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『週刊ダイヤモンド』12月2日号 - 教育費の「出世払い」で勤労意欲低下へ、女性の過半が非正規雇用

2017-12-01 | 『週刊ダイヤモンド』より
今週の週刊ダイヤモンドは英語特集、矢張りよく売れているようだ。
時間もおカネもかけないという新しい切り口だが、
先週書いたように「いかにも貧困化する現代日本的」な内容にも見える。

ともあれ「3語の英語」「スマホ3分」という
いかにもビジネス書そのまんまのキャッチフレーズは工夫しているし、
内容的にもお得感はかなりあると言えるだろう。

特に47頁の「ホーム画面&アプリ20」は優れている。
スマニューのCMに釣られてDLするより、こちらの方が確実に有益だ。

ビジネスマンはダイヤモンド誌恒例となりつつある財務・決算の英語を見ておきたい。
独学だと時間がかかる分野なので、うまく助けを借りるのが賢い。

『週刊ダイヤモンド』2017年 12/2号 (究極の省エネ英語)


メイン特集より、24頁の「数字は語る」の方が重要度が高い。
コラム「数字は語る」に大和総研の神田慶司氏が寄稿しており、
自民党が検討している「高等教育費の出世払い」の弊害を鋭く指摘している。

第一にこの出世払いは就業意欲を低下させる恐れが強い。
働いて所得が上昇すれば学費を返済しなければならなくなるからだ。
特に女性は非正規雇用率が55%にも達しているため、多額の返済免除が生じる。
また、学費返済を免れるため女性の専業主婦化や非正規就労を過度に促す可能性も高い。

豪州と同様に財政負担の拡大が予想される点は既に指摘されてきたことだが、
女性が学費返済を避けようと就労抑制するようになると警告したのは神田氏が初ではないか。

だた、実効性ある処方箋は書かれていないので、
当ウェブログとしては公務や看護、情報工学といった投資収益性の高い
分野を統計分析によって選抜し、ローンのデフォルト率が高かったり
投資収益率の低い大学・学部には奨学金を出さないか、額を限定する施策が必要と考える。
(国公立大学の学費を世帯所得で数段階に分け、高所得世帯から得た資金を奨学金化するのも一案)

    ◇     ◇     ◇     ◇

週刊エコノミストのニッチ特集はインパクトが業界に限定される印象。
メイン特集より寄稿「独で深刻化する富の偏在」の方が興味深い。

下関市立大学の嶋田崇治氏による論考で、
極右政党が躍進したドイツでは資産の偏在が深刻になっており、
外国生まれの低所得層が急激に増えていることを報告している。

著者はこれらが反移民や分断、国家主義の原因と見ているようだ。
しかし、資産格差がドイツ程ではない日本でも右傾化が進んでいることから、
著者の分析は根拠に欠けるように思える。

何か奇妙な印象を受けつつ読み進めてみると、
著者は神野・井出理論の信奉者であることが分かった。

根拠薄弱で抽象的な彼らの理論より、
家族制度が差別やイデオロギーを決めるとするエマニュエル・トッドの論や
先進国の中間層の没落を説明する「象の鼻カーブ」のミラノヴィッチ理論の方が
遥かに説得的で各国で生じている現象を的確に説明している。

『週刊エコノミスト』2017年12月05日号


第一次世界大戦についての出口・板谷対談も読んでおきたい。
対華二十一ヵ条要求での大失策と、現代の慰安婦問題での失敗は酷似しているし、


    ◇     ◇     ◇     ◇

東洋経済の神戸製鋼特集は内容としてはほぼ想定内か。
東芝よりはましな状況で多分、時間が過ぎれば元の木阿弥だろう。

「安倍政権の企業優遇策の必然の結果」と当ウェブログは書いたが、
東芝・日産・神製・三菱マテと続くとそうとしか思えない。

特集の中では「神鋼ショックを中国はどう見たのか」は面白いが、
傷が浅いだけにどうせ嵐をやり過ごせば以前と変わらず、だろう。

>『週刊東洋経済』2017年12/2号 (沈む神戸製鋼)


「裏切られたESG投資家」とあるが、そもそもESGを真に受けること自体がおかしい。
投資によってガバナンスに好影響があるという発想も事実に照らして間違っている。
(不祥事を隠蔽する企業には大した抑止力にならない)

    ◇     ◇     ◇     ◇

次週も注目は東洋経済、関西・東海の地盤沈下路線も新幹線での失望も人口動態要因を無視できない。

▽ 「危ない駅ランキング」が話題を呼びそうである

『週刊東洋経済』2017年12/9号 (駅・路線格差 駅の浮沈が示す経済トレンド)


▽ ダイヤモンドは珍しく温泉特集、格安旅館や熱海復活など話題のテーマを押さえている

『週刊ダイヤモンド』2017年 12/9号 (読んだら入りたくなる温泉)


▽ エコノミストは珍しく東洋経済やダイヤの後追いか、行動経済学の本格紹介に期待

『週刊エコノミスト』2017年12月12日号

安倍が「保守」を知らないのは言う迄もないが、「自称保守」の蒙昧と自己欺瞞も批判したいところ。
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