響けブログ

音楽コドモから「音楽コドナ」へちょっと進化。ドラムとバイオリンと小鼓を弾く、ヒビキの音楽遍歴。

亜ピアノは、進化する。

2008-08-17 | ピアノ
このところずっとトイピアノの話で進んでおります。まだまだつづきます。

さて、もともとはピアノの代用品であった楽器も、その新しい音色や新しい機能がいつの間にか鍵盤弾きを魅了し、音楽や楽器開発の主流を占めていく、というのもあり得ない話ではない。ジョン・ケージの作品の中にトイピアノやプリペイド・ピアノのための曲があることは前に書いたけれども、中でもローズは、おそらく音楽シーンに最も影響を与えた亜ピアノであったろう。

スティービー・ワンダーは、そんなローズ弾きのひとりである。ところでYoutubeには、そのスティービーがNAMMショー(アメリカのトレーダーのための楽器フェア)のまた別のブースで弾いているクリップがあって、それがヤマハのフラッグシップシンセサイザー(音源付きキーボード)「MOTIF」だった。

2007NAMMショーでのスティービー・ワンダーのすごい試奏
Stevie Wonder plays the Motif XS at Winter NAMM 07

パズルのmissing pieceがはまるようにとまでは言えないが、ここへきてややボタンがかかってきた感じがするのは、私だけだろうか。ローズの音色が、FM音源を搭載したヤマハの代表的シンセサイザーDXシリーズ誕生の強い原動力のひとつであったことが知られている。このDXシリーズの子孫が、いくつかの代替わりを経て、現在は、2001年に登場したモチーフだからである。

で、何が言いたいんだっけ?

そうそう、ピアノの代用品は、「クラシック」も「ポピュラー」もともに大衆化した20世紀にあって、時に(かなり)「クラシック」を凌駕した音楽シーンを形成し、その一翼を担ってきた。代用品は、とんでもない豊かな歴史を拓いたということが言いたかったのである。

そしてその時、シンセ/キーボードというものに強烈に求められたもののひとつが、紛れもなく「音色」であり、そのルーツにはローズがあったのだ。ローズの周辺にはいくつもの亜ピアノや、亜楽器があったのかもしれない。それらは結果的に、全体として楽器として本来のピアノにはない新しいものを生みだそうとしていたと考えることもできる。トイピアノには案外、単なる「玩具」にはとどまらないサブヒストリーが埋め込まれていたと言えないだろうか?

[トイピアノ最新事情 大特集]
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