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北海道教育大学札幌校美術科 七月展(7月16日で終了)

2006年07月18日 00時02分31秒 | 展覧会の紹介-複数ジャンル
 毎年恒例の七月展。なんだかんだ言っても、道内の美術家の過半数が輩出している道教大である。学生展ではあるが、見ごたえはある。
 ところで、1年生からは岩見沢キャンパスに移行しており、師範学校時代から90年以上つづくこの七月展も、岩見沢開催になってしまうのだろうか?

 ことしは、おもしろい作品は油彩研究室に集中していた感あり。
 
 油彩
 山本雄基「air」
 例の、厚みのある支持体に色とりどりの水玉模様を散らしたシリーズ。水玉のほかに、荒っぽいタッチの色斑が散らばり、動的な感じになっている。
 大野恵理「よいゆめ」
 夜のメリーゴーラウンドを描いた2枚のキャンバスと、透明なアクリル円盤からなる3枚組み作品。写真、映像を意識した描法がおもしろい。
 笠見康大「光の死」松尾道行「暗の雲」
 がらりと画風を変えた2人は、なぜか似たような色使い。笠見作品は、色の塊とすばやいタッチの混合。松尾作品は題のとおり、黒い雲がもくもく。
 中田絵美「ROUTE 334」
 絵の具を滴り落すことで、なにかをやろうとしていることは伝わってくる。
 西田卓司「脳内芸術フェスティバル2006in 俺」
 ネオダダともポップともとれる大作。具体的な記号や表象にたよらず、ここまでポップな雰囲気を貫徹するのは、実はけっこう大変なはず。
 和田萌「混沌」
 深い青を基調とした抽象画。
 斉藤由衣奈「積もる」
 石が積みあがったさま。地味だけど、なぜか心に残る。
 坂本健一「point of viewpoint」
 電車の座席にずらりとならんだ黒衣の人物。夢に出そうだ。
 山本育実「ふれるもの」
 エジプトの壁画のような平面性。
 吉田倫子「ばら」
 現代における花鳥風月の可能性。
 川村真理子「甘やかな部屋」
 インスタレーション。「Lovely」展や西山奈なコの影響顕著。ここからどうじぶんの方向性をうちだしていくか。
 干場清順「歯車町・祭り」
 日本画。おそるべき細密な、想像上の世界。街角にはえた巨大なキノコ、うろつく大きな猫や傘の化け物など、見ていて楽しい。ただ、若いんだから、じぶんの得意なこと以外にも挑戦してほしくなる。
 村山聡「IN THE ZONE」
 こちらも日本画。ドローイングふうの花の描き方が、現代風でおもしろい。

 金属造形研究室
 佐藤優「せみ時雨」
 蚊取り線香立てという発想が懐かしくてよい。
 杉田斐子「すなのほし」
 ドーナツ状の真鍮に球形の樹脂をはめ込み、中に星の砂を入れた大きな首飾り。文句なしにきれい。

 視覚映像デザイン研究室
 阿南沙織「子供の庭」
 絵本。文字をいっさい使わず、ストーリー展開した力量は見事。
 近藤寛志「Fragmentary view」
 あれ、近藤君、まだ大学院生だったのか。交叉点の映像をつなぎ合わせた実験映画。たぶん菊水の円形歩道橋から撮ったものだと思うが、映像の間隔がどんどん短くなるにつれ、酩酊するような感じに襲われる。あと、いつもは非常にかっこいい自作の音楽があるのだが、音楽のない近藤君の作品はめずらしいと思う。
 高橋幸子「光、染みゆ」
 アニメーション。日本画を思わせるソフトな画調が独特。ただ、傘をめぐる男と女子高生のやりとりがわかりづらいのが惜しい。題名もわかりづらい(というか、こんな言葉あるのか)。
 中林亜沙子「肉屋の包丁」
 アニメーション。額縁の中、赤い地の上に、影絵が現れたり消えたりする。ノルシュテインなどを思わせるが、独自の世界。
 
 
7月12日(水)-16日(日)10:00-18:00(最終日-16:00)
札幌市民ギャラリー(中央区南2東6 地図G)。


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