テレビでクラシックのコンサートを放映していて、曲目がピアノ協奏曲だったりすると、そのピアノに「Steinway & Sons」と書いてあるのを見たことがある人は多いんじゃないでしょうか。そのピアノはもちろんヨーロッパからやってくる。工場はハンブルグにあるのだそうだ。
一方スタインウェイのピアノと一緒に、それを弾いているピアニストの姿が浮かぶことも多いに違いない。私がお似合いだと思うのは、ホロビッツで、場所はニューヨーク、カーネギーホールである。
そこで、ちょっと待てよ、と思った方もいるに違いない。スタインウェイはヨーロッパなのか、それともアメリカなの? 実は──このことはむしろよく知られているようなのだが──スタインウェイは、アメリカとヨーロッパに工場があって、アメリカ工場では国内(アメリカ)向け、ヨーロッパでは輸出(アメリカ以外)向けのスタインウェイが作られているそうである。
その昔、職人であるスタインウェイさんがヨーロッパからアメリカへ渡り、そのピアノがたちまちヨーロッパで認められて以来、ピアノ製造の拠点は世界的にみてアメリカへ移ってしまい、ピアノの構造としても、より多くの聴衆が集まるコンサートホールに向いた鳴りの、音響効果を考慮した新しい──ということはすなわちスタインウェイ流の──ピアノが主流になっていった。さきほどのハンブルグ工場は、スタインウェイがアメリカで成功してから作られたようである。
史上最も広い観客層と演奏層でもってたくさん「クラシック音楽」を楽しんだ時代が20世紀だったという話を前々回に書いたのだけれども、ここから、その拠点がアメリカだと即断するわけには──いくらクラシックイタチでも──さすがにいかない。
最近は自宅に居ながらにして、各地の図書館が所有する郷土資料を検索することができるので、とても便利である。調べたい人は勝手に調べればよい。このたびクラシックイタチは運良く実際に「浜松市立城北図書館」(パソコンコーナーありのかなり最新設備)へ行って郷土資料をちらりと見たのだけれども、日本のピアノ製造は、やはりこの新しいアメリカのピアノを学んで発達してきたらしいのであった。
N響の茂木大輔さんの『こうしろ!未来のクラシック』をふたたび引くと、20世紀、マスメディアはスターを必要とし、コンクールなども盛んになっていくという。
きっとアメリカは、ヨーロッパが蔵していた価値を、モーレツにアンプリファイし、爆発的な力で世界へ広めたのだろう。だけどアメリカはもちろんそれだけじゃなくて、新しい、別の価値だって創っていっただろう。
というわけで、ピアノはおいといて、トイピアノへ戻る。
[トイピアノ最新事情 大特集]
|1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10|11|12|13|14|15|16|17|
材質? タッチとか音色って、調律師さんのやり方次第で
変わることもあるのだろうし、、、。
鍵盤の大きさって規格がありそうな気もするし、体格のいい外国人なんて、黒鍵と黒鍵の間に指がはさまったりしないのか、なんて思ったりもします。
その為に、黒鍵の山のカーブの角度を変えるなんてことは、、、? ないのでしょうね。
すみません、シロウトの素朴な疑問でした。
そういえば、Schoenhut社のトイピアノは、本物のピアノと鍵盤の幅が同じとか。まだ見たことないのでわかりませんが、同じだと弾きやすそうですよね。コドモでも指が太い可能性を考慮しているのかも(笑)