響けブログ

音楽コドモから「音楽コドナ」へちょっと進化。ドラムとバイオリンと小鼓を弾く、ヒビキの音楽遍歴。

河合小市の卓上ピアノは、KAWAIのミニピアノではない?

2008-08-21 | ピアノ
では、カワイを創った河合小市はどうしたんだろうか? 続いては河合の社史である。

昭和50年 知育玩具、木製玩具の製造販売を開始。

社史をパンフレットのようなので見ると、昭和50年=1975年というのはその前後に電子オルガンの発売が相次ぐような、そんな年表となっているのだが、そこでひときわ異彩を放つ記述が「木のおもちゃ発売」「知育ホビー部発足。玩具業界に参入」というわけである。

ただですね、これがつまり、あの現在のカワイの、私の持っているミニピアノに連なるものだとは書いていないんですよね。ところがだ、一方でこの「ミニピアノ」というネーミング、(さっき知ったところによると)事の次第は1927年にまで遡るのである。

このあたり、浜松の楽器博物館にご登場願いたいところだが、浜松在住でないのでそうさっとは伺えない。しかしキーはおそらく「MINI PIANO」、61鍵仕様の「昭和型」のアップライトの2つであるというのが大筋だろう。河合楽器製作所が製作した初期のヒット商品=小市の作品が「昭和型」という小ぶりなアップライトで、このピアノには「MINI PIANO」というロゴが記されていたという。つまり「ミニピアノ」とは、小市ゆかりのネーミングなのである。

これらのMINI PIANOはかなり台数も出たらしく、2008年8月現在ネットで、その修復の様子を収めた画像などを見ることができる。(ほんとうにミニでかわいらしい。販売もされていて、博物館ものだが50万円以下というのもある)しかしながら、残念ながらここらが行き止まり。昭和型350円のMINI PIANOと、「知育ホビー部発足」を隔てて、カワイのミニピアノがどうしてもつながらない。どうもトンネルをくぐっちゃってる。ただ結果としてはどうだろう、今のカワイのミニピアノが担っているのは、おそらくトイピアノの持つもう一方の大きな特徴である「トイ」の部分であると言ってもさしつかえあるまい。(なにしろ「知育玩具」なわけだし)

ふたたびカワイの社史によれば、電子ピアノへ参入するのは1985年。ヤマハのDX7の初代機DX7が発売されたのが1983年だから、その2年後である。

小市氏が独自に発明したかもしれない卓上ピアノはヤマハの中ですたれ、カワイ楽器製作所のMINI PIANOはトイとなって残った。このミニピアノは現在、コドモ向けのギフト市場では、今や「もうカワイしかない」というんで、かなりの人気を集めているようである。

というようなとこで、トイピアノの昔話はこれにてネタ切れ。あとは浜松でもフィラデルフィアでも、ネット経由でもいいから資料のあるところへ行って漁るに尽きます。ちとたいへんそうなので、機会を見て挑戦したいと思う。

[トイピアノ最新事情 大特集]
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1 コメント

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ミニピアノ (マチルダ)
2008-08-21 17:06:06
連日の猛暑の中、響けブログを読み楽しませてもらいました。卓上ピアノの歴史から音源について等、、、ふむふむ毎回発見の連続でしたよ。
クラシックイタチさんのお宅に加わった黒のブランドピアノ風のミニピアノ、素敵ですね。赤いフェルトもいいし、、、
ふたは開閉できるのでしょうか。
これを飾っておくのもいいけど、なんかもったい気もします。これからどうされるのでしょうか?
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