本蔵院 律良日記

熊本県にあるお寺“真言宗 本蔵院 律良のブログ”日々感じるままに活動のご報告や独り言などを書いた日記を公開しています。

願が成就すると満足した願になる

2024-05-13 18:57:04 | 十地経

ねがい、願うということが

ものごとを成す第一歩です

何の願いも要求もなければ

歩みは出てきません。

いろいろ願います。

またいろいろな欲求とか

ありますが、

気を付けなければいけない

のは、ねがいと欲

ということです。

似ているようでも

まったく違うものです。

 

願いはその人の本質的な

欲求で、

これがただの欲となると

欲は煩悩です

自分を滅ぼしダメにする

ものです。

錆のようなもので、

煩悩も自分の中から出て

自分を滅ぼしていくのです

 

『十地経』の第一は

初歓喜地です。

ここに出てくるのは十大願

です。

やはり願ということが

修行の出発になります。

経典には

「発願して一切仏法を

観ずるが故に助菩提分法を

具足す」

と出てきます。

 

発願(ほつがん)と読み

ます。

願をおこすという場合

おこすは「発」という

字を使うのです。

発菩提心とか

初めて得度する人を

新発意(しんぼっち)

そういう志をおこすという

ことで、発意と

何か自分の心の中に湧き

おこってくる

という意味で「発」と

いうのでしょう。

面白い字です。

 

講義では

第七地のところですが

その七地の次の八地が

おこってくるときに

「煖」というあたたかみが

次の地を生み出してくる

ということから

また初地からの話に

もどっていきます。

 

「一切仏法をそこに観る

なすことによって観る。

観てなすんじゃない。

作ることによって観る

というような。

こういうような、

見出されるというかたちで

まだないけれども

観るというかたちで仏法を

菩提を、はや、そこに

具足すると、

こういうかたちですね。

 

第二地の中に心の悪垢を

除くと。

離垢地といいますね。

垢を除く、煩悩の垢を除く

ここは戒律です。

 

それから第三地は、

『願転た増長するなり』、

初地におこした発願は、

発は初地ですけど、

増長ですね。

願が増長するんです、

願が展開してくる。

 

願で何かをやるというと、

それで願が終わるんじゃ

ない。

いっそう願がですね、

高い願というか、

豊かな願になってくる。

願が満たされると、

これでもうはや十分だと。

それ以上の欲を起こさん。

こういうのを小人ショウジン

というんです。

仏教の言葉でいえば、

声聞、縁覚です。

 

十分ということを

いうのは器が小さいという

ことです。

何かを得れば、得たことが

力になって、

さらにいっそう深い願を

てんかいしていく。

 

願をおこすというと、

願は何かを求めているから

願という。

それから願が満たされて

成就するというと、

願は消えると。

願がある間はまだ得とらん

得たいと思っているんだ。

で、得てしまうと

願は消える。

このような考え方が普通の

一般の常識ですけど

仏教はそうじゃない。

 

得たから願が消えるんじゃ

ない。

得たから願が展開する、

増長するんだ。

願が満足するというと、

願が消えるのでなしに、

今度は満足願というものに

なるんだ。」

 

というようあります。

安田先生の全集が完成した

大変なご苦労があったと

思います。

そのとき、燃え尽き症候群

という状態になった方も

おられたようです。

自分の思っていたことが

成就するというと、何か

力が抜けるというか

目的がぼやけてくるという

ことがあるようです。

 

出来上がったことを

さらに深めていくというか

そこからがこそ

本当のものが見えてくる

という本当の行が始まる

ようです。

 

先日の井上尚弥選手

素晴らしい試合でしたが

すべての試合が世界戦

その時の言葉が

「王者にして崖っぷち」

勝てばチャンピオン

負ければ落ちてしまう

本当に厳しい世界です

常に増々の精進が求められ

るようです。

 

「得たから願が展開する、

増長するんだ。

満足した願になる。」

そのような言葉と重なり

ました。

 

 

 

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