今週の札幌時計台ギャラリーでは、道展に所属する画家5人の個展がひらかれています。日本画が4人、油彩が1人で、たしかに、同ギャラリーの全室が個展になるのは年に何度もないとはいえ、どっかのブログにあるように「若手6人のそれぞれの個展」というような総称はついていません。B室の北口さんは1962年生まれ、これが14回目の個展ですから、若手とよぶには失礼なキャリアの持ち主です。
北口さんというと、民族衣裳を身に着けた力強い人物画や若い女性像の印象があります。その頂点とよべる作品が、昨年、道立近代美術館でひらかれた「北の日本画展」に出品した、224×543cmにもおよぶ「祈り サンバハンの人々」でしょう。
もうひとつの真骨頂は、やはり昨年、STVエントランスアートでの個展でならべた桜の作品だと思います。
今回は、「さくら’07」「牡丹’07」と題した二双四曲の屏風を展示しました。
屏風ですから公募展には出品できません。この個展のための新作です。
「さくら’07」の画面を埋め尽くす桜の花。
葉がついていないので、本州の桜かと思いましたが、北区新川5条4丁目にあるシダレヤナギがモデルなんだそうです。
おなじ題のタブローが、むかいの壁にありますが、それが下がきになっています。
「でも、なかなかうまく枝が絵の中で垂れてくれない。苦労しました」
と北口さん。
構図全体を貫く太い線などはなく、ひたすら全体をおなじような大きさの花弁が覆っていますが、桜という題材では、むしろそのオールオーバーな特性を前面に出したほうが、画面が弛緩しないのかもしれません。
「牡丹’07」は、金色が地の豪華な屏風。写実調に花を描きながらも、院展調の細かい筆使いとはことなり、おおまかなタッチです。とくに葉は、影を朱で表し、かなり省略をきかせた描写になっています。
これは「卯月」。
屏風以外では、今回の展覧会でもっとも大きい作品です。
裸婦を主要なモティーフとしているのは北口さんらしいと思います。
周囲のスギなどを含め、陰影の部分に、大胆に朱色をひいているのが目を引きます。
裸婦を題材にした50号ぐらいの作品が「sakura」「hadaka」の2点。
以前の北口さんの絵にくらべ、肌の色が明るくなってきているように感じました。
出品作品はつぎのとおり。
「さくら’07」(同題4点、うち1点は屏風)
「牡丹’07」(同題3点、うち1点は屏風)
「sakura」
「hadaka」
札幌在住、道展会員。
07年7月30日(月)-8月4日(土)10:00-18:00(最終日-17:00)
札幌時計台ギャラリー(中央区北1西3 地図A)
□http://satsuki-kitaguchi.com/
□ブログ「ARTな広場」
※いずれも画像なし
■06年の個展
■北海道教育大学札幌校日本画展(04年)
■第18回北の日本画展(03年)
■02年の個展
■01年の個展
「祈り、サンバハン」は
http://ryo.gokigen.com/kimio/060826%20014.jpg
にあります。こういったテーマ性のある絵も魅力ですが、桜の圧倒的な意識占拠感というような迫り方の絵も魅力的ですねえ。これにヌードを模索中と見受けましたが、今後はどの方向に向かうのでしょうか。それにしても多作ですが、作品は充実していますね。
北口さん、いつ桜の時季に桜の絵を見せてほしいですね。