北海道美術ネット別館

アート、写真、書など展覧会の情報や紹介、批評、日記etc。毎日更新しています

■「自然の脈動 響」近江隆俊写真展(2月14日まで)

2007年02月14日 06時54分43秒 | 展覧会の紹介-写真
広大な原始の姿をそのまま残している、日本最大の面積を誇っている、大雪山国立公園。
今日まで、山岳写真としては、色々な写真家達に発表されてきました。私はあえて山の中間地、森林限界から山麓までの森林地帯に目を向け、この山の奥深さと、憧れ、象徴的なイメージを重ね、この素晴らしい大地を見つめ、思いをこめながら、フイルムに写り込ませています。
(富士フォトサロンのウェブサイトより)

 近江さんの写真はネイチャーフォトですが、野生動物はまったく登場せず、大雪山といえば定番の高山植物もほとんど出てきません。しかし、木々や川などが織り成すさりげない様相が、見る人にしずかな感動をあたえます。カラー約30枚。

 とりわけ筆者の心にのこったのは「咲くミズバショウ」という1枚です。
 「咲く」といっても、ふつうのミズバショウの群落の写真はよくありますが、これは、いったん咲いた後に雪が降りつもり、ミズバショウがシャーベット状の雪の中で花開いている様子を撮ったものです。
 発想の類型的な人なら、雪の積もった群落を見て残念がり、シャッターを押さずに回れ右をしたかもしれません。しかし、こんどの個展には、ありのままを撮った作品が展示されています。

 案内状につかわれているのは、川の写真です。
 冬の川は、余計なものをいっさいそぎ落として、抽象画のような表情を見せています。
 筆者がおもしろいと思ったのは「水影」という1枚で、水面に反射したこまかな光を、ややスローシャッターでとらえたもの。いっぱいにちらばる光の線条がおもしろい文様を描いています。

 劇的な一瞬の写真もあります。
 「朝霧に昇る」は、望遠でとらえた日の出の写真。白い霧がたちこめ、太陽以外に何も見えませんが、その丸い太陽の表面に、稜線の木々のシルエットがくっきりと刻印されています。
 富士フォトサロンのウェブサイトで紹介されているうち、右下の写真は「朝焼け雲」ですが、この上のほうには、ごく細い下弦の月が輝いています。

2月9日(金)-14日(水)10:00-18:30
富士フォトサロン(中央区北2西4、札幌三井ビル別館 地図A)


最新の画像もっと見る

3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
まなざしのたしかさ (sue)
2007-02-15 00:02:43
近江さんのまなざしは自然に寄り添っていて幸せそうです。山に久しぶりに行ったりすると、嬉しくなって沢山写真を撮ってしまうということがありますが、いつのまにか撮ることに熱中してしまい、実はものをよく見ていないということになりがちです。これは本末転倒なことです。近江さんは写真家として十分な経験をつまれているせいか、見たままをごく自然に写し取っていらっしゃる。これだけ力を入れずに撮ることはとてもむずかしいことです。その場に居合わせたことを味わっているらしい余裕さえ感じられます。せっかく咲こうとしていたカタクリがしばれているようす、朝もやのなか山の端からのぼる太陽、いずれも撮影者のまなざしを身近に感じさせる秀作です。
返信する
一枚の作品に・・ (パセリ)
2007-02-15 09:55:13
近江さんとお話ししたのですが、撮影のために何回も同じ場所を訪れるそうです。そして、ワンシーンを
とるためにブローニーを一巻使い切ってしまうことも
あるとかおっしゃってました。
そうやって選び抜いたワンショットなのですね。
返信する
Unknown (ねむいヤナイ@北海道美術ネット)
2007-02-15 22:30:32
>sueさん
 いつも的確なコメントありがとうございます。
 お話のカタクリは、ミズバショウの横にありましたね。
 「力を入れずに撮ることはむずかしい」。含蓄のある言葉ですね。

>パセリさん
 貴重なコメントありがとうございます。
 ブローニー1巻ですか。プロは、やはりこだわりがすごいんですね。
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。