書籍之海 漂流記

看板に掲げているのは「書籍」だけですが、実際は人間の精神の営みすべての海を航海しています。

梶谷懐 『日本と中国、「脱近代」の誘惑 アジア的なものを再考する』

2015年07月12日 | 地域研究
 2014年10月18日「林文孝「中国における公正 生存と政治」」より続き。

 社会の『公(正)』概念が、富をみんなで分け合うという「平分の思想」に根ざしている。 (129頁)

  「公平な分配」だという意味で、「平分」をよしとする思想 (90頁)

 中国における「公」概念」は、「平分(=均しく分けること)」をよしとする思想に支えられたもの (89頁)

 「生民」が等しく糊口をしのげるような社会が理想的な社会だ、という価値観 (同)

 「本来はみんなで分け合うものを独り占めしている」というようなイメージがどうしても「私」的なるものにはつきまうことになる。 (129頁)

 以上を要するに、中国の「公正」とは「公平」であり、そしてその「公平」は「結果の平等」である。とするならば、中国における「公正」=「結果の平等」ということになる。

(太田出版 2015年6月)