス史上に残るスーパースターでありレジェンドです。他の選手が彼らの真似をしたからと言って同じような成果が得られるかどうかはわかりません。故障を押して無理して出場することはないと思いますが、決して誰も彼もがフェデラーやナダルになれるわけでもありません。復帰しても以前ほどのパフォーマンスを取り戻せないことも十分考えられます。バラ色の未来が保証されているわけではないのです。

　錦織も27歳です。年齢的には中堅ですし、もしかしたらすでにピークは過ぎているのかも知れません。グランドスラムのファイナリストも十分に立派な成績ではありますが、あれだけの才能のある選手です。できたらもうひとつ上の夢を見せてもらいたいものです。