前述の『分解』〔引用者注・帰納〕と『合成』〔引用者注・演繹〕の科学方法論は、十四世紀の終りにイタリアのパドヴァ大学に伝わり、そこでさらに発展せしめられ、十六世紀にはアゴスティーノ・ニーフォ〔略〕やジャコポ・ザバレッラ〔略〕らの人々により活発に唱導された。ガリレオはパドヴァ大学において、このザバレッラの方法論に影響を受け、彼がまさし く『分解的方法〔略〕』と『合成的方法〔略〕』とよんでいるこの方法を、彼自身の自然現象の数学的で実験的な分析と結びつけて、今日『仮説演繹法』とよばれる近代科学の方法論をつくり出したのである。 (第9章「西欧ラテン科学の興隆」、同書293頁)
(中央公論新社中公文庫版 2007年9月、もと中央公論社 1978年10月)
(中央公論新社中公文庫版 2007年9月、もと中央公論社 1978年10月)