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■国画会版画部北海道支部展(7月27日まで)

2008年07月25日 22時43分42秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
 国画会は歴史の古い全国的な公募団体で、絵画、工芸など5部門からなる「国展」を毎年春にひらいています。
 以前も書きましたが、全国的な公募展のうち、日本版画協会の版画展を別格とすれば、春陽会と国画会の版画部が古い伝統を持っています。北海道の版画家は春陽に出品する人が多く、国展のほうは岩見沢の木村多伎子さんが孤軍奮闘という状態でしたが、近年は道都大学生やOB、道展会員らの出品が急増しています。この春の国展では、都道府県別の入選者数で、北海道が東京などをおさえてトップになったほどです。 

 ただ、今回は、公募展会場にみられるような大きな作品は6点だけで、小品が中心です。
 会場中央の卓上には、出品者の作品シートがならび、かなり安い値段で販売もされています。


           

 大きな作品では高野さんが重厚というか、重たい色で目を引きます。
 一方、石井さんは直線や曲線の重なりがセンスの良さを感じさせます。まだ学生とは思えないです。
 神田さんは道都大中島ゼミの出身で、以前はコラージュふうの作風でしたが、近年は抽象に転じています。やはりシャープさは他の追随を許さぬものがあり、ことし準会員に推挙されました。
 青木さんも同ゼミの出身者。おびただしい曲線の粗密で、絶望感にうちひしがれた人物を描写しています。マンガ的でありながら、かなり考え抜かれた作品だと思いました。

 上の画像の手前は内藤克人さんの作。傘がモティーフで、シャープな線と構図が光ります。

           

 三島さんはこれまで銅版画に取り組んでいましたが、ことしは
「ウォーターレスリトグラフ」
という技法に熱中しています。
 銅板の値上がりがこたえているようです。ウォーターレスリトグラフはめんどうな腐食が不要な上に、一見銅版画のような画面を作り出せるということで、気に入っているとのことでした。

 木村義治さんだけは本州の会員。
 「王様とトンボ」という小品は木版であることが信じられないほど、赤、緑、金、水色、青など多くの色がちりばめられています。いったい何版つかっているのでしょうか。


 出品作は次のとおり。
内藤克人「内と外’08、03」
高野理栄子「salvage」「section 3」「section 4」「section 5」
石井誠「工業地帯」「残らない靴」
神田真俊「Brain -種-」
竹田道代「wall」
青木政巳「もう、ダメだ」

橘内美貴子「アヤドリ」
三島英嗣「超新星」「異時空間へ…?」「ワイン・グラスと5本のボトル」「「ハーイー」「ジャネット、雨の中良く来たネ」」
木村多伎子「紙ふうせん」「摩崖仏」
種村美穂「a tune」「be related」
水野恵子「芥子」「野」
木村義治「王様とトンボ」
吉田敏子「風花-W」「風花-S」
早川尚「光の中で」
山内敦子「I 夜花」「春を待つ」


7月22日(火)-27日(日)10:30-18:30
さいとうギャラリー(中央区南1西3 ラ・ガレリア5階 地図B)

http://www.kokuten.com/

国画会北海道グループ展(06年)
'03国画会版画部札幌展記念版画集展(画像なし)


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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
ありがとうございました。 (石井 誠)
2008-07-25 22:57:53
まだまだ問題の多い作品ですが、もったいないお言葉いただき感謝致します。
来年で学生は終わりですが、その後も続けていく為に、精進し続けます。

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Unknown (ねむいヤナイ@北海道美術ネット)
2008-07-26 06:49:08
石井さん、いつもご丁寧にありがとう。
もう来年卒業ですか。早いなあ。
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