全国公募展の支部展で、毎年ひらかれています。写実的な傾向の絵が多く、道展の水彩部門にも出品している人が大半です。
で、こういう展覧会で、総体的な傾向について言うことは、あまり意味のあることではないかもしれないのですが、今回、以前よりもタッチが大まか(悪く言えば雑)になった人が多いように感じました。あまり実名を連ねるのもはばかられますが、あえてひとりだけ例を挙げると、斉藤由美子さん。2点あるうち「水無月のころ」は、黄緑の葉の諧調とフラットな光の感じの美しい、斉藤さんらしい絵ですが、「秋葉(あき)をあつめて」は、筆使いが大ざっぱで、いつもの斉藤さんの切れがないように感じました。
宮川美樹(岩見沢)「刻」(50号)
驚異的なリアルさで、時のはかなさを描く宮川さん。砂浜の波打ち際を真上から眺めた「刻」シリーズの1点で、今展でも強い印象を残しました。今回は、描かれた貝殻はごく小さく、砂の上に、アンパンマンとおぼしきいたずらがきの跡があり、いつになくほのぼのとした雰囲気も漂わせています。そのほかに砂の上にあるのは、靴の足跡とはだしの足跡、鳥の足跡のみ。これらはやがて、打ち寄せる波に消えてしまうものなのでしょう。そう思うと、やはり強い無常観のようなものが感じられます。
寺井宣子(札幌)「秋影」(40号)
すごい忍耐力というか持続力でレース編みの模様のような絵を描いています。その模様の、色の濃淡で、ドライフラワーが逆さに吊り下げられた情景を重ねて描いています。水彩で、ここまで装飾的な画法を全面に押し出す人は珍しいと思います。
武田貢(同)「雨にも負けず風にも負けず」(60号)
おんぼろのトタン小屋を、やや高い位置から見下ろして描きました。水色が剥げかけた屋根の描写が真に迫っています。
佐藤信子(同)「秋の思い出」(40号)
白いスニーカーや紙袋の周囲に落ち葉をちりばめた静物画。とくに特徴のある絵ではありませんが、丁寧に描かれていて、季節感がとてもつたわってきます。
和田泰子(同)「冬の納屋」(同)
これも、格別特徴のある絵ではないのですが、真冬の冷たい空気を思い出させる季節感に満ちています。
他の出品作は次のとおり。地名の表示のない人は札幌。
伊藤俊輔「春めく農場」(60号)
岩崎陽子「想-朝あけ」(同)
及川幸子「鮭干し」(同)
尾川和彦「窓(あかり)」(同)
金子恵子「もやい網」(40号)「朽ちて」(20号)
北野清子「秋の水辺」(60号)
倉本英子「盛夏」(40号)
近藤武義「嵐の爪あと」(60号)
近藤幸子「想い出」(40号)「れんがの小経」(20号)
斉藤由美子「秋葉をあつめて」(40号)「水無月のころ」(20号)
佐藤富子「北に咲いて」(50号)
佐藤京子「婦人像」(20号)
志賀廸「残雪」(同)
大藤淳子「初冬」(60号)
谷勲「ヨットハーバー」(40号)
寺西冴子「野の詩」(40号)「野の詩」(20号)
成田一男「開拓のロマン(重要文化財)」(同)
中井戸紀子「記憶の情景」(60号)「無題」(20号)
西江恭子「花の使者・北へ」(40号)「ほおずき」(20号)
西村法子「Mai」(同)
冨士田夏子「湿原」(60号)
松本佳子「遠い時」(40号)
三井幸子「窓辺の静物」(同)「窓辺」(同)
森井光恵「バイオリニストの午後」(40号)
栗山巽(江別)「宙-’06A」(60号)「宙-’06B」(同)
本多いさみ(同)「りんご経」(50号)
川畑良子(小樽)「初めてのモデル」(40号)
笹川誠吉(同)「エイサー(沖縄)」(同)
舎川栄子(同)「藍染とつぼ」(同)
三留市子(同)「街角(パース)」(60号)
竹山幹子(室蘭)「八月のバラ」(20号)
斉藤洋子(浦河)「桜の頃」(同)
25日(火)-30日(日)10:00-18:00(初日-13:00、最終日-17:00)
札幌市民ギャラリー(中央区南2東6 地図G)
で、こういう展覧会で、総体的な傾向について言うことは、あまり意味のあることではないかもしれないのですが、今回、以前よりもタッチが大まか(悪く言えば雑)になった人が多いように感じました。あまり実名を連ねるのもはばかられますが、あえてひとりだけ例を挙げると、斉藤由美子さん。2点あるうち「水無月のころ」は、黄緑の葉の諧調とフラットな光の感じの美しい、斉藤さんらしい絵ですが、「秋葉(あき)をあつめて」は、筆使いが大ざっぱで、いつもの斉藤さんの切れがないように感じました。
宮川美樹(岩見沢)「刻」(50号)
驚異的なリアルさで、時のはかなさを描く宮川さん。砂浜の波打ち際を真上から眺めた「刻」シリーズの1点で、今展でも強い印象を残しました。今回は、描かれた貝殻はごく小さく、砂の上に、アンパンマンとおぼしきいたずらがきの跡があり、いつになくほのぼのとした雰囲気も漂わせています。そのほかに砂の上にあるのは、靴の足跡とはだしの足跡、鳥の足跡のみ。これらはやがて、打ち寄せる波に消えてしまうものなのでしょう。そう思うと、やはり強い無常観のようなものが感じられます。
寺井宣子(札幌)「秋影」(40号)
すごい忍耐力というか持続力でレース編みの模様のような絵を描いています。その模様の、色の濃淡で、ドライフラワーが逆さに吊り下げられた情景を重ねて描いています。水彩で、ここまで装飾的な画法を全面に押し出す人は珍しいと思います。
武田貢(同)「雨にも負けず風にも負けず」(60号)
おんぼろのトタン小屋を、やや高い位置から見下ろして描きました。水色が剥げかけた屋根の描写が真に迫っています。
佐藤信子(同)「秋の思い出」(40号)
白いスニーカーや紙袋の周囲に落ち葉をちりばめた静物画。とくに特徴のある絵ではありませんが、丁寧に描かれていて、季節感がとてもつたわってきます。
和田泰子(同)「冬の納屋」(同)
これも、格別特徴のある絵ではないのですが、真冬の冷たい空気を思い出させる季節感に満ちています。
他の出品作は次のとおり。地名の表示のない人は札幌。
伊藤俊輔「春めく農場」(60号)
岩崎陽子「想-朝あけ」(同)
及川幸子「鮭干し」(同)
尾川和彦「窓(あかり)」(同)
金子恵子「もやい網」(40号)「朽ちて」(20号)
北野清子「秋の水辺」(60号)
倉本英子「盛夏」(40号)
近藤武義「嵐の爪あと」(60号)
近藤幸子「想い出」(40号)「れんがの小経」(20号)
斉藤由美子「秋葉をあつめて」(40号)「水無月のころ」(20号)
佐藤富子「北に咲いて」(50号)
佐藤京子「婦人像」(20号)
志賀廸「残雪」(同)
大藤淳子「初冬」(60号)
谷勲「ヨットハーバー」(40号)
寺西冴子「野の詩」(40号)「野の詩」(20号)
成田一男「開拓のロマン(重要文化財)」(同)
中井戸紀子「記憶の情景」(60号)「無題」(20号)
西江恭子「花の使者・北へ」(40号)「ほおずき」(20号)
西村法子「Mai」(同)
冨士田夏子「湿原」(60号)
松本佳子「遠い時」(40号)
三井幸子「窓辺の静物」(同)「窓辺」(同)
森井光恵「バイオリニストの午後」(40号)
栗山巽(江別)「宙-’06A」(60号)「宙-’06B」(同)
本多いさみ(同)「りんご経」(50号)
川畑良子(小樽)「初めてのモデル」(40号)
笹川誠吉(同)「エイサー(沖縄)」(同)
舎川栄子(同)「藍染とつぼ」(同)
三留市子(同)「街角(パース)」(60号)
竹山幹子(室蘭)「八月のバラ」(20号)
斉藤洋子(浦河)「桜の頃」(同)
25日(火)-30日(日)10:00-18:00(初日-13:00、最終日-17:00)
札幌市民ギャラリー(中央区南2東6 地図G)