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外山ムツ子展(4月30日まで) これもひとつの夢

2006年04月10日 00時01分12秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
 いまだから白状しますが、はじめて外山ムツ子さんの絵を見たときは、こりゃなんじゃと思いました。画面上で混ぜ合わせたような濁った色、スカスカな部分の多い構図、かきなぐったような線。いわゆる「きれいな絵」とは遠く隔たっているのですが、その後しだいに
「こういうのもありだなあ」
と、独特の美しさがわかるようになってきました。
 外山さんの札幌での個展はひさしぶりで、今回は、行動展に出品した大作を中心に展示しています。
 でも、外山さんの世界のとっかかりになりそうだなと思ったのは、30号Fの「海辺」でした。空中ブランコのようなものに乗っている女の子や、敷物に大の字になって寝そべっている子どもの間を魚の群れが泳ぎ、船が通り過ぎます。家や扉が描かれ、右側には塔がそびえています。
 地上と水中が渾然となり、自由な線が躍るこの絵を見ていると、よく世間で「夢の世界のようだ」と言われる絵や映像は、じつは目覚めてから夢を整理した結果であって、外山さんのこの絵のほうが、生の状態の夢を表しているのではないかと思えました。
 夢幻的といえば「帰港」(130P)も、船団の中に巨大な魚が泳いでいます。
 ただ、甘いだけの夢ともちがうんですよね。「荒れた海」(同)など、ほんとうに、寒風吹きすさぶ北の海だし。水平線が白く太く、左に傾いています。
 「島」と題された2点は、暗い海の中に、地上の風景がパッチワークされて浮かんでいます。ここでは、一般の遠近法などは無視され、独特の世界が展開しています。

 出品作は次のとおり。
「海辺」(30F)「五稜郭の花」(4号)「出番を待つ女」(SM)「遠い島」(15号)「くもり日」(50F)「釣りをする男」(4F)「恋人たちの海」(100F)「冬の薔薇」(8P)「橋のある風景」(150P)「島」(130F)「帰港(海から来た男)」(150P)「荒れた海」(150P)「帰港」(130P)「島」(150P)「冬日の運河」(80F)「泊り船」(6F)

 網走管内美幌町在住。行動展、全道展会員。

4月1-30日 8:00-19:00
ギャラリーどらーる(中央区北4西17、ホテルDORAL 地図D)


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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
 (shino)
2006-04-10 23:17:15
夢でも甘いだけでなく悪夢の感じがするところも

個人的にはグッときました。

線がどんどんななめになっていったりして、ひきこまれます。

不思議な天気のときにみたので、ますますはまりました。
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たしかに (ねむいヤナイ@北海道美術ネット)
2006-04-12 00:01:47
不思議な天気のときに似合いそうですね。

晴れとかじゃなくて。
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