本蔵院 律良日記

熊本県にあるお寺“真言宗 本蔵院 律良のブログ”日々感じるままに活動のご報告や独り言などを書いた日記を公開しています。

「物の名利」 樹木希林さんの言葉

2018-12-24 21:38:04 | 住職の活動日記

たまたまテレビで

樹木希林さんの生前仲の良かった

浅田美代子さんとのお話が

流れていました。

お宅を訪れた浅田さん

希林さんの家は極めてシンプル

というか、ものがあまりない

 

「物は増やさない主義」とか

しかしあるものは大事に使う

机も椅子も風呂もすべてが磨かれて

綺麗にピカピカ!

シャツにしても不要なものは

すぐ捨てるのではなく

切ってモップにつけて雑巾にして

使い終わったら捨てる

すると、

そのものも有り難うと

言っているような

ものも冥利に尽きる

 

なんだか、その考え方には

同感します

「勿体ない」ということも

同じ意味で、

物の持っている体(はたらき)

を失くしてしまうということでしょう

 

「冥利」

何気なくあたりまえに使っていた

のですが、

改めて見てみると

どういう意味だろうと考えてしまう

 

「冥」とは暗いという意味

冖に日と六とからなる字

陰暦の十六日は月も欠けて

暗くなるところから、

暗いという意味が生まれたようで

そして暗い世界ということで

死後の世界を表す

ようになったそうです。

 

この字もミョウともメイとも読み

冥土(めいど)

 正月や冥土の旅の一里塚

  めでたくもあり

   めでたくもなし

という歌もあります。

それから、

ご冥福をお祈りします。とか

死後の世界での幸福ということです

 

みょうと読むのは

意味が少し違ってくるようです

ほとけさまがいつも見守って

頂いていることを冥見、

目に見えぬ諸天善神を冥衆、

神仏から与えられる

ご利益(りやく)を冥利と、

こちらは死後の世界というより

目に見えない仏さまの力

というようなニュアンスがあるよう

です。

 

しかし、

冥利には一般的には

「男冥利に尽きる」

「先生冥利に尽きる」

というように、

やっててよかったというか

一生懸命やったことについて

思わぬ幸せを頂くことを

冥利に尽きる

といったのでしょう。

 

樹木希林さんの

「物の冥利」というのは

物それ自身が最後までそのハタラキ

をなすことができた

ハタラキきったというか

そのハタラキを出し切った

ということでしょう。

 

滴水和尚という方が

「水が死ぬぞ!」

「バケツの水も庭木に遣れ

 汚れた水も生きる」

という話は有名です。

 

「心を大切に」

とよくいいますが

具体的には ??

「物を大事にすることでしょう」

ものを粗末にしておいて

心を大切にということは

ないと思います。

 

物のない時代は

食べ物でも残すのは

もったいない

全部食べなさい

と言われたものですが

こいう飽食の時代

勿体ないと言って食べすぎるのも

今度は自分の身体を壊してしまう

自分の身体を損なう、ということは

自分自身がもったいない

 

ものとこころ

切っても切り離せないような気がします

自分自身も最後まで使い切って

自分冥利に尽きる

という生き方が出来れば

最高ですね!

 

こればっかりはどうなるやら???

自分自身でも少し不安!

 

 

 

 

 

 

 

 

コメント
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