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■Color's 5 色彩からの絵画性-女性5人展 (2013年4月15日で終了、札幌)

2013年04月20日 01時23分45秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
 抽象画で色彩を表現する工藤悦子、佐藤潤子、末永正子、永井美智子、前川アキの5氏による絵画展。
 Gallery Retara(ギャラリーレタラ)の企画による、初の試みだそうだ。5人は札幌とその近郊在住(工藤さんは江別、末永さんは小樽)。
 個人的な趣向で申し訳ないが、筆者はかたちや線よりも色彩にひかれるので、非常に楽しく見ることができた。

 もとより自分はヴェネツィア派とフィレンツェ派の対立について書く意欲も能力もない。
 ただ、色彩を重視する派と、かたちや線を重視する流れとが、ルネサンス以降の西洋美術の地下水脈として流れていたのは確かだと思う。
 そして、20世紀美術史の重要な結節点にキュビスムを置くとすれば(仮定ですよ、あくまで)、そこでまず重視されていたのはまずかたちであって、色彩は二の次であっただろう。キュビスムの重要作家、ピカソが、代表作「ゲルニカ」をモノクロで描いたことを思い起こしても良い。これは、西洋近代哲学の出発点のひとつとなったデカルトの思想の基盤が質量に置かれていることと無関係ではないだろう。
 とはいえ、自分としては、色を見て法悦となることはあっても、かたちや線でうっとりしたりすることはないんだよな。このあたりは、個人差が大きいだろう。ただ、色と、かたちや線と、どちらが重要ということは、たぶん絵画においては無いのではないか。

 工藤さんは「華」と題する5点。
 絵の具を塗った紙か何かを重ねて乾かないうちに剥がすと表面にできる、しわのような模様を生かしている。

 佐藤さんは「潮風 I」「潮風 II」「潮風 III」「潮風 IV」。
 白を基調として、その上に黄やオレンジ、青といった鮮烈な色彩のしぶきが舞う。
 道展などで見る大作よりも小さいが、迫力は負けていない。

 永井さんは「響A」「響B」「響C」の3点。赤っぽい色の重なり合いが、浮遊感というよりも、けっこう存在感がある。

 末永さんがこの5人の中では、いちばん構図があるというか、かたちの部分を残している。
 「景」「Bridge」「サクラ」「景 HARU」の4点。
 「サクラ」はピンクや白、「Bridge」は紫と、それぞれ主調色が異なる。
  
 前川さんは「睡」(2点)、「残像」(同)、「果」「窓」「薫」「冬日」の計8点。
 画材はパステルだが、よくある紙の表面の凹凸を生かした叙情的な絵ではなく、色がしっかり塗られて、しかも茫漠とした効果をあげているのはさすが。

 あえてないものねだりをしておくと、このテーマで札幌の女性であれば、杉山留美子さんを見たかった気がするなあ。


 
2013年3月16日~4月15日(月)正午~午後6時、火曜休み
ギャラリーレタラ(中央区北1西28)


07→08展
=工藤、佐藤、末永、永井さん出品。画像はなし



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