書籍之海 漂流記

看板に掲げているのは「書籍」だけですが、実際は人間の精神の営みすべての海を航海しています。

白井堯子 『福沢諭吉と宣教師たち 知られざる明治期の日英関係』

2009年04月10日 | 日本史
 福澤諭吉死後一年の1902(明治35)年、内村鑑三が東京高輪西本願寺大学校で行った演説において、福澤を「宗教の大敵」と呼んで激烈に批判したことを知る。

 宗教の大敵とは自身宗教を信ぜざるに之を国家或は社会の用具として利用せん者である。宗教を侮辱する者にして之に勝る者はない、彼等は宗教は迷信であると言ふて居る、彼等は宗教は有識の徒には全く無用のものであると唱へて居る、〔中略〕故福沢諭吉先生の如きは終生斯る説を唱へられた、爾して彼の門下生は今に猶何の憚る所なく此説を唱て居る・・・・・・。 (本書23頁に引く内村鑑三「宗教の大敵」、『内村鑑三全集』第10巻、岩波書店、1981年、同書338頁)

 しかしほめ言葉としか聞こえぬ。

(未來社 1999年6月)