PRAHA 2にある実験・展示スペース「9J」で9月19日から公開制作をつづけていた札幌のチQさん。
下のリンクを見ればわかりますが、制作・発表のピッチが最近非常に上がっています。筆者が見ていないイベントへの出演もかなりあるようです(ライジングサンロックフェスティバルでも制作していた)。
ただ、その大半は、ライブドローイングであり、今回のように、完成形を公開するのは珍しいことのようです。
今回は、会場の壁に紙などを貼るのではなく、「9J」というスペースの壁に直接、銀色のペンキを塗り、その上から、チQさん愛用の画材であるマーカーを使って描いたもの。
したがって、3日間の会期が終われば、この世から消え去る運命にあります。
これまでは、いろんな色を用いていたチQさんですが、今回はほとんどが青。
一部に黒や黄色が使われ、さらに、ライジングサンロックフェスティバルで使用した板や、マンガ雑誌などを貼り付けるコラージュを行っていますが、全体的には、いつになく統一感のある仕上がりになりました。
銀色の壁は、光を微妙に反射しあうらしく、おなじ青でも、場所によってちょっとずつ色味が異なるのがおもしろいところです。
「9畳は思っていたより広かった。天井は腕が痛くなったし、マーカーのインクの出が悪いんです。でも、なんだか、大きな相手と闘ったなあという感じ。勝ったか負けたかはわからないですけど」
と、制作の日々を振り返るチQさん。
「まだ手を入れることができるけど、これはこれで完成です」
と言います。
大きな文字が入っているのはここだけ。
知り合いの僧侶から教えてもらった、願いを叶えるためのことばなんだそうです。
とにかく、床も天井も、銀色に覆われ、青の線が縦横に走っています。
冒頭の画像に、銀色に塗られたポータブルストーブが置いてありましたが、近くでは、やはり銀一色になった扇風機がまわっています。
空は快晴なのに、天気予報には雪だるまマークが出ているという、いまならではの季節感といえるかも。
ストーブも扇風機も本来はマーカーを乾かすためにつかっているものです。
壁の一部には、このように家並みに似た絵が描かれているところもあります。
しかし、全体的には、青がとうとうと流れる川や、森の木々のように見えます。
チQさんは、昨年夏に急死した村岸宏昭さんの友人だったそうです。
「描き始めたときは、川のようにしようとか、ぜんぜん考えていなかったのに、川とか木とか、村岸みたいになるのがふしぎ。じぶんも菊水(札幌市白石区)に住んでいるので、川は身近なんですけどね」
チQさん、この青の流れは、きっと、このPRAHA2の下を流れる地下水なんですよ。
山鼻地区は扇状地なので、札幌の南にある山々のほうからきた水が、地下に潜って流れているのです。
その伏流水は、北大植物園や知事公館、道庁などの敷地内にあったメム(わき水)から、ふたたび地上にほとばしり出ていたのです。
ちなみに、むかしは菊水地区にも、札幌東高のそばなどにメムがあって、そこからわき出た水が小沼川と白石川というふたつの小川になっていました。
チQさんがひいた青の流れに耳をすませば、札幌の大地をつくった地下の水の流れが、聞こえてくるかもしれません。
なんたってここは「deep sapporo」ですから。
10月12日(金)-14日(日)11:00-20:00
PRAHA2+deep sapporo(中央区南11西13-2-12)
13日19:00からレセプション
■秋展(07年9月)
■micro@ivory(07年8月)
■07年7月のライブドローイング
□mixi内コミュニティ「チQ」
市電「西線11条」下車5分、じょうてつバス「南11西11」下車4分。南11条通りをあるき、高岡レディースクリニックの角を南に曲がるとあります