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第28回日陽展(4月16日まで)

2006年04月16日 04時18分35秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
 ふつうの具象画をふつうに鑑賞するのにちょうどいい展覧会-と、以前は評したこともありましたが、近年になって道展会員・会友クラスの不出品や逝去が続き、ことしは正直なところ、よくある絵画グループ展の、ちょっと規模の大きなものという程度になってしまったような印象を受けました。

 そんななかでは、赤平勢が元気です。
 濱向繁雄さん(道展会員)「晩秋空知川畔」は、縦長の画面に、空知川が大きくカーブして描かれ、スムーズに視点を奥へと導きます。色彩も明るく、筆蝕もリズミカルです。
 伊藤哲さん(同)「春を待つ」は、市庁舎か何かを写実的に描いており、正面性の勝った構図です。
 遊佐郁子さん「晩秋の三段滝」も、よくまとまった構図だと思います。

 ほかに道展会員として、種市誠次郎さん(札幌)と濱田五郎さん(後志管内岩内町)が出品しています。
 種市さん「母の使ったザル」は、16個のざると3本のものさしという、和風のモティーフを積み重ねた静物画で、同種のかたちの反復による美を追求しています。
 濱田さんは、現場主義で岩内の海や風景を描き続けてきた画家ですが、今回の「残雪の岬」についていえば、近景の木より中景の木のほうが大きいなど、どうも妙に思えます。

 油彩ではこのほか、竹澤瑠美子さん(札幌)「車山高原」の、あえて彩度や明度の差を乏しくした野草の絵に目を引かれました。紫の小さな花々も、色を抑え気味です。
 藤井幸一郎さん(同)「パリの交差点」は、くすんだエメラルドグリーンで着彩された街路樹が独特。阿部政毅さん(同)「晩秋の紅葉」は、ピンクや紫までが木々を彩る派手な作品です。

 日本画では、あざやかな黄色でカエデを描いた小林智恵子さん(江別)「秋色」など、写実的な花鳥画が大半。
 そんな中で、蟹谷洋子さん(同)「楊貴妃」は、古典芸能の登場人物に材を得た異色作です。

 水彩では、近藤健治さん(札幌)が「枯れた唐辛子」(目録では「枯れたとうがらし」)「知事公館・大倉山を望む」など3点で、変わらぬ手堅い描写力を見せています。
 近藤武義さん(札幌、日本水彩画会会友)「古城」は、欧洲に題材を得た端正な大作ですが、個人的な好みで言えば、リラックスして描いたように見える「初秋の牧場」のほうが好きだったりします。
 青田淑子さん(同)「海への追想」は、漁網というむつかしいモティーフに取り組んでいます。

 他分野として、能登誠之助さん(札幌、日本七宝作家協会会員)が「chasm(裂)」「がくあじさい」(これは目録に記載なし)の2点を、吉田文子さんが切り絵2点を出品しています。

 あと、ここで指摘しておきたいのは、会場でくばられている目録と、実際に壁面に展示されている作品とが一致しない例が多いことです。
 以下、筆者が気がついた不一致点を挙げておきます。

 目録にあるのに出品されていない作品
小林由紀恵(札幌)「鎌倉紫陽花」
斉藤寛子(同)「風景」
 出品されているのに目録の記載がない作品(佐々木さん、塩野さんは名前ものっていない)
阿部智子(札幌)「シクラメン」「牡丹」
小林由紀江(同)「古都に咲く」
佐々木和子「夏の思い出」
塩野フミ「三陸海岸」
能登誠之助(札幌)「がくあじさい」

4月12-16日(日) 10:00-18:00(最終日-17:00)
札幌市民ギャラリー(中央区南2東6 地図G)。

■04年の日陽展


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