ぐらのにっき

主に趣味のことを好き勝手に書き綴っています。「指輪物語」とトールキンの著作に関してはネタバレの配慮を一切していません。

トーリンの狂気のこと

2014年01月18日 | 指輪物語&トールキン
さて、ネタバレ感想辛口編に書いた、トーリンの狂気というか「病」について書きたいと思います。(ネタバレを避けるために敢えて本編で使われていない「狂気」という言葉を使いました。
AUJ EE追加シーン、DoSのネタバレを含みますので、ネタバレ箇所は白字にします。読むときはドラッグして反転させてお読みください。
スマホ用画面で見ると白字になっていません。またRSSなどのフィードでも伏字になりませんのでご注意ください。
原作のネタバレの内容を含みますので、3作目のネタバレになることも書いてありますので、その点もご留意ください。
(追記:時間も経ったしみづらいので、白字表記解除しました。)

AUJ EEの追加シーン、裂け谷で、エルロンドがドゥリン一族にまつわる「病」の話をしているのを観た時、「えっ?」とびっくりしました。もちろん原作にない設定でしたから。
そう言えば、AUJのプロローグでスマウグ襲来の時、トーリンがアーケン石をあまり気にしていなかったので、あれ?と思ったものでしたが、そういう設定だったのか…と。
でも、まだその時はそのままスルーできる程度だったのですが…
DoSで再び「病」(sickness)という言葉が出て来て、実際ビルボに剣を向けたのはどうもその病によってトーリンが我を失ったため、ということらしいと知って、「えーっ」と思いました…
映画のトーリンが原作と比べて清廉潔白な感じがすることに違和感はあったんです。ただ、意外に原作のトーリンに近い、誇り高くて頑固なところもあったので、「意外と原作に近いな」なんて思って見ていたのですけれど。
それでも、あのトーリンが原作どおりの行動に出るには、どういう展開になるのかな、と思っていたのですが、なるほど、あのトーリンが「病」のために我を失って、ああいう行動に出るってことなんですな…
この「病」という設定、考えようによっては上手いアレンジ…なのかもしれませんが、私はどうも違和感があります。
トーリンがビルボと決裂するのも、「病」で我を失った…言わばYou are not yourselfな状態で、ということですよね。
原作では、あくまでもトーリンのドワーフとしての価値観と、王の血統としての誇り高さが原因です。
そのトーリンが、最期にはビルボにこう言います。
「-わしはもうありとある金銀をすてて、そのようなものの役立たぬところへおもむくのじゃから、心をこめてあなたとわかれたいと思う。-」と。
ホビットのビルボとは相容れない価値観で生きて来たトーリンが、死を前にして、自分と違う価値観を持つビルボを認め、自分の過ちを認めるのです。
トーリンはこうも言います。
「あなたの心のなかには、あなたが知らないでる美しさがあるのじゃ、やさしい西のくにのけなげな子よ。しかるべき勇気としかるべき知恵、それがほどよく混じっておる。ああ、もしわしらがみな、ためこまれた黄金以上に、よい食べものとよろこびの声と楽しい歌をたっとんでおったら、なんとこの世はたのしかったじゃろう。-」
スランドゥイルを感動させたビルボのすばらしさを、トーリンも認めるのですよね。そして、ホビットの生き方のすばらしさも。
この和解の場面が私はすごく好きなのです。「指輪」でも「ホビット」でも、他の種族の人たちがホビットに感嘆して敬意を表する場面がとても好きなのですが、この場面もまた、トーリンがついにビルボの本当のすばらしさに気付く場面なのだと思っています。
でも、もし「病」のために我を失っていたトーリンが、我に返ってビルボと和解するのだったら、その意味合いが違って来てしまうと思うのです…
いや、それでも、病がなくてもそもそもトーリンがビルボの真価を悟っていたとは思えないので、同じような展開になることは可能かもしれません。
でもやはり、「我に返った」のと、「自らの過ちを悟って違う価値観を受け入れる」というのでは、違うと思うんですよね…
ここは思い入れがありすぎなので、映画でも素直に観られない可能性大です…

ただ一つ、トーリンが「病」のために、我を失ったことで、ビルボがアーケン石のことを言い出せなくなる、というのは上手い展開かな、と思いました。さすがに原作のように「なんとなく欲しくなってしまって」だと映画では見せづらいかなと思って…すでに指輪への執着も描いてしまったので、二重になるのはくどいですし。
ちなみに、アーケン石がどうなったかよくわからないようになってますが、絶対ビルボ拾ってますよね。このあたりがわからないようになってるのは上手いなと思いました。

そんなわけで、3作目でトーリンがどうなるのか…期待半分、不安半分で待ちたいと思います…

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2 コメント

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トーリンの狂気 (みっち)
2014-03-05 19:41:14
吹き替え版を観たのですが、「病」とはいわなかったような気がします。スランドゥイルのセリフにあるんでしょうか?

ドワーフの宝石類への執着は「業」とか「宿命」という方がふさわしいと思っているので、耳が勝手に変換して聞いてしまっている可能性もあるのですが、本当に病気という意味で使われているとすると、おかしいですよね。
病ではなかったかも? (ぐら)
2014-03-05 23:08:51
英語だとsicknessと言ってたんです。AUJのEEの裂け谷の追加シーンで「病」って言ってなかったでしたっけ。(うろ覚えなのですが確認する暇が…(汗))
吹き替え私も見たのですが、確かに病って言い方ではなかったかも?忘れてしまいました…
そして字幕観た時はちょうどそのあたり意識失っていて確認していないという…(汗)
今度観たときにどちらも確認しておこうと思います。

まあ、呼び方がどうであれ、もともとドワーフが性質として持っている業ではなく、ドゥリン王家特有のもので、財宝を見ているとだんだんおかしくなって行く…という感じですから、やっぱり原作にはない設定で、違和感はありますね…

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