スパニッシュ・オデッセイ

スペイン語のトリビア
コスタリカ、メキシコ、ペルーのエピソード
パプア・ニューギニア、シンガポールのエピソード等

閻魔大王

2017-08-31 22:16:34 | トリビア
 ダンテの「神曲」の地獄の裁判官はギリシャ神話にも登場するクレータ島のミーノース王が務めていたが、東洋ではご存知の閻魔大王である。
 もともとはインドの神様で、ヤマと呼ばれていた。(詳細はウィキペディア「閻魔」参照)。
 
 【19世紀前半に描かれたヤマ(ウィキペディア「閻魔」より)】
 ウィキペディアより引用する。

 インドのヤマは、のちに仏教に取り入られて閻魔天となり、地獄の主と位置づけられるようになった。
 中国に伝わると、道教における冥界・泰山地獄の主である泰山府君と共に、冥界の王であるとされ、閻魔王、あるいは閻羅王として地獄の主とされるようになった。
 
 【地獄の法廷を描いた中国の仏画(ウィキペディア「閻魔」より】
 さらに、引用を続ける。

 日本仏教においては地蔵菩薩と同一の存在と解され、地蔵菩薩の化身ともされている。 
 
 【安土桃山時代に描かれた閻魔(ウィキペディア「閻魔」より】
 そういえば、新潟県柏崎市にも「閻魔堂」があり、閻魔様が祀られている。それにちなむ「閻魔市」は江戸時代から続いている。怖い閻魔大王の姿をしているが、実際は地蔵菩薩として信仰しているような気がする。ただ、最近では「閻魔=地蔵菩薩」の考えはだいぶ薄れているような気がするが。

 もう一つ引用。
 閻魔王はコンニャクが大好物であるという俗説もある。東京・文京区の源覚寺にこんにゃくを供えれば眼病を治すという「こんにゃくえんま」像があるほか、各地の閻魔堂でこんにゃく炊きの行事が行われる。
 
 
 
 【いずれも「こんにゃくえんま像」より】
 俗説が本当だとすると、死者には三途の川の渡し賃6文のほかに、閻魔王へのお土産(ワイロ)としてこんにゃくを持たせたほうがいいのではないか。

 ところで、インドのヤマは「本来はインド・イラン(Indo-Iranian)共通時代にまで遡る古い神格で、『アヴェスター』の聖王イマ(中世・近世ペルシア語でジャム(「輝けるジャム」の意味でジャムシードとも呼ばれる))や北欧神話の巨人ユミルと同起源である」(ウィキペディア「閻魔」)と述べられている。
 北欧神話の巨人ユミルと同起源であるなら、ギリシャ神話にも似たような存在があるかもしれない。ダンテの地獄の裁判を務める、クレータ島のミーノース王と接点があれば面白いと思うのだが、どうであろうか。
  それはともかく、映画「沈黙」の宣教師たちは三途の川といい、閻魔大王といい、ダンテの地獄との共通点が多いのに驚きつつも、キリスト教の伝道に利用したことだろう。
 映画の中でも触れられていたが、キリスト教の「神」を当初、「大日」と訳されていたので、キリスト教は仏教の一宗派だという誤解もあったらしい(ウィキペディア「日本のキリスト教史」)。 
ポチッとクリック、お願いします。
↓↓↓

スペイン語 ブログランキングへ

スペイン語とともに考える英語のラテン語彙の世界 (開拓社言語・文化選書)
好評発売中!!こちらは、このブログとは別物です。もちろん、トリビア満載です。