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北海道美術ネット別館

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■第48回北海道書道展 招待・会員(5月6日まで)

2007年05月05日 01時53分30秒 | 展覧会の紹介-書
 うーむ。なんだか、会場がさびしい。
 金子鴎亭ら物故者の作品が見当たらないだけではない。
 小川東洲も佐藤満もいないのだ。
 それにくわえて、ことしは、これといった全体的な傾向がないように感ずる。たとえば、2004年のときに筆者が指摘していた、俳句を書いたかな書が多いとか、金文や甲骨文の流行といった目立った流れが、ことしは見当たらないようなのだ。
 個々の作品が悪いというのではもちろんない。ただ、こちらの度肝を抜くような斬新な作品はなかなかお目にかかれないなあ…と思いながら会場を歩いていくと、最後の最後でおどろいた。
 第1回展で会員となり、まさに戦後の北海道書壇に輝くふたりが火花を散らしているのだ。
 日本を代表する近代詩文書家、中野北溟。
むつかしい
ことを
やさしく
やさしいことを
ふかく ふかい
ことを
おもしろく

 永六輔のことばという。

 中野さんの筆はまさに枯淡の境地である。
 板紙のような色の紙に薄い墨で書いているから、消え入りそうな感じすらある。
 それでもなお、しずかに、自己を主張しているようだ。

 その反対側に、後志管内余市町に住み、独自の墨象を追求してきた馬場怜が、ただ一文字

と書いているのも、胸が打たれる。
 そのわきに「吾道一以貫之」とも。
 じつは、さいきんの馬場さんは、新聞などでは護憲市民グループ「余市九条の会」代表として名前が出ることが多いのだが、まさに老いの一徹というかすざまじい気魄をみなぎらせた「一」だ。まだまだ死ねない、という気魄だろうか。

 ほかの作品については追って述べる。
 とりあえず、この2点が見られたから、入場料を払って見た甲斐があったというものだとしみじみ感じた。


07年5月2日(水)-6日(日)10:00-18:00(最終日-16:00)
札幌市民ギャラリー(中央区南2東6 地図G)

第45回(2004年)


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