響けブログ

音楽コドモから「音楽コドナ」へちょっと進化。ドラムとバイオリンと小鼓を弾く、ヒビキの音楽遍歴。

卓上ピアノを「発明」したのは誰か?

2008-08-20 | ピアノ
前回のつづきです。──だが卓上ピアノはほんとうに河合小市がアメリカのものとは別に、発明したのだろうか?

というのも、1899年に山葉寅楠がアメリカへ長期視察に行っているからである。したがって大正4(1915)年、河合小市が、アメリカにトイピアノがあることを知っていた可能性もなくはない。

と、わかってきたのもようやくここまでだが、ここから先はわかるところにしかわからない。キーのひとつは寅楠の渡米日誌だ(日誌そのものが現存している様子。ついでにちょいとメモを……この解読には浜松学院大学短期大学部元総長の大野木吉兵衛氏の研究が与っている。この方のおかげで浜松にはふつうは存在しない!?「産業史」が残っているようだ)。そこにもし、卓上ピアノのことが記されていれば、日本の「卓上ピアノ」は、アメリカにある"ピアノみたいなもの"を作ろうという流れで誕生したことになる。

ところで、歴史はここで、秘密のトンネルを2つ3つくぐるのである。というのは、実はヤマハは、その長い楽器作りの歴史の中で玩具類の製造をやめてしまうからだ。そしてエレクトロニックという別の流れから、──あくまでクラシックイタチがエイヤで言ってしまえば、まさに"卓上ピアノの代わりに"──トイピアノと同じ音源を持つローズ・ピアノの音色を実現するシンセサイザー「DXシリーズ」を、生みだすのである。これが、この分野のフラッグシップにしてスタンダード、すなわち世界制覇マシンへと成長していく。

ピアノにそっくりな鍵盤で、ちょっと違う、別の音色を奏でる。音色につれて、新しい音楽が始まる。それは、亜ピアノに開かれた輝かしい鍵盤道のひとつ、と言えないだろうか。

[トイピアノ最新事情 大特集]
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