北海道美術ネット別館

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■Breath of Nature-自然の息吹- 山本純一写真展 (3月7日まで)

2008年02月29日 23時23分03秒 | 展覧会の紹介-写真
 昨年プロとして独立した札幌の写真家、山本純一さんの個展です。昨年の富士フイルムフォトサロンでの写真展はほとんどが銀塩でしたが、今回は全16点がデジタル。道内で撮影した美しいネイチャーフォトがならんでいます。

 東京で、12色の顔料を使ったインクジェットプリンタで印刷したとのこと。インクジェットというのが信じられない出来で、「ブローニーをプリントした」といわれれば「そうかな」と思ってしまいそうです。やっぱり、銀塩かデジタルか、ではなくて、中身だなあ-とあらためて感じました。

 また、山本さんの写真を全面的にフィーチャーしたキヤノンの海外向けカレンダー(!)も見ることができます(買いたかったけど、国内では入手できないそうです)。欧洲向け、北米向け、中国向けの3種です。

 会場でいちばん最初に目に入るのが、支笏湖の朝焼けをとらえた1枚で、海外向けカレンダーの表紙に採用されているものです。星がひとつだけ見えるのが、良いアクセントになっています。
 札幌に先立ち銀座のキヤノンギャラリーでひらいた個展では、来場者から「どこの国で撮ったのですか」と聞かれたそう。
 「新千歳空港から車ですぐですよ、と答えましたよ」と山本さんは笑います。

 つぎは、月夜の増毛海岸。手前の峨々たる岩にカモメがいるのがわかります。

 積丹海岸で「波の花」をとらえた1枚は、雲が割れて夕日がさしているのが、風景におもむきを与えています。というのは、波の花は、初冬の悪天候の日に見られることが多いからです。

 おなじく積丹海岸を撮った1枚は0.6秒というスローシャッター。波が白い風のように見えます。




 十勝川河口の氷にカメラを向けた作品(上の画像、右端)は15ミリという広角レンズを使用しています。これも日本離れした風景と言えるかもしれません。

 最後は、十勝管内足寄町の、氷点下20度を下回る厳寒の林を写したもの。まるでモノクロで撮影したようですが、よーく見るとカラーだとわかります。
 「朝9時ぐらいまで粘って、太陽光が白っぽくなってから撮りました」

 山本さんの写真は、人が容易にたどり着けない秘境や、珍奇な動物をねらったりしたものではありません。
 撮影地は、だれもが自家用車などでたやすく行ける場所ばかりです。
 ただ
「すべてノートリミング」
ということばが表しているように、風景の切り取り方の美意識が鋭いのだと思います。
 もうひとつ、これは多くの写真家が実践していることなのかもしれませんが、「粘りと予想」でしょうか。
 波の花の写真にしても、「もしかしたら雲が割れて日が差すかも」と予想して粘ったことが、会心の1枚につながったのだと思います。

 まだまだ北海道には美しい風景があるのだ-ということを、あらためて広く発信する写真展でした。


08年1月31日(木)-2月6日(水)10:00-19:00(最終日-16:00)、日曜休み
キャノンギャラリー銀座(東京都中央区銀座3-9-7、トレランス銀座ビル)

2月25日(月)-3月7日(金)9:00-17:30(最終日-16:00)、土・日曜休み
キヤノンギャラリー札幌(北区北7西1、SE山京ビル、地図A)


■「越冬」山本純一写真展(07年1月)


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