「小川清展」と同時にひらかれている、小樽在住の現役美術家を取り上げるシリーズの1年目。この展覧会を見て、新味をうちだすことのむつかしそうな具象彫刻(裸婦)の世界で、鈴木さんが、いかに新しい表現の可能性を切り開こうかと苦闘しているさまが伝わってきて、興味深かった。
そのひとつは、少女たちの姿勢である。
両脚を真上に上げたり、尻を支点に横たわったり、ふつうの具象彫刻ではなかなか見られないポーズをとっているものが多い。
もうひとつは、髪だ。
風を受けて、動物の耳のように、頭から離れている。
いずれも、一般的な美術作品では表すことのできない「動き」というものを、どうやって表現したらよいのかという、試みなのだろう。
さらにいえば、テラコッタという素材もふくめ、鈴木さんは、日本人にとっての具象彫刻とは何かという問いも、視野に入れているのだと思う。
もちろん、現代のわたしたちが、天平仏や飛鳥仏そのものをつくることはできないだろうし、また、つくったところで意味がない。
しかし、せっかくそういう伝統があるのだから、それを踏まえたうえでないと、ロダンだマイヨールだといってみたところで、しょせんはうわすべりのものではないのかと、アルカイックな顔つきをした少女たちは、言っているような気がするのだ。
鈴木さんが、中国やフランスで評価されているのは、そういう、1本筋の通ったところがあるためではないかと思う。
なお、展示室はもちろん撮影禁止のため、説明パネルでも言及されていた、小樽運河沿いの「ひびき」の写真を撮ってきた。
「作品集」にあるリストによれば、鈴木さんの屋外彫刻は約60点もあるという。そのうち、2点は道外(東京と熊本)だ。道内に60点弱というのは、かなり多い(ひょっとすると1番?)。
7月29日(土)-9月18日(月)
市立小樽美術館(色内1)
一般400円、高校生・市内高齢者200円、小中学生以下無料。
そのひとつは、少女たちの姿勢である。
両脚を真上に上げたり、尻を支点に横たわったり、ふつうの具象彫刻ではなかなか見られないポーズをとっているものが多い。
もうひとつは、髪だ。
風を受けて、動物の耳のように、頭から離れている。
いずれも、一般的な美術作品では表すことのできない「動き」というものを、どうやって表現したらよいのかという、試みなのだろう。
さらにいえば、テラコッタという素材もふくめ、鈴木さんは、日本人にとっての具象彫刻とは何かという問いも、視野に入れているのだと思う。
もちろん、現代のわたしたちが、天平仏や飛鳥仏そのものをつくることはできないだろうし、また、つくったところで意味がない。
しかし、せっかくそういう伝統があるのだから、それを踏まえたうえでないと、ロダンだマイヨールだといってみたところで、しょせんはうわすべりのものではないのかと、アルカイックな顔つきをした少女たちは、言っているような気がするのだ。
鈴木さんが、中国やフランスで評価されているのは、そういう、1本筋の通ったところがあるためではないかと思う。
なお、展示室はもちろん撮影禁止のため、説明パネルでも言及されていた、小樽運河沿いの「ひびき」の写真を撮ってきた。
「作品集」にあるリストによれば、鈴木さんの屋外彫刻は約60点もあるという。そのうち、2点は道外(東京と熊本)だ。道内に60点弱というのは、かなり多い(ひょっとすると1番?)。
7月29日(土)-9月18日(月)
市立小樽美術館(色内1)
一般400円、高校生・市内高齢者200円、小中学生以下無料。