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北海道美術ネット別館

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■野又圭司展「石膏・銅・木」 (12月5日まで)

2010年11月26日 00時10分29秒 | 展覧会の紹介-現代美術
(画像は「500m美術館」のものです)

 1963年函館生まれ、いまは岩見沢市万字の旧郵便局舎をアトリエに、おもにインスタレーションを制作している野又圭司さん。
 かなり精力的に制作・発表しており、下のリンク先に挙げたほかにも、「N.P.blood 21」シリーズの個展が北網圏北見文化センターやリアス・アーク美術館(宮城県気仙沼市)などで開かれているし、札幌彫刻美術館の「北の彫刻家たち」などにもノミネートされている。

 冒頭の画像は、今月いっぱい、地下鉄東西線大通-バスセンター前の間のコンコースを会場に開かれている「500m美術館」で撮影したものだが、STV北2条ビルの個展にも、同趣旨の作品「存在の耐えられない軽さ」が展示されている。
 これは、おそらく、ことし6月に道立近代美術館など3会場で開催された「北海道立体表現展」の出品作だと思う。

 このほかの出品作も、すべて新道展などで発表済みの作品だと思うが、筆者は「新作じゃなきゃダメ」主義者ではないので、これはこれでいいと思う。
 とくに、「天国ブロック」は久々の登場で、なつかしかった。

 で、「存在の耐えられない軽さ」だが、これは、チェコの小説家ミラン・クンデラの小説からとったものだが、直接の関係はない。
 「500m美術館」の解説文には
「これはネット炎上を視覚化した」
とある。

 ううむ。

 現代アートにふだんあまりふれる機会のない人たちに分かりやすく解説したのかもしれないが…。

 筆者は、野又さんの作品を高く評価しているだけに、こういう自己解説はちょっと残念だったりする。
 少なくても、アートを見慣れている人には
「ふーん、炎上ねえ。なるほど」
で納得して終わってほしくないと思うのだ。

 木製のディスプレイとキーボード、そしてマウス(接続の線とか、よくつくったなあ)、机にいす。
 この造作はすごいと感じる。
 が、不思議なことがある。
 ディスプレイとキーボードはあるのに、コンピューター本体がないのだ。
 いや、もしかしたら、いまはこういうタイプのパソコンがあるのかもしれないけれど。

 紙に印刷されているから「確か」で、ネットだから「不確か」という二分法はとりたくない。
 けれども、電脳空間に漂う言説の少なからぬ部分が、以前だったら決して公の場に出現しなかったようなタイプのものであることは間違いない。
 膨大に生まれ、そして消えていく、パソコン上の文字。
 それこそ「耐えられない軽さ」という形容にふさわしいものとしても間違いないのではないだろうか。

 野又さんの美質は、現代社会を大局からストレートに撃つ点にあると信じている。
 そういう作家は、道内にはほとんどいない(意外と親近性があるのは、伊藤光悦さんか?)。
 会場に置いてあったポートフォリオによれば、これまで大作を格納してきた小学校の旧体育館が取り壊されてしまったという。
 野又さんのような作家がいること自体、北海道にとっての希望だと、筆者は思うのだが、今後の制作に支障がないのか、ちょっと心配になる。


http://www.stvkohatu.co.jp/entransart/exhibition/2010/083nomata/083nomatakeiji.html

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2 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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Unknown (うさぴょん)
2010-11-26 06:54:07
おはようございます。
野又氏の展覧会が開催されているんですね。
見にいけると良いんですが・・・
北網圏文化センターで個展をされた時に見た作品とはかなり・・使われている素材が違いますが、作品を丁寧に作り上げている姿勢が凄い!!もの創りに真摯に向き合う気持ちまで見える作品が多いといつも思います。(と言っても6月の立体の時は時期ずれて作品見れなかった・・) 良いアトリエが見つかると良いですよね・・・廃校とかいっぱい在りそうですよね。
 
返信する
うさぴょんさん、こんにちは (ねむいヤナイ@北海道美術ネット)
2010-11-26 13:41:35
そう、野又さんは、真剣に取り組んでいますよね。サラ金地獄を表現するのにサラ金から借金してまで作品を作ったり…。
あの姿勢は確かにすごいです。
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