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■藤谷康晴個展 路上でお茶を(2月6日まで)

2007年02月06日 06時52分01秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
 1週間以上も前に見たのに、アップがおくれてすいません。
 
 藤谷さんは昨年いきなり4度も個展をひらいています。
 筆者もそのうち2回見ていますが、そのときはさしてなにも感じませんでした。正直なところ「小さい紙にモノクロでたくさん線を書いてるなー」ぐらいの感想しか持たなかったのです。

 でも、今回はちがいます。
 ごく細かいところまで見渡す視線が、一般的なリアリティとはちがう種類の現実感を獲得している、とでも言ったらいいのでしょうか。おもしろいです。
 冒頭の画像は「殺風景(1番街南側)」です。
 パルコから丸井今井南館のあたりまで、南1条通の建物を、細密に描ききった大作です。
 ビルの文字がいっさい省かれ、人も車も街路樹も描かれていないので、すごくリアルなんだけどリアルじゃないっていう、ふしぎな感じになっています。

(追記。スクリーントーンをいっさいつかわず、ペンだけで濃淡を表現しているのがすごい。すべての建物が正面から描かれているというのも、透視図法ではありえない表現で、おもしろいと思います)

 藤谷さん、現在は北側(三越のほう)に取り掛かっているそうです。

 つぎの画像は、案内状にもつかわれていた「壁」です。

         
 マンホールを精緻に写し取っています。
 路上へのこだわりがあるようで、喫茶店の各卓には、路面をこすりとった作品「路上でお茶を」が、テーブルクロスがわりに敷かれていました。手法自体としては岡部昌生さんが有名なので、目新しさはありませんが、たしかに、これで「路上でお茶」になりますね。
 「壁とか電柱とか、身近なものが気になるんです」
と作者。

 ほかに、トイレにつづく壁には「運び屋」「エロティック・住宅街」という縦長の作品が貼ってありました。

 藤谷さんはもともとマンガ家を目指していたそうです。
 しかし、マンガはエンターテインメントですから、じぶんがかならずしも描きたくないことまで描かねばならない制約があり、昨年から個展開催に転じたそうです。
 もともとマンガ家志望なので、作品もすべて、マンガによくもちいられるGペンと丸ペンでかかれており、色もつかわれていません。
 もともとGペンは、線の強弱が出しやすいという理由でマンガにつかわれているのですが、藤谷さんの作品は、カラス口で制作されたみたいに、おなじ太さと強さの線でおおわれていますね。

 額縁に入れていないのは
「ガラスがじゃまするのがきらいだし、邪魔になる。作品に格調がついてしまうのもいやなんです」
とのこと。

 「いまは、こういうのをかいているのが楽しい。マンガは、またかくかもしれないけど、商業詩にかくことはもうないと思います」
と話す藤谷さん、はやくもつぎの個展が決まっています。
 最終日には、ライブドローイングも行います。

 藤谷康晴 CONCRETE FICTION=2月13日(火)-23日(金)11:00-19:00、月曜休み、テンポラリースペース(北区北16西5-1-8)。
ライブドローイング「肉体vs CONCRETE FICTION」=23日11:00-19:00、同会場

1月18日(木)-2月6日(火)12:00-24:00(日曜-21:00)、水曜休み
CAFE ESQUISSE(カフェ エスキス)(中央区北1西23 メゾンドブーケ円山 地図D)


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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
立面図? (Juni)
2007-02-06 15:42:12
梁井様、こんにちは。
建築図面の立面図みたいな感じですね。棟続きで書かれることはあまりないですけど・・。
私、マンホールのフタ見るのって、結構好きです。それぞれの都市の観光目玉や名物がモチーフだったりしますので。ちなみに秋田市は、竿灯祭りの提灯の絵が多いです。
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横つづき (ねむいヤナイ@北海道美術ネット)
2007-02-07 05:37:17
 Juniさま、こんにちは。
 藤谷さんのは、すごい横続きなんです。

 マンホールのふたは、道内でも、武田貢さんだったかな、水彩画にしていましたね。
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