書籍之海 漂流記

看板に掲げているのは「書籍」だけですが、実際は人間の精神の営みすべての海を航海しています。

鄭遠漢編著 『現代漢語修辞知識』

2017年03月22日 | 人文科学
 原題:郑远汉编著《现代汉语修辞知识》。

 その名の通り、現代漢語のレトリックに関するハンドブックである。主語謂語といった文法概念で分析しているので、品詞と分の要素の概念がない(少なくとも希臘語文法のそれを淵源とする西洋語のそれは)古代漢語には、基本通用しない。しても当てはめに終わる。

(中国 湖北人民出版社 1979年8月)

鄭子瑜 『中国修辞学史稿』

2017年03月22日 | 人文科学
 原題:郑子瑜《中国修辞学史稿》。

 各章の序文が「楔子」となっていて面白い。よって書法文体も、稗史小説のような物語風の叙述様式で、テーマごとではない。思惟までが伝統的な総合的なそれで、分析的の観点に乏しい。なにより使用する概念のきちんとした定義(内包)がない。漢語そのものの歴史的な修辞思想を、その具体的なありよう(つまり具体的な文献資料)に依拠して明らかにしてゆく内容だけに、この著にかぎっては、古い革袋に新しい酒が盛られていないのが残念でならない。

(上海教育出版社 1984年5月)