書籍之海 漂流記

看板に掲げているのは「書籍」だけですが、実際は人間の精神の営みすべての海を航海しています。

内田伸編 『大村益次郎史料』

2014年06月27日 | 日本史
「⑪戊辰戦争」の「三二一 合従論相違」(本書329頁)に、「世上の論は乱を好み天理に背き、畢竟浮浪生国を壱つも持ぬ者の論にして、民の父母たる者の論あらざる事」という条があるが、この「天理」は何を指しているか。
 大村は広瀬淡窓の咸宜園を出て漢学(明末清初に西洋科学技術の洗礼を受けたあとの中国数学・天文学・医学を含む)を受けているし、むろん、最初梅田幽斎から、のち緒方洪庵の適塾で蘭学を修めている(医学のほか物理学・数学・兵学・築城術・砲術学など)。この判断はなかなか難しいかもしれない。

(マツノ書店 2000年3月)